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2018年6月24日日曜日

喪失の段階---Part 1 ⑨認知的不協和

認知的不協和

前項で僕が書いたような心の動き。
http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2018/06/part-1.html
これ、一般には「認知的不協和」という名称で知られている現象なんだ。



【※こちらの過去記事「臨時ターゲット【1】」もご参照ください。以下、引用。】 
「サイコパス人間のターゲットとなった人が陥りやすい精神状態がある。それが、 
【認知的不協和(cognitive dissonance)】 
だ。

参考記事 「認知的不協和の意味と例」より
「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。
その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。 
そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」 
論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHP(http://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。 

自分の中ではちゃんと筋が通っていると思われるような、理屈。
僕たちはそうした理屈を目の前にいる特定の相手へと投影するわけだが、ところがおおよそまともな理屈など通じない、理不尽だらけの奴が相手だと、後に残るのは『何かがおかしい』といったモヤモヤ感だけだ。」

頭の中で、互いに矛盾したことを言う心の声と声とがぶつかり合う。
そうした時の心の状態が「認知的不協和」と呼ばれている。


サイコパス的人物と関わりを持った人が、このような心理状態に陥ってしまうのは至極当然のことだ。
あいつにさんざん調教されたせいで、あなたはすっかり「指示待ち人間」と化してしまった。
両目をしっかりと見開いて物を見、自分の心でもって何かを感じる、といった、ごく当たり前のことができないようになってしまった。


「愛」だの「献身」だのといった調子良い言葉ばかり乱発し、あなたとの関係についてべらべらしゃべりまくっていたサイコパス。
だけど、奴のしゃべりをずっと聞かされていたあなたは、相手から愛され、尽くされていると実感できたことなんて、ただの一度も無かったはずだ。


胸の奥でずっと大切にあたためていた将来の夢や計画を、あいつに打ち明けた日のこと。まるで昨日のことのようにくっきりと思い出せる。
そのどれもが「夢物語」の域を一歩も出ずに終わってしまったことは、もはや言うまでもないよね。


さて、あなたは今、何を信じたらよいのだろうか。
あいつの行動か?
それとも、あいつの言葉か?


あいつと付き合っていた頃のあなたは、奴の言葉にさんざん振り回されていたよね。それもかなりの長期にわたって。
最初の頃は、あいつから放たれた言葉の一つ一つを愛おしみ、うやうやしく押しいただいていた。
やがて、放たれた単語一つ一つの背後に、何らかの隠された意味が無いだろうか、と、やたらと深読みする癖がついた。
しまいには「あの人の言うことなんて、もう何も信じられない」。
こんな結末を迎えることになるなんて、一体誰が予想できただろうか。


「何かがおかしい」
あなただって、途中からはうすうす勘付いていただろう?
にもかかわらず、心のどこかで「この人こそ、私の『ソウルメイト』に違いない」(結局、口から出まかせの、偽ソウルメイトでしかなかったのだが。)との信念をどうしても捨てられず、せっかく生じた直感を殺してしまった。




そして今。
ようやくあなたは、奴という人物にまつわるありとあらゆる幻像を、自分の中から一掃していくぞ、との段階にまで到達した。
あいつの頭の中がどうなっているのか、今はまだしっかりとは把握できない。
でも、とにかくあいつに関しては「何かがおかしかった」。
そのことだけは確かだ。


そうなると、あなたの内面にも激しいせめぎ合いが生じてくる。
愛と情熱の日々を夢見たあの頃のあなたには、この辺りでどうしても冷や水を浴びせてやらねばならない。目を覚まし、事の成り行きを冷静な眼でもって見るべき時が訪れたのだ。いつまでも夢ばかり見てはいられない。


とかく極端から極端へと走りがちなのが、この時期のあなたである。


「あんなヤツ、付き合い始めてすぐの頃から浮気してたし、口を開けばどこまで行っても嘘ばかり。人間じゃないね。怪物、怪物!」


そう言ったかと思うと、今度は逆方向に大きく振れる。


「...でも、あの人、実はそこまでひどくはないのかもしれない。無神経は無神経なんだけど、意図して人を傷つけるつもりは無かったんじゃないかな?
もし私から『もういいよ、水に流すから』って一言言えば、無事仲直りできるかもしれない。」


「いや、ちょっと待てよ。
あの人、私に向かってとんでもない暴言を吐いたことあったよね。あれ言われた時、自分がゴミ屑以下の人間になったように感じたんだっけ。しかも、あんた一体何様なのよって感じの高飛車な態度で私を見下し、無能な子供扱いしたことだってあったじゃないの。」


そして、またもや話は逆方向へと揺り戻される。


「でもさ、誰だって間違えることはあるよね...。
もう一度だけチャンスをあげてもいいかも。いつまでも恨みを持ち続けるのはよろしくない、って昔からずっと言われてることだし。少なくとも『友達』としての関係ぐらいはつないでおいた方が、後味は良くなると思うな。

だって...

あの人が私の手を握って『愛してるよ』ってささやいた時の、あの美しい思い出。
あれを忘れるなんて、私には絶対無理...。」


これこそが認知的不協和によって引き起こされる最大の危険なんだよ。
認知的不協和に囚われた人は、甘美な思い出ばかりを何度も何度もリピート再生しがちだ。しかも、そこからなかなか脱け出せなくなってしまう。酒や薬物への中毒と似てるよね。


壊された夢。
何の根拠も無く吐かれた、嘘。
そんなものでも別に構わない、もう一度あの人とやり直しできるのならば何だって欲しい...と焦るあまり、ここで再び道を誤る恐れがあるんだ。


厄介な感情から逃げることなく真正面から向き合い、しっかりと対処できるようになれば、極端過ぎる思考の揺れは少しずつおさまっていく。より中庸に近い考え方ができるようになっていくはずだ。


ただ、そこへ至るまでの間が危ない。まだまだ心が相当ぐらついているとあって、新たに仕掛けられた虐待の罠にいとも簡単に捕まりかねないんだよ。


いいかい。
あなたが「認知的不協和」の状態を無事脱出するまでは、決して気を抜いてはいけない。
さもないと、あいつの騙しの手口に再度引っ掛かって、全ての努力が水の泡となる恐れがあるからね。



甘い言葉をそっと耳元で囁かれただけで、たちまち【理想化】の段階へと舞い戻りかねない。
今のあなたには、そのような危なっかしさが多分に感じられてならないんだ。


ならば、一体どうやって自分の身を守ればいいのだろうか?




2018年7月27日金曜日

脱洗脳②

~認知的不協和で心はズタズタ。なぜそうなった?~


前項では、「認知的不協和」にさらされた心がどのように揺れ動くのか、実際にはどのように感じられるのかを、経験者ならではの視点で書いてみたつもりだ。
【参考記事:知育ノート「認知的不協和とは?認知的不協和理論の具体例はタバコとイソップ?」 】


ちょうどあなたもその段階に来たところかもしれない。
当時の私は、自分の身に何が起こったのか全くわからず、ただ絶望するしかなかった。


なぜ、私たちは絶望のどん底へと落とされてしまったのだろう?


それは、私たちが
【洗脳】
を受けていたから。


「おかしいのは全てあなたのせいだ」
「問題をこじらせるのはいつもあなただ」


との説を、相手から無理矢理押し付けられていたからだよ。
あなたも。そして、私も。



( ↑新潟青陵大学大学院・碓井真史教授のwebサイトへとリンクします↑)



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「…予測された出来事が"安定剤"として作用するのとは逆に、意表をついた出来事は不安を高める。実際、洗脳では、一旦、"安定剤"に依存させておいて、それを急にわざと与えないことで、不安に叩き落とすのだ。 
突然そうした状況に陥ると、本人は混乱し、何が悪かったのかと自分を振り返ったり、責めたり、相手の気持ちを推し量ろうと、もっとびくびく相手の顔色をうかがうようになる。 
そんな心理状態をしばらく味わわせ、緊張が高まりきったところで、何が気に入らないかをほのめかす。不安な心理状態におかれているだけに、この不安定な状態を解消できるのなら、喜んで妥協し、相手のいいなりになる。」 
(「マインド・コントロール 増補改訂版」電子版、岡田尊司、文春新書、2016年)

嘘、裏切り、守られなかった約束...。
度重なる不誠実な仕打ちに、さすがのあなたも堪忍袋の緒が切れてしまった。
だからつい、感情をあらわにしてしまったんだよね。
もっとも、そうした状況に置かれれば、誰だって同じ反応に出たと思うけど。


なのに、あいつはそれさえも自分の都合のいいようにねじ曲げ、利用した。
そして「何もかもお前のせいだ」とあなたに信じ込ませ、自分の支配下に置き続ける、という汚い手口に出てきた。


そうなると、あなたも「もう一度だけ頑張ってみよう」との方向へと向かわざるを得ない。
「何もかもお前が悪い」。
相手にそう吹き込まれたあなたは、自分の出方次第で状況をコントロールできるのではないか、との錯覚を起こす。
自分が変わりさえすればいいんだ。そうすれば、状況だって変えられる...と。
で、行き着いた先が次のような思い込みである。

「次はもっとうまく立ち回ってみせる。そうすれば、あの人だって以前のような優しさを取り戻してくれるはず。」



そもそも、「自分に100%非がある」というあなたの考え自体が正しくないのだ。
あなたが悪かったのではない。
ただ、状況がクリアーに見えていなかっただけなんだ。
あいつから、【嘘】という名の毒をたんまりと盛られたせいで。


あなたがどんな人なのか。
あいつとの関係ではどういった役割を演じるべきなのか。
毒が脳味噌に打ち込まれ、奥深いところにまで回ったことで、次第にそうした問いにも答えを出せなくなる。
無理もない。毒を盛られたのは、一度や二度ではなかったのだから。


こうして生じてきた状態が、【認知的不協和】だ。
一度はまってしまうと、自分自身の現状に疑問を抱き、そこから脱出するのがきわめて難しくなる。


脱け出すのが難しい理由は、他にもまだある。
あいつとあなたが付き合い始めた頃を思い出してみよう。
理想化、そして「愛情爆弾(love-bomb)」という攻撃でもって、あいつはあなたを見事なまでに陥落させたよね。
残念ながら、それは否定しようもない事実。
だが、あいつはその事実に【認知的不協和】を注ぎ足して、両者をごた混ぜにした。
その結果、あなたを取り囲む世界はますますその混迷の度合いを深めていった。


そこから先は、全てが悪化するばかり。
私って、一体どういう人間だったっけ...。
それすらも、今となってはあやふやだ。


このように【認知的不協和】という濃い霧に包まれていったあなた。
勇気を振り絞り、【ノーコンタクト(絶縁)】という決断へと踏み切り、自分と向き合わない限り、どうにもできない。
濃い霧に視界を阻まれ、進むべき道が一向に見えない。


とはいえ、【ノーコンタクト(絶縁)】を徹底的に貫くこと自体、今のあなたにとってはとんでもなく難しいことのように感じられるのではなかろうか。
それは仕方ないよ。
【認知的不協和】にさんざん荒らされて、もう頭の中はめちゃくちゃ。
筋道立てて考えろ、だって?
冗談じゃない。無理、無理!


...正直言って、今はまだそんな気持ちが強いだろう。
「じゃあ、ノーコンタクトにでも入りますか。」なんて軽く言えるような心境になどとなれるわけがない、といったところじゃないかな。




2019年9月11日水曜日

無邪気さの消失【2】

僕らの中からは以前のような無邪気さが消え失せてしまった。
残念ながらこれは事実だ。
僕らにはもう、絶えず他人を警戒し、片時たりとも気を抜くことができないような、そんな不毛な人生しか残されていないのだろうか。


いや、そんなことはないはずだ。


確かに無邪気さという性質は失われたかもしれない。
だが、それと引き換えに得られたものもある。
周囲の世界や人間関係を、より現実的な角度から冷静に見られるようになったじゃないか。
晴れてこうしたスキルを習得できたのだから、苦労した甲斐もあったというものだ。


もちろん、以前の僕らはこんなじゃなかった。
当時の僕らがやっていたのは、僕ら自身の中にある善良さというフィルムを、無意識のはたらきという映写機を使い、正面のスクリーン、つまり目の前に現れた人物の上に投げかけて作品を映し出す、といった作業であった。
これ、世間で言うところの「いい人」ほどやってしまいがちだ。
で、「ああ、この人もきっといい人に違いない」と早々に評価を下してしまう。


こうした心のはたらきは「投影(projection)」と呼ばれている。
多分、あなたにも思い当たるところはあるんじゃないかな。

https://pixabay.com

人の本性を見抜けるようになりたい。
あなただってそう思っているよね?
だったらまず、その人がどう振舞うのかをじっくりと観察する習慣をつけよう。
実際にどんな行動に出たか、に注目しよう。大事なのは言葉じゃない。行動だ。
そうすればその人の人となりについての情報はひとりでに浮かび上がってくるよ。
人物評価を下すのはそれから後でも決して遅くはない。



ね?
悪いことばかりじゃないよ。
サイコパス体験を経なければ、このような先々まで役立つスキルを身に付けるチャンスは得られなかったかもしれない。


最初の頃はとにかく悲しさで心が押しつぶされそうになるだろう。それ以外の感情はほとんど湧かない。
そもそも、無邪気さが完全に自分の中から消え去るまでの期間は、心の内側で何が起こっているのか、自分でもよくわからないはずだ。
なくなってはじめてその存在に気付く。
あなたにとっての無邪気さもまた、そういう類の性質だったようだ。


これまで虐待経験を無事乗り越えた人々(サバイバー)にいろいろと話を聞いてきたけれど、次のような感想を漏らしている人が案外多かったように思う。

【悲しみや怒りといった感情を、どうやって外に向かって表現していいのかがわからない。】

いやな顔一つせず、常に明るく、他人のために走り回っている便利屋さん。
生まれてこの方ずっと、家族や周囲の人々からはそうした役割を期待されてきた。
仕事をこなしていく上で、生々しい感情なんてものは邪魔でしかない。
湧いてきたら、即、封印。
彼らにとって、それはごく当たり前の対処法だった。


やがてこうした人々の内面世界は

【誰にでもきっといいところがあるはずだ。 短所ではなく、その人の長所に目を向けてあげよう】

といった「性善説信仰」にじわりじわりとむしばまれていく。
その思い込みは日に日に強まるばかり。一向に衰えることはなかった。
目の前で展開されている光景がどれほど醜く、そして忌まわしいものであってもなお、その頑固な性善説信仰はびくともしなかった。
「欠点ではなく、むしろ長所に着目しよう。」
これがあなたにとっての金科玉条となったのである。


そして遂にサイコパスが登場する。


「どうか良い方へと変わってほしい」
もともとは光輝く「性善説」に満ち満ちた心の持ち主だった、あなた。
持てる全エネルギーを注ぎ、身を粉にして奴のためにさんざん尽くしてみたものの、結局あいつは何も変わらなかった。変わるどころか、その傍若無人ぶりはますますエスカレートしている。
これほど手強い相手に会ったのは生まれて初めてだ。


それでもあなたは諦めることなく、奴に振り向いてもらいたくて、必死の努力を続けた。
少し前に書いた「認知的不協和」という現象も、ちょうどこの時期に生じてくる。
何をやっても、どれだけ尽くしても、あなたの祈りが奴に届くことはない。
全てがむなしく空回りするばかりだった。

────────────────────────────────
【*注:参考記事 「認知的不協和の意味と例」より

「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」


論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHP(http://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。】



【明らかにダメな相手なのに、無理やり良い相手であるかのようにこじ付けて自分を納得させる】。これも立派な【認知的不協和】と言えます。


~いかにもありそうな話(フィクション)~
「彼、私の誕生日には泊まりでどこか旅行に行こうね、ってあれほど言ってくれたのに。LINEも既読スルーで、もう一週間も音信不通。仕事、忙しいのかな...彼、新プロジェクトの件ではすっごく上司から期待されてるって嬉しそうに話してたもの。ここで頑張らないと後が無いから、とも言ってた。
...そうだよね、忘れられたわけじゃないよね。仕事のことで頭がいっぱいなんだと思う。ここはひとつ、彼の大変な立場を理解しなくては。待っていれば必ず連絡が来るだろうから、黙って応援することにしよう。」
ーーー>その後間もなくSNS上に流れてきた写真で、彼女はこの彼氏が別の女性とハワイで楽しい休日を過ごしていたことを知った。
────────────────────────────────


【理想化】、そして【脱価値化】。
天国から一気に地獄、地獄からまた天国へ、といった具合に、両極端の状態を何ヶ月にもわたって行き来させられたことで、あなたの精神は徐々に平衡感覚を失っていく。
一体相手の真意はどこにあるのだろう。
先の展開は全く読めない。



「愛してるよ」
あの人の口から確かにこの言葉を聞いた。
諦めるのはまだ早い。望みを捨てずにいよう。もう少し待ってみよう。
そう自分に言い聞かせたことも、ただの一度や二度ではなかったはずだ。
だが、当時、あいつがどのような行動に出ていたか、思い出して欲しい。
果たしてそこに愛情はあっただろうか?
奴の言っていることとやっていることとの間には、深く大きな溝がありはしなかっただろうか?


罵倒。
非難。
浮気。
嘘。


そもそも、二人が本当に愛し合っていれば、こうした負の要素が間に割って入ることなど、まずあり得ない。
愛あるところに「もう死んでしまいたい」という自殺念慮など生じるはずもない。
心傷ついた人を嘲り、貶めるだなんて、とても愛ある人のすることとは言えない。
あなただって心のどこかではちゃんとわかっていたんじゃないかな。
「この人の中には愛なんてない」ってことを。


そのような辛い体験が積み重なって、一人悶々と思い悩む時間が増えていけばいくほど、怒りの感情があなたの心の奥深くに堆積していく。
怒りだけではない。
うつ状態もまた、日を追うごとに悪化の一途を辿っている。


身も心もサイコパスにすっかり食い尽くされてしまったかのような、そんなあなた。
かつてはまばゆいほどの輝きを誇っていた光も、今や風前の灯と化してしまったようだ。
あなたの強力な光をもってしても、あいつを改心させることだけはできなかった。
このままさらに心労が続けば、遅かれ早かれあなたの方が相手の闇にぱっくりと呑み込まれてしまうに違いない。



もはや誰の目にも明らかだ。
あなたから放たれる光の勢いは、日一日と弱まりつつある。
一体この先、どこまで持ちこたえられるのだろうか。





2018年8月2日木曜日

脱洗脳③

~認知的不協和をストップできた私。一体何が効いたのか?~

正直に言うと、【ノーコンタクト】に入ってから6週間ほどの間は、「しんどい」どころの話じゃなかった。
精神が二つに引き裂かれ、片方があっちに、もう片方がこっちに、といった具合に引っ張られる綱引き合戦がひっきりなしに行われていたようなものだったから。


だけど、そこで気を取り直してサイコパス、ナルシシスト(自己愛)、ソシオパスに関する資料を読むことに集中してみた。
そうするうちに、認知的不協和も徐々に減り、ついにはすっかり消えて無くなったんだよね。
多分、私のはらわたの奥深い場所、つまり本能の部分では、がっちりと真実をとらえられていたんだろう。
だからこそ、【違う、私はおかしくない。あいつこそが真のサイコパスだ!】との声がずっと止まなかったのだと思う。


読んだ資料はどれもこれも真実を告げるものばかり。
書かれた言葉の一つ一つが魂の奥底にまで響き、そして深いところにまで沁み込んでいった。
まだ頭の中は混乱していたけれど、その内容に上書きしたり、はたまた上から覆い隠したり、といった小細工はもうやれないな、と思った。

暗闇にパッと灯がともるような、新しい発見の瞬間。
当時の私には、そのような体験(「アハ!体験」とも言えるだろうが)が絶対的に不足していた。
だから、一つでも二つでも多くの灯りを自分でともして、はっきりと物が見えるようにしなければならなかった。


ようやく分かり始めた。
私はあいつに「洗脳」されていたのだ。
認めるのは辛かった。でも、少しずつ現実を直視できるようになってきた。


実は、身体の奥深く、はらわたの辺りから「ストップ!」の声が聞こえたのは、これが最初ではなかった。
記憶のはるか彼方に行ってしまっていたけれど、少しずつ後から思い出してきた。
あれは確か、あいつと付き合い始めて2、3週間経った頃のことじゃなかったかな。


取りあえず、脳から来る雑音は黙らせておく方がいい、と気付いた。
あの厄介な脳内綱引き合戦、つまり認知的不協和が再び始まると、脳味噌もごちゃごちゃと余計なことを横からまくしたてるようになるものだ。
この難局を乗り切りたければ、脳味噌にも少し黙っていてもらわないと。



そこで、私は新しい試みを始めた。
脳内の雑音があまりにも耐え難くなり、「黙れっ!」と一喝したくなったら、すぐさまサイコパス/精神病質者の行動に関する情報・資料を手に取るようにするのだ。
そして、ガンガン読み進めていく。
この新習慣を自分に課した。



本当に癒され、真実をより確実に理解したいと願うなら、まずは脳内にさまざまな疑問が忙しく飛び交っている時間を極力減らさないといけない。
疑問に頭を占領されているようでは、勝ち目はない。
魂の奥深くから「ああ、その通り...」と納得できるような事実...前回触れた「アハ!体験」のような事実...を疑問の代わりにどんどんインプットしていくこと。
当時の私には何としてもこれが必要だった。


だから、私は【ノーコンタクト】が定着するまでの間は、意識してあいつとの接点を避けた。
思い出の場所には行かない。好きな音楽も聴かない。共通の知人たちも遠ざける。
とにかく、徹底的に接点を減らすようにした。
うっかり接触すると、あいつの事で頭の中があっという間に占領されてしまうかもしれないのだ。
そうなったら全てが水の泡となる。



それに、【犠牲者/サバイバー】となり、命からがらサイコパスから逃れてきた実体験を、下手をすると私自身がわざわざ台無しにしてしまう可能性も、全く無いわけではなかった。
今、あいつと関わる人や物と接触すれば、心がぐらつくのは必至だ。
そうなると、自分を言いくるめ、本当の気持ちをごまかし、過去全否定だってやってしまうかもしれない...。まだまだ危なっかしい自分だったから、気を抜くわけにはいかなかった。
とにかく、あいつとは一切の関わり合いを持たないに越したことは無いのだ。


以上のような手順を踏んで、私は【ノーコンタクト】の状態を無事に守り通すことができた。
そして、認知的不協和に煽られ、やたらとうるさく叫び声を上げていた頭の中の厄介者・「疑心暗鬼」も、今では打って変わっておとなしくなった。
以前だったら、倒しても倒してもしぶとく立ち上がり、これでもか、これでもか、としつこく私を挑発してきた疑心暗鬼。最近ではすっかり無口になった。


いい?
ここからは、しっかり読んでね。


確かに、回復というゴールへと向かう旅路は長く、厳しいものとなるに違いない。
時には、頭の中に疑問が生じてどうにも止めようがない、しかも一つ疑問が解決するやいなや、その答えがまた別の疑問を呼び寄せてくる。脳内問答が永遠に終わらない...。
そんなややこしい時期だって一度や二度は体験することになるだろう。


いくら頭の中で状況分析しても、実際は身動き一つすら取れない、なのに脳だけは異常にアクティブに動いているものだから、思わず「うるさい!黙れ!」と自分に怒りをぶつけたくなる。
そうかと思えば、頭でっかちになり過ぎるのもさすがにまずいな、と気付く時もあるだろう。
そして、はらわたから上がってくる声にじっと耳を傾け、その声に従ってみるのもいいかな、と思える時期だって、いつか必ず訪れる。


あなたには次のことだけでも覚えておいて欲しい。


サイコパスがついた嘘を真に受けてしまい、頭の中を疑いばかりで満タンにしていると、回復できそうな心も回復できなくなってしまう。
だって、肝心な「真実」を収容するのに必要な空きスペースが不足した状態で、あなたは一体どうやって嘘を見抜けるというの?
まずは、真実を自分の中にどんどん落とし込んでいかないと。


そうと分かったら、早速汚れた脳味噌のお洗濯を始めよう。
「真実」のシャワーで脳内を洗って、洗って、何度もきれいに洗い直していこうね。


あなたの中にどれだけの真実が収容可能かは、サイコパスから受けた洗脳をどれだけ多く除去できるかどうかで決まってくる。
分かりやすく言うと、こう。

【受け入れた真実の分量が増えれば増えるほど、サイコパスから受けた洗脳が除去されていく。】


だから脳味噌はどんどん真実で洗ってやった方がいいのだ。
脳を洗えば洗うほど、サイコパスがあなたの脳に埋め込んだ高濃度の嘘も少しずつ薄められていき、しまいには跡形もなく消え去っているはずだから。


ある朝、あなたはいつものように目を覚ます。
「あ、もう私は大丈夫。真実がしっかりと脳味噌に浸透したから!」
いつかそんな日は必ずやって来る。
最初にはらわたレベルで受け止めた真実が、ゆっくりと時間をかけてあなたの体内でろ過されて、上昇していき、遂には脳まで辿り着く。
そうなったら、サイコパスの嘘も、真実の力でもって全て駆逐完了となっているはずだよ。
嘘が消滅したことで生じた空きスペースには、真実がしっかりと根を下ろすことだろう。
そして末永くそこに居続けてくれるに違いない。


内なる平和。
とうとうあなたも手に入れた。




────────────────────────────────

ということで、この章では二人の寄稿者に登場してもらった。
彼女達の文章を読んで、あなたが回復へと向けて旅立つ勇気が湧いて来たなら、僕としても大変うれしい。
数々の有益なアドバイス、ぜひとも参考にして欲しい。


「真実を広めること」。

今、暗闇の真っ只中にいる人にとっては、これこそが最強最上の暗闇脱出法ではなかろうか。
サバイバーにとっての知識は、力としてはたらく。
逆に、サイコパスには、その知識が彼ら自身を傷付ける毒としてはたらく。


だから僕たちサバイバーにとって、情報はいくら多くても多過ぎるということは無いんだ。絶対に。
そうして必要な情報を手に入れ、歯車がきちっとかみ合い、全てが動き始めたら、そこから先はこっちのものさ。
...後はひたすら光に向かって前進あるのみ、だよね。


本書【訳注:英語原書の"Psychopath Free"。下のリンクを参照ください。】の巻末にはさまざまな記事、書籍、動画の情報をまとめておいたので、ぜひそうした資料を大いに活用し、自分の身を守るための知識を仕入れてもらえれば、と思う。
そして、認知的不協和という、われわれにとっての忌々しい敵を、徹底的に叩きのめしてしまおう。



2017年2月1日水曜日

臨時ターゲット【1】

この項は、僕が親しい友人と交わした会話に基づいている。少々個人的な域に踏み込んでしまった感もしなくはないが、まあ、読んでみて欲しい。
内容には若干の編集を施し、できるだけ幅広い読者層に共感してもらえるような形へと仕上げたつもりだ。


自分以外にも、例のサイコパス人間と関わって痛い目に遭った人々は何人か知っている。でも、他の人々が受けた待遇と自分のそれとを比べてみたとき、どうも自分一人だけが「使い捨て」のような扱いを受けたように思えてならない---。
そのような苦々しい気持ちを抱いている人はいないだろうか。
もしあなたがそうなら、ぜひ以下の部分を続けて読んでもらいたい。


サイコパス人間は次なる獲物を求めて常に徘徊し続ける。
そんな彼らでも、一つの「ステディな」関係に終止符を打ち、次の関係へと移っていく過渡期にあっては、何かしらの(もしくは、誰か)つなぎ役を必要とするようだ。
どっちつかずの宙ぶらりんな時期、そこにぽっかりと空いた隙間があれば埋めなければならない。


そこで彼らが触手を伸ばすのが、「臨時ターゲット」。
文字通り、これはあくまでも一時しのぎのターゲットに過ぎない。
新たな獲物が現れた時点で即、ポイ捨てされる運命にある、そういう人々だ。



もし、あなたがこの「臨時ターゲット」に該当するのであれば、僕がこの本でずっと書いてきたサイコパスな交際相手の態度と、実際にあなたが体験したこととの間には、多少異なる部分があるかもしれない。


サイコパス人間があなたと付き合っている間、「これからも末永く二人でいられたら...」などと思うことは、間違ってもあり得ない。
次は誰を狙おうか、なんてまだはっきりと決めていない時期であっても、同じこと。二人の将来をどうするかなんて、一切考えたりしないのだ。
だから、あなたとの関係も急ピッチで深めようとしきりに迫って来るのだ。
何事も、手早く。
【理想化】の段階からあなたのことを引きずり下ろしに掛かる作業にしても、だらだらと時間を費やしたりはしない。


その【理想化】段階にしても、実に杜撰(ずさん)でいい加減なものだ。手抜きのし放題である。
まず、金は出し惜しみする。
自分からは何の行動も起こそうとしない。
あなたを特別扱いすることもない。
動くのは口先だけ、だ。
ひたすら言葉のシャワーだけは浴びせかけてくるものの、それ以上の手間暇はかけない。



そんな相手の手口に、あなたはまんまと引っ掛かってしまったんだよね。せめて言葉だけは嘘・偽りの無い真実であってほしい。そう信じていたかったから。
でも、あなただって、途中からはうすうすと気付いているだろう?
あいつらはいつでも言行不一致なんだよ。
言っていることとやっていることが全然違う。

Copyright: http://www.123rf.com/profile_atlantisfoto/ 123RF Stock Photo


あなたにとって、この相手との関係は何にも代えがたい、とても大切なもの。
だって、他人からここまで関心を注いでもらい、理解を寄せてもらったのは、あなたにとって生まれて初めての体験だったのだから。
そう思うのは当たり前だよね。



それに、あなたは「誰かを幸せにしてあげたい」という夢をひそかに抱き続けてきた人。「苦しみ」や「悲しみ」(本人談)を無数に潜り抜けてきたという愛する人を支えたい、と考えるのはごく自然な流れだろう。
...この人、私のことを本当によくわかってくれているみたい。ずっとひとりぼっちで、何度も心が折れそうになったけど、こんな私にもようやくソウルメイトが現れた。...。


残念ながら、これら全ては真っ赤な嘘だったのだ。


サイコパス人間にとって、あなたは単なる気晴らし程度の相手でしかなかった。
彼らの「臨時ターゲット」に対する扱いのひどさは、特に目に余るものがある。こちらから働きかけても、返ってくるのは「どうでもいいよ」といった、そっけない態度だけ。
こんな調子では、さすがのあなただって「この人、冷たい...。」と感じないわけにはいかなくなってくる。



相手からのひどい仕打ちにもめげず、それでもなお、せっせと相手に愛を注ぎ続けるけなげなあなた。
あとちょっと自分が努力すれば、そうすればあの【理想化】段階の日々が戻るかもしれない...。
そんな淡い希望を抱いたことも、今振り返ると虚しい。



サイコパス人間のターゲットとなった人が陥りやすい精神状態がある。それが、【認知的不協和(cognitive dissonance)】だ。

【*注:参考記事 「認知的不協和の意味と例」より

「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」

論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHP(http://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。】


自分の中ではちゃんと筋が通っていると思われるような、理屈。
僕たちはそうした理屈を目の前にいる特定の相手へと投影するわけだが、ところがおおよそまともな理屈など通じない、理不尽だらけの奴が相手だと、後に残るのは「何かがおかしい」といったモヤモヤ感だけだ。


そもそも、サイコパス人間の行動に関して言えば「たまたま起こった」ものなど皆無である。
同様に「別にこれと言った深い意味は無い」ものも、また、あり得ない。
ああいう人間たちの場合、やること為すことの裏に、何かしらの隠された意図が必ず存在するものだ。



そしてとうとう、心が木っ端微塵に砕け散った、例の瞬間がやって来た。
あなたは捨てられたのだ。
相手は、新しい彼女/彼氏の方を選んだ。



しかも、その新しい彼女/彼氏とは将来のことも視野にいれての真剣交際をしている、というではないか。付き合い出してからまだ日も浅いというのに。
同居生活を始め、ネット上でツーショット写真を公開し、あれを買った、これを買った、といった話をしきりにばらまいている。
あなたが相手との間にずっと夢見ていたような幸せな日々。
あの二人は今、まさにそれを実現しようとしている...。


そこまでの特別扱いなど、何一つ体験させてもらえなかったあなた。
人間として生きていて、これ程にまでひどい屈辱感を味わうこともそうそう無いだろう。


なぜ、相手はあなたに近付き、交際関係を結ぼうとしたのか。
それは、単に力と支配権とをあなたから吸い上げて、自分をクイックチャージしたかったから、である。
で、用が済み次第、即、ポイ捨てすればいい。
最初っからそう決めていたのだ。
再びエネルギーレベル満タンになった相手は、あなたの元を去り、意気揚々と次なる大冒険へと旅立ってしまったのであった。


2015年2月25日水曜日

作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【3】

4. 君はきれいだ。
   あなたって、素敵。

サイコパス人間は、外見のことばかり気にしている。
あなたの洋服や髪型、肌の調子、写真映りといった、ごく表面的な事柄、それもたまたまその日目についたような事柄について何か一言言わずにいられない。
こんな人種、他には見当たるまい。


最初の頃は、そうした言葉もほめ言葉のように聞こえる。
「なんて君はきれいなんだ。」
「あなたってすごくイケメン。」
...今、自分がこんな人とお付き合いしているだなんて信じられない、私(僕)は、あなたのように優れた人の相手にはふさわしくないんじゃないか、...等々。
彼ら曰く、「公園を歩いても、君(あなた)より魅力的な人なんて見つからないよ」とのことだ。
(どうしてこんな言葉がほめ言葉となるのか、僕には今ひとつ分からないのだが。)


先に挙げたように、自分のコンプレックスとなっている部分(外見など)をほめてもらった以上、当然、あなたも相手へのほめ言葉を返し始める。
相手にも満足してもらえるように、その言葉は上手に選ばなくてはならない。
...相手があなたにとってもこの上なく素敵な人なんだ、ということがしっかりと伝わるようにしたいから。



まさに相手の目論見通りの展開となった。
最初は、まず、あなたの方にほめ言葉をシャワーのように浴びせかけて、いい気分にする。そうすれば、サイコパス人間をほめ称える言葉がお返しとしてすぐさま跳ね返ってくる。
全てが計算通りだ。



その段階を過ぎると、相手は急に安心したように、自分の写真を一緒に見よう、とさかんに迫ってくる。
もはや二人の交際は、単なる賞賛と賛同とのエンドレスなやり取りへと化したようである。



今や、彼らが発する一言一句が、あなたの自尊心を左右するようになってしまった。
なぜか?
彼らの口からは、間違いなくポジティブな言葉しか出てこないためである。
あなたは相手からの賞賛を受けて、自分自身が光り輝いていくのを感じている。ほめ言葉を聞くたびに体中が充電され、自信がみなぎってくる。
相手をあっと言わせたいという一心で、あなたは自分の外見磨きにますます多くの時間を費やすようになる。

©123RF



5.こんな気持ちになったのは、生まれて初めてだ


さあ、いよいよここから他人との比較が始まる。


サイコパス人間はあなたを崇め奉り、他のどんな人間関係をも超える高い地位へと押し上げようとする。
そして、「君(あなた)は、他のどの元・彼女(元・彼)よりも素晴らしい」と思う理由を、とくとくと...しかもやたら具体的な話とともに...並べ立てる。
しまいには、「この前、今みたいに幸せな気持ちを味わったのがいつの事だったか、思い出せない」とまで言う。



「ああ、何て幸せ者なんだろう、私(僕)って。」
彼らの口からは、しょっちゅうこのように大胆なセリフが出てくるはずだ。
幸せ宣言を聞かされたあなたの中には、「誰かを幸せにしてあげたい」というかねてからの強い願いが呼び起こされる。


あなたが一緒だと、他ではちょっと味わえない特別な喜びを感じる、と、彼らは力説する。それがまた、あなたの自尊心をくすぐるのだ。
...そう、この人が欲しいのは、唯一、私だけ。
ライバルは他にもいるけれど、誰一人としてこの私の足下にすら及ばない...。


サイコパス人間はあなたのことを「パーフェクト」「非の打ち所がない」と評し、さんざん持ち上げる。
だが、これが後々必ず訪れることとなる「お前はおかしい!」「あんたは嫉妬の鬼だ!」といった罵(ののし)り言葉へとスイッチが切り替わる時、あなたの側にとてつもなく大きな認知的不協和【*注】が生じる原因となるのだ。


【*注:参考記事 「認知的不協和の意味と例」より 

「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」

論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHP(http://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。】


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今、こうして過去を振り返りながら、思い出してもらいたい。サイコパス人間からのほめ言葉は、いつも薄っぺらく、計算ずくのものではなかったか。
しかも、誰に対しても同じようなことしか言わない。


【理想化】の段階は、ターゲットとなった人それぞれに異なった現れ方をするだろう。
だが、どの人間関係にも共通して言えることがある。
...今まで生きて来た中で「こんな気持ちになったことはない」と彼らが言う場合、確かにそこにウソ・偽りは無い。
だって、サイコパス人間は、自分がしょっちゅう口に出して言う程に「愛を感じた」経験など全くしていないし、「幸せを感じた」ことだって生涯ただの一度も無かったのだから。


軽蔑、羨望、退屈の三つの間を行ったり来たりする人間。
これがサイコパスである。
それ以外の状態など、彼らには無い。


6. 私達二人はソウルメイト


サイコパスが大好きなのが、「ソウルメイト」という考え方だ。
単なる恋愛とは一味違う、何か特別な匂いを漂わせる言葉である。
自分たちは高次の力が働いて結びついた、運命付けられた二人だった、というわけだ。
「ソウルメイト」認定を受けた、ということは、あなたがこの相手との関係に全身全霊を食い尽くされていく、ということをも意味する。
そうして生まれた心的きずなは、相手との関係が死に絶えた後もなお、あなたにずっとつきまとう。


おそらく、われわれの誰もが、心のどこかで「ソウルメイト」を待ち望んでいるのかもしれない。
人生を完全なものとしてくれる、完璧なパートナー。
何もかも全てを分かち合うことのできる、誰か...恋人と、親友とを兼ね備えた誰か...を、待ち望んでいるのかもしれない。


僕としては、そうした相手を待ち望むこと自体、おかしいだとか、間違いだとか言うつもりはさらさら無い。ここは強調しておきたいと思う。


サイコパス人間は、あなたが抱く夢や空想すら勝手に操作しようとするだろうが、それに屈してはいけない。
夢や空想を持つこと。
人間として、弱みを持つこと。
この二つは、同じではない。別物だ。
彼らはそう認めようとはしないだろうけど。 




サイコパス人間に捨てられた被害者の多くが、以前の人生に関わる物事全てを否定し、葬り去ることを選んでいる。
そして、「これ以上傷付けられるのはごめんだ」と言わんばかりに、自らの周囲に防御壁を高々と築き上げ、半永久的に外界との接触を断とうとしている。


どうか、それだけはやらないでもらいたい。


「ソウルメイト」の存在を信じる人は、きっといつか本物のソウルメイトに出会える。
やさしく、思いやりに満ちた男性/女性が、きっとあなたの前に現れる。
相手のやさしさが本物だから、あなたの方も自分の気持ちを疑ったりなどしない。
いかにも「作りもの」といった感じの熱烈さは無い代わりに、相手への熱い思いが自然と花開くように外へあふれ出る...といった関係が築けるはずだ。

 CC-BY-ND (https://www.wylio.com/より)


結局、サイコパス人間はあなたのソウルメイトではなかった。
この先も、永遠になり得ないだろう。
だって、あなたのソウルメイトとなる人間には、当たり前の事だけど、まず「ソウル(魂)」が備わっていなくてはならないのだから。
...彼らにはぽっかりと欠落している、「ソウル(魂)」が。



2017年11月3日金曜日

陰湿な陰口 Covert Gossiping②

サイコパス人間から【理想化】され、愛情爆弾をバンバン投下されている間、僕たちはつい


世界1.サイコパス人間はまともだ。嫉妬深く、性悪で利己主義なのは、他のみんなの方だ。


との見方へと傾きがちだ。

まさかこんな人が本当にいたなんて。
信じられない。夢みたい。
そう思った途端、僕たちはこの「ソウルメイト」にまつわる新たな現実をあっという間に作り上げ、それを自分の中に定着させてしまう。


...そう、この人は素晴らしい。それは当たり前。
でも、他のみんなだっていい人ばかり。
もう、何もかもが絶好調で最高!


この段階でのあなたは、多分こんな調子で浮かれているはず。
だが、前回書いたように 、それほど素晴らしい人であるはずの「ソウルメイト」が、他の人々についてチクチクと棘のある言い方をするようになったら、要注意。
あなたの現実に亀裂が入り始めている。


【...彼/彼女は、正直で善良なひと。あの人が言うのだから、きっと他の人についての悪口にしたって、それなりの正当な理由があるに決まってる。あの人達、表では取り繕っているけど、陰では嫉妬心メラメラで、腹黒で、自分勝手なことばかり言っているに違いない...。】

まだ夢から醒めたくないあなたは、こんな理屈でもって自分を納得させる。
だって、もしその逆が真実だとしたら、それこそ一大事じゃないか。
嘘をつき、陰口を叩き、人を操る。
それがあなたの大好きな彼/彼女の真の姿だ...。
そんな話、到底信じられないだろう。


夢というのは、どっぷりとハマればハマるほど、脱け出すのがより困難になる。
この段階では、周囲の人全てがあなたにとっては「敵」に見えているはずだ。
まさにサイコパス人間の狙い通りになったんだよ。
サイコパス人間無しでの幸せなんて、絶対にあり得ない。
そう頑なに信じ込む程にまで、奴はあなたを追い詰めてしまったんだ。



でもね、「偽りの現実」って作り上げるのは簡単だけど、キープするのは大変なんだよね。
その現実を生きようと思ったら、何かと言い訳したり、弁明したりする必要がどうしても出てくる。まるで被告人になったみたいだ。
「それは違う」「そうじゃない」を口にする回数がやたらと増えていく。


サイコパス人間はそうした手口を駆使することで、あなたの目をくらませ、ざわざわと不安な気持ちを掻き立てる。
自分のことをほめ殺ししている目の前の人物こそが真の敵だというのに、あなたはそれにまだ気付かない。
あいつらの隠し方が巧妙だから、それも仕方の無いことだけど。


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別れ。

そして、そこからの回復。


立ち直る過程において、僕たちは世界1という偽りの見方と訣別する。
あれはファンタジーでしかなかった。
そう気付いた時、目の前に立ちはだかるのは現実という高い壁。
身も心もぼろぼろ。
まるで抜け殻のようにからっぽ。
希望なんて全て消えた。
あなたがそう思うのも無理も無い。
世界で一番大切な、非の打ちどころのない完璧なパートナーを失ってしまったのだからね。
しかも、周囲を見渡せば、どいつもこいつも信用ならない、底意地の悪い奴ばかり。


もう周りには誰もいない。
何一つ残されていない。


だが、やがて僕たちはなけなしの力を振り絞って、周囲の人々との間に少しずつ信頼関係を取り戻していく。


ここで思い出して欲しいのが、「いつもさん」。
ひょっとしたら彼らのおかげであなたの人生が一変するかもしれないよ。

「いつもさん」~The Constant~ 【1】
http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/02/the-constant-1.html

「いつもさん」~The Constant~ 【2 】http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/02/the-constant-2.html

「いつもさん」は、僕たちに「お互いを大切にする人」と一緒にいればどういう気持ちになれるかを教えてくれる先生だ。

上から目線で裁くような物言いをしない。

やたらと三角関係を作らない。

嘘の話を広めない。


そういう人々と時間を過ごすうちに、少しずつ気持ちがほぐれて、伸び伸びと振舞えるようになっていく。


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全てのトラブルを遡ると、何もかもがたった一人の真犯人へと行き着く。
他の誰も悪くなかった。
悪いのはあいつ一人だけ。
僕たちにそれがはっきりと示される日がきっと来るはずだ。
そうなれば、あらゆることが収まるべき所に収まっていくだろう。


世界1が後退していくのとちょうど入れ替わるかのように、今度は世界2の物の見方がはっきりと前面に出てくる。


世界2.嫉妬深く、性悪で利己主義なのはサイコパス人間の方。他のみんなはまともだ。


結局、世界1は全くのデタラメだった。
あなたも、あなたのパートナーも、周囲の世界と敵対していたわけではなかった。
あなたにとっての敵は、かつてのパートナーだったサイコパスただ一人のみ。他の人は関係無い。
ようやくそれが明らかになった。


以前は嫌いだと思っていた人達とも、無事に仲直り。
ゴタゴタに巻き込まれた彼らのことを気の毒とさえ思える余裕さえ出てくるだろう。
まっとうな現実世界に身を置き、サイコパス人間の嘘八百から無事逃れられたことで、認知的不協和を感じることも無くなっていく。

【認知的不協和:エンen転職 「転職大辞典」から引用。https://employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/14811/ 
「認知的不協和とは、人が自分自身の中で矛盾する2つ以上の確かな物事を抱えている状態やその時の不快感を指し示す言葉です。社会心理学の分野で用いられます。 
このような状況にあるときに、誰もが精神を安定させるために自分の行動や態度を変えようとするといわれています。 
例えば「煙草を吸うことは気分転換になるので良い」という事実と「煙草は百害あって一利なし」という事実があります。
どちらも確かなことではありますが、両方を選択することは不可能ですね。そこで、前者を取って愛煙家のままでいるか後者を選択して禁煙するかのどちらかの行動になる、という訳です。】


慈悲深くて人に共感できる人という、本来のあなたがやっと戻って来た。
奴らの捏造により膨れ上がっていた被害妄想も、今では嘘偽りの無い信頼へとその姿を変えた。
そして、あなたをずっと苦しめていた頭痛の種もなくなった。



さあ、ここまで来たら、そろそろあなたは【真の】問題に立ち向かわねばならない。
その時はもう目の前にまで迫っている。


2018年12月14日金曜日

感情は後から遅れてやって来る~猛烈な怒り・抑うつ状態~

感情は後から遅れてやって来る

症状:猛烈な怒り。抑うつ状態。極度の嫉妬心。考えが次から次へと湧き起こる。憎悪。加虐者に接触したいとの気持ちが抑えられない。


さて、 サイコパスの化けの皮は剥がれた。
覚悟はいいかな。
これから先、不愉快な感情が次々と波のように押し寄せてくるはずだ。
余計な力を抜いて、気楽に構えればいいよ。
どうせすぐには終わらないから。


この段階では、あいつと付き合っていた間に抑圧されていたいろいろな感情がどっと噴き出してくる。
覚えているだろうか。
当時だって、本当は心の奥でさまざまな感情がうごめいていたんだ。
にも関わらず、それら全てが脇へと押しやられてしまった。
二人の間に波風を立てたくないから、というだけの理由で。


だが、そうした負の感情全てが消え失せたわけじゃない。
自分自身への疑い、不安感といった別の姿をとってあなたの中にしつこく居座り、事あるごとにあなたの心をかき乱していたんだよ。



サイコパス・ゲームの種明かしをされてからのあなたは、それこそはらわたが煮えくり返るような気持ちでいるんじゃないだろうか。
だって騙されたのだから。
操られたのだから。
貶められたのだから。


猛烈な怒り  


自分へと向けていた疑いの念は、今や怒りへと置き換えられた。
とうとう真実が白日の下にさらされたからだ。


要するに、あなたはあいつに利用され、手懐けられ、洗脳されたわけだ。 
腹立たしい、などといった生ぬるい言葉ではとてもこの怒りを言い表すことはできない。
できるものなら息の根を止めてやりたいとさえ思う。 
奴の知り合いを片っ端からつかまえて「あの人、こんなひどいことしたんですよ!」と直接ぶちまけたくてたまらない。 
 「地獄へ落ちて黒焦げになれ!」
そんな手紙の一つや二つも書いて、送り付けたくなる。  



友人・家族に会えば、どうしてもあいつとの一件について話をせずにはいられない。
封印しろと言われたって、もう無理というものだ。
もはや心はバースト寸前なのだから。


わかるよ。 
あれほど長い間しゃべるのを禁じられ、ぞんざいに扱われ、踏んだり蹴ったりの毎日を強いられたんだ。
今ようやく自由に声を上げられるようになったというのに、ただ黙っていろだなんて。
あまりにも悔しいよね。 


ただね、不貞行為や嘘といった事実を並べてあいつの非を暴こうとしたところで、その話、間違いなくひっくり返されるよ。 
涼しい顔で「違う。悪いのはそっちの方だ」とあなたの方へ非難の矛先を向けてくるに決まっている。
そうなると、あなたは怒るのも忘れて「やっぱり私が悪かったのかも」と後ろめたい気持ちにさせられるかもしれない。
これではあちらの思うつぼだよ。



以前のあなただったら、認知的不協和にぶつかるたびに必死に怒りを圧し殺していたんじゃないかな。
そうやって自分自身を無理矢理納得させていたのだろうね。


 

だが、今回だけはそうしなかった。 
怒りは怒りと認めて、きちんと表に出した。
あなたもようやくそこまでできるようになったのだ。 


もう一つの遅れて来た感情・嫉妬心についても同じようなことが言える。 


あいつ、どれだけ長い間二股かけていたんだろうね? 
嫉妬心に駆られ、普段のあなたからは考えられないような醜態をさらしたこともあったよね。
あいつ、それさえも自分の都合のいいように利用しただろう? 
「ご愁傷様だね」「気の毒に」など、いかにもいい人といった感じのセリフを連発しながら、新しい相手にすり寄って行ったんじゃないかな。


だからといって、あちらが仕掛けた中傷合戦という罠にはまっては、今までの努力も水の泡となってしまう。

「私、間違っていません!」と、あなたが大声張り上げて必死の訴えをすればする程、ズルズルと深みへとはまり込んで逃れられなくなるよ。


※参考過去記事:【気が付けば、被告席に】https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/blog-post.html


「遅発性」、すなわち後から遅れて生じてきた猛烈な怒り。
サイコパス的な人間関係が終焉を迎えると、必ずと言っていいほど噴き出してくるものだ。 
もっとも、そうした自分の中の怒りに気付き、身体でもって感じられるようになるまでにはある程度の時間が必要だろう。
数か月でその域に達した、という人もいれば、怒りを自覚できるまで数年はかかった、と語る人もいる。人それぞれである、としか言えない。


だけど、その怒りを相手にぶつけるのだけはなんとか思いとどまって欲しい。 
そんなことしたって、何一つ良いことなんて無いのだから。 


とにかく、今は落ち着きを保つこと。 
ちょっとやそっとで動揺しないこと。 
この二つが何よりも大切だ。 


というのも、サイコパス側としては、あなたがカッとなってくれた方がかえって好都合なんだよ。 
「みなさん!この人、頭おかしいですよー!」と大声上げて周囲の人々に拡散する絶好のチャンスだからね。 
...しかも「この人、別れてからもまだ未練たらたらなんですよー!」と、「自分、モテてます」アピールまでできるとあって、まさに一石二鳥。奴にとっては願ったりかなったり、だ。 


あいつはね、あなたとの仲がとっくの昔に終わっているにもかかわらず、再び三角関係に引きずり込んでしまおう、と目論んでいるんだ。 
「ノー・コンタクト(絶縁)」ルールを守るあなたが奴の前から完全に姿を消していようがいまいが、奴にとってはどうでもいいらしい。


まぁ、所詮怒りは怒りでしかないんだよ。やれることには限界がある。


本気で自分を癒したいのなら、怒りという感情は決して切り捨てちゃいけない。回復への重要なカギを握るのが、この怒りの扱い方だと思う。


相手に向かって怒りを爆発させたところで、一体何になるというんだ。
その瞬間だけはスカッとするかもしれないが、長い目で見てそれが永続的な心の平和をもたらしてくれるだろうか。
その可能性はきわめて低そうだ。


だったら、「自分自身を大切にする心/自尊心」をより大きく、より健やかに育て直していくための起爆剤として、怒りという感情を活用すべきじゃないかな。 
怒りのエネルギーを上手く使いこなせるようになってはじめて、僕らは本当の意味で癒されたと言えるのではないだろうか。



そう。 あなたはもっともっと良いもの・良い人間関係に恵まれてしかるべき人なんだ。
ここを理解できたら、あなたの「自尊心」はすくすくと育っていくだろう。 



抑うつ状態 

気持ちが大きく沈み込む。 
かと思えば、今度は腹が立って腹が立って仕方がない。 


二つの状態を振り子のように行ったり来たりする時期はしばらく続くだろう。 
良い日もあるし、悪い日もある。
なんとか気分を安定させようと努めてはみるが、どうもうまくいかない。 


夜、寝る時には「もう大丈夫!次、行くぞ!」と前向きになれたはずなのに、翌朝目を覚ましたら気分は最悪。枕に顔を埋めてわんわんと声を出して大泣きする...。
当分、そのようなパターンが繰り返されるだろう。 


悲しい気分になるのはごめんだ。 
かと言って、怒り狂うというのもどんなものかと思う。 
私、人を好きになったってだけだよね? 
なのに、どうして人を好きになったことでひどい目に遭わなきゃいけないわけ? 


一度こじらせてしまうと、頭の中から加虐者・サイコパスを追い払うのは極めて難しくなる。


街を歩けばカップルの姿が否応なしに目に入る。
あの、失われた恋の日々をどうしても思い出さずにはいられない。 


ラジオのスイッチを入れれば、昔好きだったラブソングばかり流れて来る。それも、次から次へと。


ワイングラスが目の前に来た。どっと涙があふれてしまいそうだ。
泣いたら周りの人からは白い目で見られるだろう。頭ではわかっている。でも...。


やがてあなたは身近な社交の場から身を引き、一人ぼっちになることを覚える。 
唯一の「付き合い」は、ネット掲示板やSNSでのやり取り程度。みんな経験者だけあって、悩みも苦しみも全てわかり合える。その気楽さがうれしい。
一方、現実世界の友人・知人とはますます接点が減っていく。
どうせ彼らに話したところで理解されないに決まっている。話すだけ無駄だ...。


脳内は強迫的な、せわしなく飛び交う思考でもって埋め尽くされる。 
ほんの些細なことにも敏感に反応。
頭の中はカオス状態で、まるで収拾がつかない。 


だが、ここで再び浮上してくるのが「他人との境界線」である。
(もっとも、あなたの場合は「再び」ではなく「生まれて初めて」とするのが正しいのかもしれない。) 



※過去記事:【境界線(バウンダリー)】の発見 https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2018/11/blog-post.html


あの頃の自分は、なぜあそこまで卑屈になれたのだろう。 
どれだけ多くのものを失ってしまったことだろう。
おぼろげではあるが、その答えが徐々に見えてくる。 
今頃になってようやく、ではあるけれど。 


...あの邪悪な奴をうっかりと人生に招き入れたことで、どれだけ多くの犠牲を払わされたことか。 
失くしたのは友達だけじゃない。
何もかも失ってしまったじゃないか。 
金も、人生経験も、ささやかな幸福感も、全部。 
たった一人のろくでなしと関わってしまったがために。 


かつてのあなたは、いつも愛ある眼差しをあたたかく世界へと向けているような人だった。 
今や、その眼(まなこ)はかたく閉ざされてしまったかのようにすら見える。 


「相手の言動はとりあえず良い方向に解釈してあげるべき」
性善説に基づく人付き合いを心掛けてきたあなただったが、例の悪夢を境に、他人というものを一切信用しなくなってしまった。 


気が付けばいつもびくびくしている。胸のあたりが締め付けらるようだ。
そんな不快感にあなたも毎日悩まされているんじゃないかな。
...悪魔の長く鋭いかぎ爪でもって心臓をわしづかみにされてしまったかのように、胸が苦しい。
僕らがどれだけしんどい思いをしていたか、ここまで書けば少しは伝わるだろうか。 


いっそ、全てを忘れられればどんなに楽なことか。
だけど悪魔はちょっとやそっとじゃ退散しなさそうだ。
あなたの心の至るところに出没しては、わざわざ辛い過去の記憶を引きずり出す。
そんな嫌がらせを、朝から晩までやっている。


「そう易々とお前を逃してたまるか」とでも言わんばかりに。


2019年4月19日金曜日

認知的不協和リターンズ

「時が経てば傷も癒えるさ」
「日にち薬は効き目一番」(※注)


(※注)「日日薬(ひにちぐすり)」の意味 https://dictionary.goo.ne.jp/jn/264268/meaning/m0u/ 
Image by Angelo Rosa from Pixabay


これ、おおむね正しい、と思う。
さすがは昔から使われてきた言い回しだけのことはあるよね。


だが、壊れた心が回復するまでの道のりが平たんで、見通しの良い一本道となることなどめったにないものだ。
このまま何事も無くゴールまでうまく逃げ切れるだろう、なんて甘い読みをしていると、こっぴどく裏切られることもあるだろう。


中でもよく見られるのは「度忘れ」という現象だ。
例の相手と付き合っていた頃どれほどひどい思いをしたか。
どんなに辛かったか。
そうした記憶だけが不思議にポッコリ抜け落ち、また、思い出そうとしてもなかなか思い出せない...。
実際、そうした経験をする人は少なくないのだ。


これは「選択的記憶喪失症」(selective amnesia)と呼ばれ、人間に生まれながらにして備わっている心のメカニズムのひとつとされている。
辛い記憶を「選択的に度忘れ」させることによってその人を守り、治癒・回復させる方向へと誘導していく。
人間の心には、こうした大切なタスクを同時に処理できるだけの優れた機能がはじめからインストールされているのだ。


 


そのような時、あなたは特に気を引き締めていかなければならない。
でないと、「許し」についていろいろと思いを巡らせた挙句、別れたあいつに自分から連絡を取って「ランチでもどう?」なんてわざわざ誘う、なんて暴挙に出かねないからね。


...もう一度直接会って話せば、自分の中のモヤモヤもきれいさっぱりと解消できるんじゃないか。きちんとケジメを付けられるんじゃないか。
そんな間違った期待を抱き始めるようになったら、危ない、危ない。


頼むよ。
それだけはやらないで欲しいんだ。
一度相手にこちらからすり寄って行くような真似でもしようものなら最後、またもや悪夢の無限ループ、となるのがオチだから。
相手の術策にまんまとはまり、ズタボロに虐げられ、さらなる深手を負うことだけは間違いない。


ようやく心の安定を取り戻した今のあなた。
人はえてしてこんな時、心の安らぎと楽観主義という色付きフィルターをかぶせたレンズでもって、過去の人間関係を見てしまいがちだ。
映ったイメージがどれほど良く見えようと、所詮それはあなたの内面の状態を【投影】したもの(projection)に過ぎない。


今の自分の状態が良好だからといって、過去の人間関係もつられて状態が良くなる、なんてことは残念ながらあり得ない。
だから自分の記憶をごまかしちゃだめだ。
真実を見失ってはいけない。


誤解なきように言っておくけど、僕にはそうした心の色付きフィルターが100%悪だ、と決めつけるつもりなど毛頭無いからね。
これはこれで大切な役割を果たしているんだ。
平和、安らぎ、楽観主義...といった色の付いたフィルターが僕らの心に備わっていたおかげで、頭の中をひっきりなしにピュンピュン飛び交う矢のような激しい思考活動にも圧倒されることなく、しんどい時期を乗り越えてここまでどうにか生き延びて来れたのだから。


暗かった気分が次第に晴れやかになっていく。
もちろん、これは喜ばしいことではあるけれど、その良い気分を【即、行動に移したくなった】時には、二、三回深呼吸してよくよく考えた方がいい。
自ら地獄へと再び舞い戻るような無謀な真似だけは絶対に避けなくっちゃならない。


ここまでの回復のプロセスを振り返ってみてごらん。
全てはあなた一人が自身の努力でもって成し遂げてきた偉業だ、誰の力も借りずに自分だけでやってきた、ってことがよくわかると思うよ。
あなたの気分が良くなりつつある理由、それはあなたがサイコパスときっぱりと絶縁し、以来、あいつとの接触を徹底的に避けているから、だろう?



そこを勘違いして、
「そろそろきちんと二人の関係にきっちりとケジメを付けよう、大丈夫、今ならうまくやれるはず。」なんて早まった行動に出てはいけない。
取返しの付かないことになるよ。



またあいつと関わり合いになるっていうのかい?
悪いことは言わない。やめときなよ。
あの不毛な、苦しみばかりの日々が再度繰り返されるだけだから。
この本の前半で長々と書いたような嫌な出来事ばかりの毎日がリピート再生されるのなんて、もううんざり、だろう?



「加虐者(abuser)を許すべきか、許さざるべきか」。
この問題については、本書の最終章でより詳しく僕なりの見解を述べるつもりでいる。


あなたには引き続き


ノーコンタクト/絶縁


を徹底的に貫き通してもらいたい。
自分のことを優しく扱ってあげようよ。
これ以上辛い目に遭う必要なんてないじゃないか。


ノーコンタクト。
今はそれさえ守れればいいんだ。
後のことは後で考えるとしよう。

2018年6月28日木曜日

絶縁(ノーコンタクト)①

絶縁(ノーコンタクト)

サイコパスとひとまず関係が切れた後は、とにかく


絶縁/ノーコンタクト(No Contact)を貫き通すことだ。


奴の対人操作トリックと、新たな虐待の魔の手から自分の身を守りたかったら、取るべき道はただ一つだけ。
例外なんてあり得ない。


あなたが負った傷が浅かろうが深かろうが、奴と再接触すれば傷はますます悪化する。
これだけは間違いない。
ただ、サイコパスとの間に子供がいたり、どうしても切れないしがらみがあったり、という人も中にはいるだろう。
その場合は、せめて接触の時間を最小限に留められるよう、努力してみよう。


毒性の強い人々との縁を断つことができれば、日々の暮らしは驚くほど変わる。
最初はくじけそうになるかもしれない。何せ、そのしんどさと言ったら、中毒物質を一気に取り上げられた時の禁断症状に匹敵するレベルなのだから。
だけど、絶縁から時間が経てば経つほど、得られたものの大きさにも気付くようになる。
一つ、また一つ...といった具合に、毎日の生活に思いがけない喜びが舞い込んで来るのがわかるんだ。


自尊心。
他人との境界線。
嘘偽りの無い、本物の友情。
日に日に大きく、たくましく育っていく様子は、自分でもはっきりと認められるようになる。


かつては、周囲からゴタゴタを持ち込まれても不平一つこぼさず、「仕方ないな」と受け入れ、許す...といった具合に、人間関係では消耗するばかりだったあなた。
あの頃と比べたら、付き合う人々の顔ぶれは相当変わった。
いちいち言い訳や説明を求められるような面倒な奴らなんて、もう懲り懲りだ。関わりたくもない。


やっと手に入れたのは、自由な日々。
魂が大きな花を開かせる季節が、あなたにもようやく巡ってきたのだ。


時々、当時のことを思い出す。
その度に首をひねりたくなるだろう。
「よくもまぁ、あんな病んだ連中とずっと一緒にいられたものだ」と。
でも、あなたは新しく生まれ変わった。だから、もうかつての自分を責めたりはしない。
むしろ、「かわいそうに。辛かったよね。」と寄り添ってやりたい、とさえ思う。
うん、なかなかいい感じじゃないか。よくここまで頑張って来れたね!


ノーコンタクト。
読んで字の如し、だね。絶縁。全ての接触を断ち切る。
どういうやり方、形態、手法であれ、サイコパスとは今後一切接触しない、ということだ。


どういうものが「コンタクト」に該当するかって?
実は、あなたが思っている以上に種類は多いんだ。

・電話での通話
・テキストメッセージ(ショートメッセージ)
 【訳注①:この表現、北米英語でよく使われます。日本だとSMS=ショートメッセージサービス、もしくはCメールといった名称の方が普通でしょう。携帯電話番号宛に送ることができる、Eメールよりは短めの通信文...と書けば通じますでしょうか。】
・直接の対面 
 ・Eメール
・Facebookでの「友達」関係
・Facebookの投稿やメッセンジャー機能でのやり取り 
・サイバーストーキング 
※Wikipediaより引用。「サイバーストーカー(英: Cyberstalker)またはネットストーカーは、インターネットを利用して特定の人物にしつこく付きまとうストーカーの総称。彼らの行為は、サイバーストーキング、ネットストーキングと呼ばれ、サイバー犯罪の一種であるとされる。」


サイコパスと再会したところで、いい事なんて一つも無いからね。
取るに足らない接触のように思われる場合でも、ダメなものはダメだ。
せっかく順調に回復しつつあったのに、ここで奴と接触すればそのプロセスにブレーキがかかってしまう。
「やめときゃよかった」って、絶対に後悔することになるよ。
コミュニケーションがどのような形であれ、一度サイコパスとやり取りすればダメージを受けるのは間違いなくあなたの方。
先方はかすり傷一つすら負わない。


とにかくあいつはあなたを泥沼の三角関係へと引きずり込むことしか考えていないからね。
それを「あ、この人、純粋に私のことを気にかけてくれていたんだ」なんてうっかり誤解しようものなら、とんでもないことになるよ。
一度でも甘い顔をしたら最後、あいつは必ずやお得意の魅惑テクニックでもって、あなたをつかんで離さないに決まってる。
後は、あの悪夢のような日々の再現さ。
「むしばまれていく、自分らしさ」の段階で嫌というほど見させられた、例の悪夢。
あれがまた繰り返される。



そしてまたもや【理想化】の段階へと逆戻りさせられるんだ。
そうなると、あなたは完全に足元をすくわれ、再び認知的不協和の谷底へと落ちていく...。


とにかく病的な嘘吐きだからね。付き合うだけでこちらまでおかしくなってくる。
しかも、意味不明な言葉の【ワードサラダ】でもってガンガン責められでもしたら、一体どうする?
苦労してここまで這い上がってきた努力も、全て水の泡となるね。


ほんの爪先だけでも触れさせてしまったら、たちまちあいつの対人操作術にやられるよ。
そうなったら、何もかもが元の木阿弥だ。


いいかい。あなたはどんなことをしてでも、この頑固な症状中毒とは手を切らなきゃいけない。
そのためには何よりもまず、

ノーコンタクトの徹底を。
それ以外に逃れる方法は無い。

もし、あいつと連絡を取りたい、との気持ちがどうにもこうにも抑え切れなくなった時は?
これから僕の言うことを思い出して欲しい。


何か自分一人でできる気晴らしを見つけよう。
新しい趣味を持つ。
瞑想する。
文章を書く。
仕事に打ち込む。
ペットを可愛がる。
要は何でもいいんだ。サイコパスのことを忘れてしまえるほどに打ち込めるのであれば、どんなものだって構わない。




僕らの脳は、教え込みさえすればどんなことでも習慣化することができるらしい。
だったら、より健全な習慣を身に付けさせてやろうじゃないか。


それでもやはり、ふとした心の隙をついてサイコパスとの日々がよみがえる瞬間が時々は訪れるかもしれない。
落ち着いて。
ひとまず、深呼吸だ。
後は、無理にでも別のことを考えるようにして、気を紛らわすようにしよう。


サイバーストーキングについても、ノーコンタクトの原則は適用できると思う。
あなたから奴に直接接触することはしないとしても、相手の動きをネット上で見張らずにいられないというのは一種の中毒症状みたいなものだよ。


この中毒症状から足を洗いたければ、全ての経路を一気に遮断するしかない。
Facebook、Twitter、携帯電話...と、あらゆる連絡ルートにブロックをかけるんだ。
今すぐに、だ。


次のターゲットがあなた同様、無残に捨てられる様子を見届けることができれば、スカッと気分が晴れるはず、なんて思ってはいないだろうか?
だとしたら、少し考えを改めた方がいい。


あなたの中に残された痛みは、誰にも、どうすることもできやしない。
時が流れて、あなた自身が成長する以外に、苦しみが和らぐ方法なんて無いんだ。


今は信じてもらえないかもしれない。
でも、あなただって、この先大きく変わっていく。


あいつが何をしようが、誰とデートしようが、「あ、もうどうでもいいや」。
何事も無かったかのように平然とスルーすることができる。
いつか必ず、あなたにもそんな時期が訪れるはずだよ。