2018年6月17日日曜日

喪失の段階――パートⅠ ⑦大決断

大決断


虐待からの立ち直りプロセスについて書いていると、つくづく自分の無力さを思い知らされる。
「どうやったら癒されるのか」なんて、誰にも教えてあげることはできないのだから。


子供の頃、「間違いは二度と繰り返さないように」って事あるごとに親から言われていなかったかい?
もちろん、そんな教え、右の耳から左の耳へとあっという間に抜けていっただろうけど。
「どうやったら幸せになれるか」なんて誰も教えてくれないのが世の常だ。
だから僕らはつい道を踏み外してしまう。
性懲りも無く同じ所でつまずき、派手に転ぶ...というパターンを繰り返す。





今、僕らが通過している「喪失の段階」も全くこれと同じだよ。
老婆心と承知の上で、僕はここで忠告しておきたい。
実際に起こることはそう無いかもしれないけれど、今これを読んでくれているあなたが、早まった行動に出ず、なんとか思いとどまってくれれば...との願いながら。


否認の段階にある間は、今後の人生を左右するような大きな決断は下さない方がいいと思う。


幸せになりたい、との焦りから、この時期のあなたは闇雲にいろんなことに手を出して、自分の外にばかり目を向けがちになる。
真の幸せは、自分自身の内側から湧いて来るものでなくっちゃいけないんだけれどね。

で、わざわざ日々の生活を細切れにして、それをあちらこちらへばら撒くようなことをする。
「これを試せば絶対にうまく行く!」との思い込みが強過ぎて、空回りしてしまう。
「虻蜂取らず」といった結果になりがちだ。


全てを好転させる解決策。
そんなもの、どこにも無いよ。

(上のリンク先で紹介されているような
「お金をかけずに、一人で自分をねぎらう方法」
であれば、いろいろと試されても良いんじゃないでしょうか。
良い気分転換になると思いますよ。─訳者。)



あなたの仕事が問題なのではない。
給料が問題というわけでもない。
住んでいる家が悪いのでもないし、電話が悪いのでもない。
プロフィール写真のせいでもないし、「独身」という交際ステータスのせいでもない。
問題はそれらの事柄とは全く別のところにあるんだ。
(忘れちゃだめだよ。あなたは長期間にわたって、真の問題から目を逸らすようにとの訓練を受けてきたんだからね。)


この段階を終えるまでは、大きな決断を下すことだけは何としてでも避けた方がいい。
僕は、そう強くおすすめしたいんだ。
特に、金銭や友人関係が絡んで来る場合、早まったことはしないのが得策だ。


どうしてって?


あなたは当面の間、自分自身の勘を信用しない方がいい...からだよ。
僕が本書の中でここまであなたに真向から意見するのはそうそう無いことなんだけど、ここでは敢えてそうせざるを得ない。
今のあなたは、何もかもがバランスを失った状態にある。
あなたの直観能力は歪められてしまっている。完全に狂わされている。
それもこれも、サイコパスから受けた虐待のせいなんだけどね。


友人関係を整理したければ、まずは回復のプロセスを一通り済ませてからでも決して遅くはない。「毒のある友人」(toxic friends)疑惑のある人物については、当分の間距離を置きさえすればいい。
無理に一対一で対処する必要は無いし、わざわざ不愉快な思いをしに行く必要も無いよ。



「今、ちょっとゴタゴタしてて」と一言言って、落ち着きを取り戻した時点でまたこちらから連絡すればいいんだ。
そうして空いた時間を利用して、ネット上の被害者掲示板や回復支援のグループに参加してみよう。このような場に出入りしている人々だったら、あなたがどういう修羅場を潜り抜けてきたか、一発で理解してもらえるはずだから。


確かに、付き合いの長い友達に分かってもらえない、との可能性はあるかもしれない。
だからといって彼らが「ダメな人々」だと決まったわけではない。
事情を深く知らないがゆえに「気持ち切り替えて、次の人探しなよ」といった類のアドバイスはしてくるだろうけどね。彼らにとっては、それが知り得る限りの「最善」のアドバイスなのだから、それは仕方ない。
そんな時はひとまず落ち着いて、自分に尋ねてみてごらん。
「もし、自分がこうした一連の体験を経ていなかったとしたら、サイコパスの被害者の気持ちにうまく寄り添うような言葉をかけられただろうか?」と。


1年経ってもなお、転職願望に変化が無かったり、古くからの友人に悪口満載の手紙を送りつけたい、との気持ちが止まないようであれば、後はどうぞご自由に。
気が済むようにいくらでもやればいいさ。


ただ、今だけは止めておいた方がいい。
はやる気持ちをここでぐっと抑えることができれば、未来のあなたから「ありがとう、あの時我慢してくれて本当にありがとう。」とものすごく感謝されるはずだから。