2018年7月27日金曜日

脱洗脳②

認知的不協和で心はズタズタ。なぜそうなった?~


前項では、「認知的不協和」にさらされた心がどのように揺れ動くのか、実際にはどのように感じられるのかを、経験者ならではの視点で書いてみたつもりだ。
【参考記事:知育ノート「認知的不協和とは?認知的不協和理論の具体例はタバコとイソップ?」 】


ちょうどあなたもその段階に来たところかもしれない。
当時の私は、自分の身に何が起こったのか全くわからず、ただ絶望するしかなかった。


なぜ、私たちは絶望のどん底へと落とされてしまったのだろう?


それは、私たちが
【洗脳】
を受けていたから。


「おかしいのは全てあなたのせいだ」
「問題をこじらせるのはいつもあなただ」


との説を、相手から無理矢理押し付けられていたからだよ。
あなたも。そして、私も。



( ↑新潟青陵大学大学院・碓井真史教授のwebサイトへとリンクします↑)



マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)
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岡田 尊司
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「…予測された出来事が"安定剤"として作用するのとは逆に、意表をついた出来事は不安を高める。実際、洗脳では、一旦、"安定剤"に依存させておいて、それを急にわざと与えないことで、不安に叩き落とすのだ。 
突然そうした状況に陥ると、本人は混乱し、何が悪かったのかと自分を振り返ったり、責めたり、相手の気持ちを推し量ろうと、もっとびくびく相手の顔色をうかがうようになる。 
そんな心理状態をしばらく味わわせ、緊張が高まりきったところで、何が気に入らないかをほのめかす。不安な心理状態におかれているだけに、この不安定な状態を解消できるのなら、喜んで妥協し、相手のいいなりになる。」 
(「マインド・コントロール 増補改訂版」電子版、岡田尊司、文春新書、2016年)

嘘、裏切り、守られなかった約束...。
度重なる不誠実な仕打ちに、さすがのあなたも堪忍袋の緒が切れてしまった。
だからつい、感情をあらわにしてしまったんだよね。
もっとも、そうした状況に置かれれば、誰だって同じ反応に出たと思うけど。


なのに、あいつはそれさえも自分の都合のいいようにねじ曲げ、利用した。
そして「何もかもお前のせいだ」とあなたに信じ込ませ、自分の支配下に置き続ける、という汚い手口に出てきた。


そうなると、あなたも「もう一度だけ頑張ってみよう」との方向へと向かわざるを得ない。
「何もかもお前が悪い」。
相手にそう吹き込まれたあなたは、自分の出方次第で状況をコントロールできるのではないか、との錯覚を起こす。
自分が変わりさえすればいいんだ。そうすれば、状況だって変えられる...と。
で、行き着いた先が次のような思い込みである。

「次はもっとうまく立ち回ってみせる。そうすれば、あの人だって以前のような優しさを取り戻してくれるはず。」



そもそも、「自分に100%非がある」というあなたの考え自体が正しくないのだ。
あなたが悪かったのではない。
ただ、状況がクリアーに見えていなかっただけなんだ。
あいつから、【嘘】という名の毒をたんまりと盛られたせいで。


あなたがどんな人なのか。
あいつとの関係ではどういった役割を演じるべきなのか。
毒が脳味噌に打ち込まれ、奥深いところにまで回ったことで、次第にそうした問いにも答えを出せなくなる。
無理もない。毒を盛られたのは、一度や二度ではなかったのだから。


こうして生じてきた状態が、【認知的不協和】だ。
一度はまってしまうと、自分自身の現状に疑問を抱き、そこから脱出するのがきわめて難しくなる。


脱け出すのが難しい理由は、他にもまだある。
あいつとあなたが付き合い始めた頃を思い出してみよう。
理想化、そして「愛情爆弾(love-bomb)」という攻撃でもって、あいつはあなたを見事なまでに陥落させたよね。
残念ながら、それは否定しようもない事実。
だが、あいつはその事実に【認知的不協和】を注ぎ足して、両者をごた混ぜにした。
その結果、あなたを取り囲む世界はますますその混迷の度合いを深めていった。


そこから先は、全てが悪化するばかり。
私って、一体どういう人間だったっけ...。
それすらも、今となってはあやふやだ。


このように【認知的不協和】という濃い霧に包まれていったあなた。
勇気を振り絞り、【ノーコンタクト(絶縁)】という決断へと踏み切り、自分と向き合わない限り、どうにもできない。
濃い霧に視界を阻まれ、進むべき道が一向に見えない。


とはいえ、【ノーコンタクト(絶縁)】を徹底的に貫くこと自体、今のあなたにとってはとんでもなく難しいことのように感じられるのではなかろうか。
それは仕方ないよ。
【認知的不協和】にさんざん荒らされて、もう頭の中はめちゃくちゃ。
筋道立てて考えろ、だって?
冗談じゃない。無理、無理!


...正直言って、今はまだそんな気持ちが強いだろう。
「じゃあ、ノーコンタクトにでも入りますか。」なんて軽く言えるような心境になどとなれるわけがない、といったところじゃないかな。




2018年7月21日土曜日

脱洗脳①

脱洗脳

※ 以下は「SEARCHINGFORSUNSHINE」(筆名)からの寄稿文です。

ここでは、絶縁/ノーコンタクトにまで自分を持っていくのが難しい、という人、そしてノーコンタクト状態をキープするのが辛い、という人のために、私からのおすすめを少々書いてみようと思う。


ノーコンタクト開始直後の時期。
その苦しみたるや、地獄の真っ只中にいるような凄まじさと言ってもいいほどだ。
予めお断りしておくが、今から書くことは私には有効だったけれども、必ずしも万人に効くとは限らない。
筆者としては、読んでくださる方にとって、何か一つでもお役に立てることが書けていればいいな、と願うのみである。


~ノーコンタクト初期にありがちなこと~

【サイコパス】という単語。
以前にも何度か耳にしたことはあったかもしれない。
だが、今回生身のサイコパスに遭遇してみて、その言葉の裏に隠された真の意味を身をもって知ることができたのではないだろうか。


どうも自分は毒性の強い相手と付き合っていたらしい。
その可能性に気付いたことで、あなたは激しく動揺する。
モヤモヤする心をどうにかしたくて、向かった先はネットでの検索だった。


それからは、サイコパス、ナルシシスト(自己愛人間)、ソシオパス...といった言葉を入力し、出てきた記事や解説をひたすら読み漁る、という日々が延々と続いた。
もしかしたら、この「Psychoparh Free(https://www.psychopathfree.com/)」のWebページにたどり着いたのも、WEBサーチでたまたま「サイコパス(Psychopath) 自由(Free)」という言葉を入力したからだったのかもしれないね。


検索の向こう側に広がっていたのは、すぐには信じがたいような世界だった。
話の中に登場する「おかしい人々」。
あの、例の相手と妙に似ている...。
そのような人物の特徴を読んでいくと、文章の一字一句があなたの中の奥深くにまでズシン、ズシン、と響いてくる。


聡明なあなたのことだから、何が自分の身に起こったかのか、全体像を把握するまでにはそう多くの時間を必要としなかった。


ようやく胸のつかえが取れた。
いわゆる「アハ!体験」という奴だ。
「ああ、そうだったのか!」という気付きが、次から次へとあなたの元へと押し寄せてきた。




どうやら求めていた正答を出すことができたようだね。
まだ半信半疑だろうけど、とりあえずあいつとの関係は終わりにしよう、との覚悟はできた。そうと決まったら、さっさとけりをつけよう。


だが、せっかく決意が固まったというのに、あなたは急に「もしかして私の方が間違っているかもしれない...。」と、怖気づいてしまう。(これは、実際に別れ話を切り出すことができた場合も、またできなかった場合も、同様に起こり得る。)
本当に自分は正しいんだろうか。
その辺が、よくわからなくなってしまったのだ。


「だって、もし、あの人がサイコパス/自己愛/ソシオパスじゃなかったとしたら???...いや、たぶんサイコパスってことで間違いないとは思うけど...でも、単に私が勘違いしてるだけ、ってこともあり得るし...。

...サイコパスだ、と決めつけるのはさすがにマズいよね。ちょっと妄想が先走り過ぎてるかも。
そう言えば、あの人から前に言われたっけ。『お前って、ホントに重たい奴だな』って...。」


そこであなたはもう一度Google検索で見つけた記事へと戻る。
何度も何度も読み返す。


最初読んだ時には見過ごしていた記述にも、今度はしっかりと気付くことができた。
「アハ!体験」の回数が更に増え、現状をより深く理解できるようになった。
「そういえば、あの時のあれ、もしかして...!? 」といった具合に、思い当たる部分も芋づる式に後からどんどん出てきた。


「間違いない。おかしいのは、あっちだ。私じゃない!」
その通り。
もちろん、奴こそがサイコパス/ソシオパスだった。
ようやくその確信へと到達できたんだね。


そこまで来れば、もうしめたもの。
いろいろな事実が次から次へと面白いように噛み合い、目の前の霧がきれいに晴れていくはずだ。


なぜ、あいつの言うこと全てが矛盾してばかりなのか。
今のあなたなら、もう理解できるよね。
あいつの口から出たセリフは一字一句思い出せるし、二人一緒にいた頃の過去の思い出だって今でも鮮やかに脳裏に焼き付いている。
そうした記憶を一つ一つ手繰り寄せ、二人の間で交わされたやり取りを以前とは全く別の角度から再検証していくうちに、奴の正体が「サイコパス」「ソシオパス」以外の何物でもない、と確信することができたんじゃないかな。


とはいえ、ちょっとした事が引き金となって、あの厄介な「自分に自信が持てない」という自己不信の罠に簡単に足をすくわれてしまうのもこの時期だ。まだまだ油断は禁物だ。


自己不信の罠にはまると、以前のような自問自答があなたの中でまたもや延々と繰り返されることとなる。

「おかしいのは、もしかして、私の方?
私は間違っていない...って、本当にそう?そこまで言い切れる?」



2018年7月13日金曜日

「できる・できない」を見極める/信じよう、自分だけの真実

「できる・できない」を見極める


サイコパスという人種が実在すると知って、私は「うわぁ、こんな邪悪な奴等がこの世界にいるんだ...」とひどい胸焼けを覚えたものだ。
関係は既に終わっていたけれど、さすがに例のサイコパスが嬉々として新ターゲットの元へ走ったと聞いた時には、半端じゃない落ち込みを経験した。


破局以来、身も心もボロボロになった私。
命をつなぐのがやっとの毎日だった。
なのに、あいつにとっての私は、既に虫けらレベルの存在にまで落ちていた。
死のうが生きようが、もうどうでもいい...。
そこに気付いた瞬間、奈落の底に突き落とされたような気持ちがした。


やがて私は、幸せそうなあいつの様子をまざまざと見せつけられる。
胸が張り裂けるかと思った。
次に浮上してきたのが、自分を恥じる気持ち。
一番後に噴出したのは、あいつへの燃えたぎる怒りだった。


こうなったからには、あのサイコパス野郎の怪物じみた本性を公の場で一気に暴いてやろう、とさえ思った。
新しい彼女に直接会って「あんな奴、さっさと別れた方がいいよ」って説き伏せたくなった。
きちんと頭を下げさせて、「すまなかった」とあいつの口から言わせてたかった。
正義の名の下に、あいつを私と同じような痛い目に遭わせてやりたかった!!!


だが、現実はそう甘くない。自分でもそれはわかっていた。
だって、あの嘘吐きマシーンの口に蓋をするなんて、私がどれほど頑張ったところでできるわけがない。
それに、嘘で他人を操り、傷付けて平然としている奴を、私一人の力で阻止するなんてことはどう考えても不可能だった。


仮に今、あいつと交際中の新ターゲットと話す機会があったとしても、あちらは私の言うことなんて頭ごなしに否定するだろう。
第一、あいつが過去に犯した罪を反省し、悔い改める、といった展開になるなんてことは絶対にあり得ない。
そこは誰よりもこの私が一番よく知っていた。


じゃあ、一体どうすればいいのか。
その時その場で、誰の力も借りずに成し遂げられることをやっていくしかない。
まずは自分自身を治す。
そして日々の生活を立て直す。
他に選択肢は残っていなかった。


それからは毎日毎日、少しずつではあるが「今の自分にできることをやろう」と決め、何らかの行動を起こした。
すると、暗雲が立ち込めていた心も次第に晴れていき、日に日に落ち着きが戻るようになっていった。


ただ、何もかもが順調に進んだというわけではない。
自分一人ではコントロールできないことを、どうにかして思い通りにコントロールしたい、という、私の中にしつこく居座る欲望。
これだけはなかなか手放すことができないでいる。いまだに現在進行形で格闘中だ。


とは言え、コツらしきものはどうやらつかめたらしい。
近頃はこのコントロール欲との付き合い方が随分と上手くなってきたな、と思う。
やっと一息つけそう、という段階まで登って来れた。


そもそも、あなたとあいつとの関係はスタートからして普通ではなかった。
何しろ、相手はサイコパスだから。
巷で言う普通の人間関係のように、きちんと「幕引き」できればいいな、なんて甘い期待はするだけ無駄だ。忘れよう。


でもね。


あなたの魂の奥深くにずっと隠されていた、光輝く部分。
これほどの価値ある、貴重な宝物を掘り当てた今となっては、あいつとの間にこの先「幕引き」が起ころうが、起こるまいが、もうどちらでもいいや、どうでもよくなってきた…。


そんな気分になってきたんじゃないかな?





信じよう、自分だけの真実


回復を目指し、ひたすら歩き続けていた当時の私。
今の自分に最大のインパクトを与えた「気付き」が降りて来たのも、ちょうどその頃だった。
今でもはっきりと覚えている。


あれは、自分をようやく信頼できるようになり、「自分だけの真実」は間違いなく存在するんだ、との信念が自分の中にしっかりと根を下ろした、そんな時期だった。


理由はよくわからないが、サイコパスのやること・言うことは、まるで型で押したかのようにどれも似たり寄ったりなんだよね。あまりにも似過ぎていて気味が悪いほどだ。


それでいて、話の細かい部分となると、他の被害者が語る体験談と私自身の体験談とにはほとんどかぶるところは無い。読み終わってみると全く別個の物語だったという印象しか残らないのだから、実に不思議な感じがする。


当時はとにかく自分の身に何が降りかかったのか、理解したくてたまらなかった。
だから、いろいろな人に会い、いろいろな意見を片っ端から聞いて回った。
私、どうしたら早く治りますか?
私って、どういう人間なんでしょう?
これからどのように変わればいい?
何を信じたらいいのでしょう?
...といった具合に。


もちろん、自分との対話を徹底的に重ねたことは言うまでもない。
まぁ、それだって昔からやって来たことの延長線上なんだけれども。


ここで腑に落ちたことが一つある。

【自分の力を低く見積もり、自分のことを信じてやれないような人は、いつまで経っても生きづらさに囚われたままの人生を送る。】


皮肉なもので、私がこのような結論を導き出せたのは、サバイバー達のサイコパス被害体験談を片っ端から読み漁った後のことだった。


全ての体験談の中には、私の身に降りかかった状況と非常に似通った要素と、全く異なった要素とが同時に含まれていた。
そうした体験談を次から次へと読み進めるにつれて、私は自分の行く手に立ちはだかっていた分厚い霧が徐々に晴れていくのを感じた。


ようやく真実がその全体像を私の目の前に現した。
嘘偽りの一切無い、私が体験したものと寸分違わぬ真実が遂に表に出てきたのだ。


【私、ダメ人間なんかじゃない。いいところはたくさんある。】
まったくその通り。

【自分のことを正当に評価できるようにならない限り、真実をありのままの姿で捉えることは不可能だ。】


今回の経験を通じて、このことを痛いほどに思い知らされた。


もちろん、言動全てに100%の自信を持てるようになったか、と問われれば、「いいや、とんでもない!」と答えるしかない。少なくとも、今は。
だけど、昔よりも物事をより広い視野から見られるようにはなった。
心の声に誰よりも何よりも早く気が付き、じっと耳を傾けられるようにもなった。


あなたも、心が発している声をきっと見つけることができるはず。
私にだってできたのだから。
耳を澄まして、しっかりと聞いてあげようね。


最後に、これだけは強調しておこう。

【ノーコンタクト」のまま関係を終わらせることは可能。
悪夢のような日々を手放すことができれば、心の平和は戻って来る。】

これからもサイコパシーについての情報収集や勉強はどんどん続けていこう。
今のしんどい時期をやり過ごすことができれば、本来のあなたに備わった力が目を覚まし、動き始めると思うよ。
もう少しの辛抱だ。


毎日、信じてあげて欲しい。
毎日、慈しみ、そして愛してやって欲しい。
何の飾りも背伸びも要らない、【あなた自身】というかけがえの無い存在を。


あなたを一番上手に導いてあげられるのは、他の誰でもない、あなたなのだから。

2018年7月8日日曜日

サイコパス研究、開始/感情を、思考を、あるがままに受け入れよう

サイコパス研究、開始


サイコパスとの出会い、そして別れ。
これらを普通の人間関係と同列に扱うことはできない。
付き合った相手がサイコパスだった場合、しんどさは別れた後も終わらない。
「普通の関係」とは異なり、いつまでもずるずると引きずるのが特徴だ。


破局から立ち直りつつあるサバイバーの頭の中には、「どうして?」で始まる疑問文が次から次へと湧いて来るはず。
本当の意味で癒されたいのなら、浮かんだ疑問のひとつひとつに答えを出していくしかないんだ。
さもないと、いつまで経っても堂々巡りが終わらない。


サバイバーは「二人の関係が壊れたのは私のせいだ」と、自分を悪者にしたがる。
周囲の無理解と無神経さがそれを後押ししている部分もあるのだけれど。
あなたがどれほど大変だったか、知りもしないで
「なんでもっと頑張らなかったの?」
「いずれ破局するだろう、って予兆はあったでしょうに。気付かなかった?」
「喧嘩両成敗、ってよく言うし。まぁ、どっちもどっち、なんだろうね」
といった的外れのコメントをする連中って、結構いるんだよね。全く、いい迷惑だ。


だが、ここではっきりさせなきゃ。
異常なのは、サイコパスなあいつの方だから!


奴に出会った時は、まさかそんな人種がこの世に存在するだなんて夢にも思わなかったでしょ?
そう。あの頃はあなたもまだ「ウブ」だった。


この先も「あの人のことはもう忘れなさい」といったお節介を焼いてくる人は一人や二人じゃ済まないはずだ。
覚悟はしておこうね。
そういう人々は決まって「まだ別れた相手のこと考えてるの?だから、いつまで経っても吹っ切れないのよ」といった説教をしたがるもの。


そんな連中の言葉に耳を貸す必要なんて無いよ。
「サイコパス(精神病質)」と関わって傷を負った場合は、むしろ自分から動いて積極的に情報を求めるべきだ。
サイコパスについての知識を得れば得るほど、回復が早まる、というのが定説だから。


まずはサイコパス気質の捕食者が共通して用いる手口や、相手を巻き込むマインドゲームの諸パターンをつかめるようになろう。
そこをマスターすれば、「あの時、あいつが仕掛けて来たのはこれだったのか!」といった具合に、どうしても解けなかった謎がみるみるうちにほぐれていく。
虐待されたあなたの側に全く非が無かった、ということも明らかになる。


これでサイコパスの思考回路が完全に把握できたね。
あなたは最初から完全に「はめられて」いた。これも確定となった。。


心の中のわだかまりが一つ、また一つ...と消えていく。
さあ、時は満ちた。
今度は長いこと忘れていたパワーを、あなたが自らの手に取り戻す番だ!





感情を、思考を、あるがままに受け入れよう


苦痛は極力避けて通りたい。
ごく普通の人間だったら、まずそう考える。


ただ、苦痛に直面し、それに打ち克つというプロセスの中にある種の美を見出すのもまた、人間の逆説的な面白さなんだよね。
苦しみのどん底から這い上がり、向こう岸にたどり着けた時の喜びは、他の何にも代えがたいほど素晴らしいものだ。


あなたも、こうした喪失の諸段階を行きつ戻りつしながら、少しずつ癒しの方向へと向かいつつある。
この、行きつ戻りつという動き方。
サイコパスとの遭遇、そして破局を経た人にはよく見られる回復パターンだ。


様々な感情が波のように次々と襲ってくることもあるだろう。
その時は、自分の中を行き来するありとあらゆる感情を、余すところなく味わった方がいい。へたに止めない方がいいのだ。


また、頭の中がサイコパスのことばかり、脳内はハイジャックされたも同然、という時でも、浮かんで来る考えは無理に遮断しなくていい。
そっくりそのまま、入って来るに任せよう。
あまりにも奴の事ばかり考えている自分に、「まずいな、私までおかしくなったかな?」と不安になるかもしれないが、それでいいのだ。
あるがままに状況を受け入れよう。


もちろん、中には
「いや、あんな奴に脳内を乗っ取られてたまるもんか。こうなったら徹底的に追い出してやる!」
と、戦闘態勢を崩そうとしない人だっているだろう。
でもね、悪いことは言わない。やめておいた方がいいよ。百害あって一利なし、だから。


あなたが今経験しているような現象。
実は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状に当てはまる可能性が高いんだ。

PTSD/心的外傷後ストレス障害:「命の安全が脅かされるような出来事(戦争、天災、事故、犯罪、虐待など)によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害である。」(Wikipediaより)】




あなたが受けたトラウマ(心的外傷)を解消するためにも、必要な支援を求めて欲しい。その分野に詳しい専門家や治療法を探してみよう。
近頃は療法やヒーリング・メソッド/ヒーリングの技法にもいろいろなものがある。良いものがあれば、試してみる価値はあるかもしれない。


驚くことに、苦しみから逃げず、逆に立ち向かっていくことによって、自分自身の姿が次第にはっきりと見えるようになる。
今まで見たこともなかった自分の新しい側面に出会える。
しかも、以前と比べて、自己省察は一段と深みを増したような気がする。


自分を尊重する気持ち。
自分を大切にする気持ち。
そして、自分を信じる気持ち。
今、あなたの中で着実に大きく成長しつつある。


直感の声が少しずつ太く、はっきりと聞こえるようになってきた。
あなたはその声に従い、思い切った行動を起こせるようになっていく。


そろそろ信頼に値する人々と出会えたらうれしいな、って思い始めたんじゃないかな。


だったら、まずは自分自身をとことん信頼できるようになろうね。

2018年7月2日月曜日

幻影を手放して/「安全第一」

幻影を手放して

サイコパスからの虐待を受けた。
この苦しみから早く立ち直りたい。
一体何をすればよいのだろう。


まずは加虐者との「接触を全て断ち切る」ことから始めよう。


あなた、本気であいつと縁切りしたいって思ってる?
だったら、あいつに対してあなたが抱いたイメージをとことん切り捨てるところから始めなくてはね。
わかるよ。一度は愛した人だから、そう簡単に捨てるわけにはいかないよね。
でも、これをやっつけないことには、何一つ事態は変わらない。


ここで大変残念な、そして悲しいお知らせがある。
あなたが思い描いていたような人物は、もうこの世にいない。
しかも、未だかつて存在したことさえなかった。


あいつは、ただの幻影でしかなかった。
そもそも、彼/彼女という存在自体が「仮面」のようなものだったよね。
あなたのやることなすことを物真似し、あなたを操る、というその手口。サイコパス臭がプンプン漂う。


身も心も押し潰されるように辛い、という今のあなたの状態、私には手に取るようにわかるよ。
でも、ここはぐっとこらえて一歩前に進んで行かないと。
本当に自由になりたければ、これ以上あんな奴の幻影なんて追いかけちゃだめだ。


サイコパスに出会った時のことは、今でもはっきりと覚えている。
「うわ、こんな素晴らしい人がいたなんて!何もかもが完璧だわ!」と胸がいっぱいになった。
この人、誰よりも私をよく理解してくれている。当時は本気でそう信じて疑わなかった。
しかも、「ここだけは外せない」といった趣味・志向の話になっても、二人の意見は驚くほど一致。
「あまりにも話がうますぎる」と、少々寒気を覚えたことも一度や二度ではなかった。



だが、その後大きな衝撃が私を襲う。
彼の浮気が発覚したのだ。
それも、そんなことあり得ない、ひど過ぎる...と言わずにいられないほどの卑怯なやり方で、二股交際を続けていたのだという。
さすがの鈍い私も、そこでようやく気付いた。
「妙に話がうま過ぎるな、とはずっと思っていた。やっぱりそうだったのか...」と。


何もかもが、嘘だった...私自身と、私が彼に抱いていた愛情を除けば、全てが嘘・嘘・嘘。
私には大切な人だったのに。本気で彼のことを愛していたのに。


強烈な心の痛みにもだえ苦しみながらも、私は自分の中の小さな灯火──真実、という灯火──を必死に守り、光を消さないようにと歯を食いしばって耐えた。
私の魂にかろうじて残っていたこの真実の光。
どんなことがあろうと、見失うわけにはいかない。


あいつが必死に演じようとしていた「夢のようにすてきな彼氏」。
幻は、全て投げ捨てた。
私の場合、あいつの影を一掃したおかげで、しばらく疎遠になっていた自分のハートとの距離をぐっと縮めることができたように思う。


あなたにもぜひそうなって欲しい。
どんなことをしてでも、あいつの幻影は手放していただきたいのだ。
サイコパスの幻影を捨て去ることができれば、きっと本来のあなたに再び巡り会えるはず。
その日が訪れるのはそう遠い未来のことではない、と思うな。






答え探し──でも、まずは安全第一で!


付き合っている相手は、病的な嘘吐きだった...。
それを知った私は、「真相究明ミッション」とも呼ぶべき強烈な欲求が自分の奥底からこみ上げてくるのをどうにも抑えることができなかった。


周囲の誰もが──ただ一人の例外も無く──私を制止しようとした。
「サイコパスのことをあれこれ調べるのは止めとけ」と。


でも、私としては、一つでも多くの嘘を暴いてやりたいという気持ちに突き動かされていたため、周囲の制止を振り切ってそのまま真実を探し続けたのだった。
その判断は正しかった。
今も自信を持って言える。


なぜ正しかったと言えるのか?
それは私が

サイコパス本人、並びにサイコパスと関わりのある人々とは接触せずに、あくまでもその周辺から「真相は何か」を調べる


という方針を徹底的に貫いたからだ。


また、新しく仕入れた情報をサイコパス本人やその取り巻き連中に漏らしたい、との衝動に駆られても、じっと我慢し、口を閉ざした。
本当は喋りたくて喋りたくてたまらなかったのだが。


私自身の匿名性をキープしつつ、入手できる情報源は全て当たり尽くした。これ以上深入りしたら身元が割れて危険だ、と感じた時点で、調査活動はひとまず終了。


情報はつかめたが、だからと言って心の傷がすぐに癒えたわけではない。
しかも、今回明るみになった奴の悪事は、全体から見たら「氷山の一角」。まだまだ多くの事実が埋もれていそうだということもあり、特に気持ちが晴れたわけでもなかった。


それでも、自分から動いて正解だった。
真実を求め、自らアクションを起こすことで、それまで見失っていた自分自身が(全部ではないにせよ)戻ってくるのを実感できたのだから。
崩れ落ちた自尊心を立て直す道への一歩を踏み出せたのは、この一連の真相究明ミッションを遂行したおかげだ。
私はそう思っている。


答が欲しいのなら、好きなだけ探したって構わない。
本当のことが知りたいのなら、好きなだけ隠された真実を暴いたって構わない。
ただし、

ノーコンタクト、というルールの
範囲内でなら...ね。


2018年7月1日日曜日

絶縁(ノーコンタクト)②~絶縁状態での幕引き

絶縁状態での幕引き

【これから数回に分けて掲載する部分は、僕の親友であり、PsychopathFree.comの共同管理者も務めてくれている「HealingJourney」女史が寄稿してくれたものだ。彼女の鋭い洞察のおかげで、僕も多くの気付きを得ることができた。 
彼女は本も出している。 
「サバイバーによる探究の旅:悪との遭遇、そして回復の記録」(原題:The Survivor's Quest: Recovery After Encoutering Evil)。興味ある方にはぜひご一読をおすすめしたい。】

The Survivor's Quest: Recovery After Encountering Evil (English Edition) 
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サイコパス人間という悪に遭遇し、奴の魔の手から命からがら逃れてきた経験を持つ人ならばわかってもらえるはず。
サイコパスとのつながりを断ち切るのは、実にしんどい作業だ。
「簡単にできるよ」なんて、口が裂けても言えやしない。


サバイバーは、とにもかくにもサイコパスとの接点を断ち切り、絶縁(ノーコンタクト)状態が安定期に入るまでは、ほとんど身動きが取れない。
絶縁状態がほぼ確実となってはじめて、砕け散った心、バラバラになった生活のかけらを、一つ一つ拾い集められるようになる。


「できれば、きちんとこの関係にけりをつけたい。」
多くのサバイバーからこのような声を耳にする。
何らかの形でサイコパスに締めの言葉を言わせて関係を終えたい、と願う人もいれば、逆に「そんな言葉、聞きたくない」と耳をふさぐ人もいる。


でも、サイコパス被害に遭って、そこからの回復を目指すサバイバーだったら、誰もが一度は同じ問いにぶち当たるはず。
(時期は人によってそれぞれ異なるけれど。)


「この暗闇から外に出られる日なんて、本当にやって来るのだろうか?」


まず、良いニュースから言おうね。
「イエス。あなたは必ず暗闇から出られるし、奴との関係にけりをつけることだってできる。」


でも、幕引きをサイコパス側にやってくれたらいいな...、という部分については、「ノー」。
あいつに期待したって無駄だから。
そんなこと、やるわけがない。


幕引きの作業は、あなたの内側から来る合図に従って行われなければならない。
外ばかり見ていてはだめなのだ。


では、これから数回に分けて、幕引きへと至るルート上で出会う通過点を、いくつか紹介していこう。
ただし、これはあくまでも【路線図(ロードマップ)】のようなもの。





だから、文章に登場する順番通りに出来事が起こるだろう、といった年表のような使い方はしてもらいたくないのだ。
複数の出来事が同時多発的に起こることも考えられる。
ということで、時間軸に関する部分は、読者のみなさんの自由な解釈にお任せしたいと思う。