こんなこと言う奴らの話に、耳を貸してはいけない。
あなたの心が外界へと開け放たれている限り、切り離せるわけがない。
人の子として生を受けた僕たちには、ある驚くべき才能が備わっている。
ちょっとした一言、しぐさ、穏やかな微笑みでもって、誰かをすばらしい気持ちにさせてあげられる才能だ。
たいていの人は、これを「愛」と呼ぶだろう。
この「愛」という才能なくして、僕たちが暮らす美しい世界は存在し得ない。
ただ、今回、あなたが遭遇してしまったのは、加虐的な性質の人間だ。
「愛」という天与の才を悪用し、苦しみを生み出すような人種である。
あんなひどい経験はこりごり、と思うあなたは、どうしたらこの手の人間を避けられるかを知りたくてたまらない。
その一方で、周囲の人や物事への不信感がつのり、警戒心が必要以上に高まり過ぎている自分にも気が付いている。
何か、頼れる道具が欲しいところである。
自分の直観の声よりも、もう少し手っ取り早く使える「何か」が、欲しい。
そこで、僕は読者の皆さんに対し、「いつもさん(a Constant)」という存在を心の片隅に置いておくよう提案したい。
本書を読む間にも、日々の暮らしでも、これからは「いつもさん」が片時も休むことなく、あなたを慰め、守ってくれることになる。
大好きな人のことを思い浮かべてほしい。
会うたびに元気をもらえて、絶対にあなたをへこませたり落胆させたりしないような人がいい。
誰でもいいのだ。母親。親しい友人。回復支援のサイトで出会った仲間。自分の子供。愛猫。亡くなった親戚...。
(以上3枚、©123RF) |
どんな人でも、動物でも、一向に構いやしない。
(以上3枚、©123RF) |
「そんな存在、自分にはいないよ」と言う人がいるかもしれない。
もちろん、いるとも。必ずいるに決まってるさ。
見つからないなら、今、この場所で、大急ぎでこしらえてしまえばいいだけのことだ。
人間を超えた高い次元から来る大いなる力。
そんな力を備えていて、しかも思いを馳せるだけで心がほっと和むような存在を、自由に想像してみよう。
(以上2枚、©123RF) |
(©Ancestry Images) |
他人への共感、思いやり、親切心といった、あなたが生きる上で最も大切にしている美徳を、身をもって示してくれているような優しい存在が、思い浮かばないだろうか。
きっと、今も、そしてこの先も、あなたが危険な目に遭わないよう守っていてくれる。
(以上3枚、©123RF) |
ほら。
「いつもさん」は、あなたの傍にいるじゃないか。
さあ、あなたにとっての「いつもさん」(現実、非現実を問わず。)が特定できたところで、僕からの質問に答えてもらおう。
「いつもさん」と接していて、あなたは...
不安な気持ちになるだろうか?
心配でたまらない?
嫉妬深くなるだろうか?
「いつもさん」に話しかけられて、今にも心臓が飛び出そうな程、ビクビクすることがあるだろうか?
「いつもさん」と会えない時。
その人の行動や、言葉を後から細かに分析し、実際に起こってもいない口論を予測してはどう言い返そうかと考える。延々と、何時間にもわたって。
「いつもさん」との付き合いで、果たしてここまで無駄に気を使う必要、あるだろうか?
もちろん、無い。
上の質問に対しては、全て「No」で即答できるはずだ。
なぜ「No」と言えるのか。
あなたは、傲慢で、人を見下してばかりいる、ある一人の人物と関わった。
その結果、自分を取り巻く良いこと・良い人々に対しても一律に不信感を抱くようになり、常に疑心暗鬼のまなざしでしか見られないようになってしまった。
どうしてそうなってしまったのだろう?
「いつもさん」とは対極に位置するのが、例の、あなたをゴミ同然の扱いしかしない連中だ。
この両者の間には、一体どんな違いがあるのだろう?
今すぐに答は出せないかもしれない。
大丈夫。他にも仲間はたくさんいるから。
そう、あなたは一人じゃない。
ここ、重要だから忘れないでいてほしい。
なぜ、ある特定の人間と関わることに気が進まないのだろうか。
理由はまだわからないかもしれないが、それはそれでいい。
あなたには、「いつもさん」がいる。
とりあえず、現時点ではそれさえ知っておけば充分だ。
自尊心は、後からちゃんとついてくるから。心配することはない。
あなたにとっての「いつもさん」とは、自分だけに通じる覚え書きのような存在だ。
「いつもさん」とつながるたびに、「自分はまともだ」と、改めて実感できる。
たとえ、全世界を敵に回してしまったかのように感じられる時でも。
月日が経つにつれて、あなたは付き合う人を選ぶ、ということをし始める。
一緒にいて嫌な気持ちになるような奴など、避けて通ればよいのだ。
そして、少しずつ目が開かれてくる。
...私には「いつもさん」がいるじゃないか。
一緒にいるだけで、私の一番良い部分を引き出してくれる「いつもさん」が。
だから、もう、あんな性悪連中と我慢してまで付き合う必要など無い...。
困ったら、「いつもさん」に頼ってみよう。それも悪くはないな、と、少しずつ思えるようになっていく。
さて。
あなたは、ここでひとつの大きな質問を自分自身にぶつけねばならない。
今まで出てきたどの質問よりも重いものとなるが、心の準備はOKだろうか。
「『いつもさん』と付き合う時のような安らぎを、全ての人間関係でも感じられるようになったらいいなあ。
・・・でも、実はそういう安らいだ付き合い方こそが、人間関係の本来あるべき姿なのでは?」
そうとも。まさにその通りである。
では、次へ進もう。
【原文】
https://www.psychopathfree.com/content.php?260-The-Constant
(※ 上の訳文は書籍版・"Psychopath Free"中の英文に基づいています。そのため、必ずしも上のリンク先の英文表現と一致しない場合があります。)
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