2015年4月26日日曜日

感情すらも捏造品【2】

サイコパス人間が、あなたの内面を操作し、感情の捏造に成功する場面は、嫉妬心の他にもまだある。
具体例をもう一つ出そう。



彼らとの付き合いが深まるにつれて、あなたはだんだん愛情飢餓へと陥っていく。
相手の周囲にじっとりとまとわりつく自分が、何とも「重たい」存在のように感じられてくるに違いない。
だが、この「重たい感じ」もやはり本物ではない。
捏造された感情だ。
仕込んだのは、サイコパス人間である。



©123RF


そもそも、付き合い始めた頃、ひっきりなしにあなたに話し掛け、注目と関心のシャワーを浴びせかけてきたのは、一体どちらだったろうか。
あいつら、だろう?
あなたに一旦飽きが来るや否や、たちまちバッシングへと転じてきた、あいつらだ。
強引に自分のペースに巻き込んでおきながら、「お前、まだそんなことを期待しているのか、厚かましいな」と罵る、あの連中だ。



嫉妬心同様、愛情飢餓...「重たい女/重たい男」という感じ...も、あまりに度が過ぎれば二人の関係をぶち壊すものとなりかねない。大方の人はこれに同意してくれると思う。
だが、本物の愛情飢餓状態と、サイコパス人間があなたの中に作り出す、ニセの「愛情飢餓状態」とは、全く似て非なるものである。

ケース1: 

彼女1:あ、そうそう。私、おばあちゃんに夕食の用意をしてやらないといけないから、今夜はそっちに行けないんだ。ごめんね!
 
彼氏1:えっ、そりゃないよ。君、もう3時間も外、ほっつき歩いているじゃないか。どうなってるんだよ。 だったら、出先からこまめに連絡入れてくれるよね?

上のケースに登場した彼氏のセリフからは、いかにも愛情に飢えた人という感じの雰囲気が漂う。確かに、これはどうにかしないとまずいかもしれない。
もし、彼女から何らかの虐待行為を受けた、という事実が全く無いとすれば、この彼氏の愛情飢餓状態は行き過ぎ、と言える。


ケース2: 
彼氏2:やあ。もう3日も連絡無いけど、元気にやってる?一応、確かめたいと思って。 
彼女2:...あのね、私、あなた以外との人達とも付き合いやら何やらあって、忙しいの。わかってるでしょ? 
彼氏2:うん、わかるよ。ただ...今までは毎朝、君から連絡があって、それに慣れてしまっていたから、『あれ、一体どうしちゃったのかな』って思ってさ。 
彼女2:いい加減にしてよ。あなたって、どうしてそんなに重たいわけ?私だって、大事なことがいろいろとあるの。それをいちいちストップしてまで、あなた相手にメールだのLINEだのしているわけにはいかないんだってば。 
彼氏2:悪かった。重たい奴、と君に思わせたのなら謝るよ。そんなつもりは無かったんだ。
ここ3日間、メッセージを送るのもずっと控えていたぐらいだしね。
 
彼女2:あーあ、やってられない。ここまで重たい男の人って、あなたが初めてよ。 
彼氏2:だから、本当にごめんってば!もう邪魔しないから。 
彼女2:わかった。まぁ、勘弁してあげる。 でも、あなたのこういう、じと~っと重たい、愛情乞食みたいな性格。 何とかしてもらわないと、先が思いやられるわね。

このケース2でも、サイコパスな彼女は3つのことを成し遂げた。
  • まともな人間ならば、どうしたって愛情飢餓状態とならずにはいられないような状況へとあなたを追い詰めた。相手から四六時中関心と注目を注がれていた理想化段階を体験した後では、そうなるのも止むを得ない。
  • あなたのことを「じと~っと重たい」「愛情乞食」と一方的に断罪。ちゃんと落ち着いて、筋の通った返答をしたというのに。
  • 自分でいさかいの種を蒔いて置きながら、あなたには「許してやろう」と、上から目線の物言い。「立派な警官」の役へとちゃっかりと収まる一方で、【教師ー生徒】というお気に入りの図式へとあなたを嵌(は)めた。


こうした加虐・被虐の関係がずるずると長引けば長引く程、「やっぱり、私って(俺って)じと~っと重たい奴なのかな」と、ますます思い悩むことが増えていく。



他にも、被害妄想、怒り、ヒステリー発作...など、とにかくサイコパス人間との接触で湧き起こる醜悪な感情は全て、上で説明したような図式で説明がつく。
とりあえず、今はこの二例にとどめておこう。


どうか、次のことだけはしっかりと理解してもらいたい。
そもそも、あなたと相手が愛ある健全な絆で結ばれているのであれば、今、僕が書いたような状況へと追い込まれるようなことは、断じてあり得ないのだ。
あるはずがない。


【参考資料①】

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「心理的に健康な人は自分に親切にしてくれた人には感謝をする。相手の思いやりを嬉しく思う。『有り難う』と素直に言う。
それに対して神経症的な人はとにかく自分を蔑視しているのだから、自分によくしてくれる人を尊敬することはない。  
得する相手とはつき合う。しかしそれはあくまで得するからつき合うので、相手の人格を尊敬しているからつき合うのではない。 その点をしっかりとつかむことである。」(p.52)

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サイコパス人間と係わったことで、あなたのバウンダリー(境界線)は幾度も揺すぶられ、厳しい試練にさらされた。その間、あなたは自分に出来る精一杯のことをした。
最悪の状況の中にあった時でさえも。

あなたの人となり。
今、あなたが抱えている気持ち。
今度、あなたについて一方的に決め付けたようなことを言う奴が現れた時は、必ず毅然として「No!」で返すこと。
そのような類の決め付け発言は、断固として拒絶しなければいけない。


【参考資料②】
「自己愛人間は、自覚なしに境界を侵害する。あなたの郵便物や日記は読まれる。浴室や寝室のドアはないも同然。財布の中身は抜き取られる。衣類や化粧品や持ち物は『拝借され』、会話は盗み聞きされる。おせっかいな質問をされ、訊いてもいない意見を押しつけられ、アイデアは盗まれ、秘密は守られない。 (...)

クライアントの多くが自己愛人間に次のようにいわれた経験をもつ。 
『それはあなたの本心じゃない』 
『きみの考えはこうだ』 
さらには『これがあなたという人間だ』とまで。」 
(第1部 自己愛人間の七つの大罪 7 相手を自分の一部とみなす より pp.56-57)


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「戦略3 境界を設定する  
故意に自分を放棄しすぎないこと。自分でつくりあげたイメージをかじらせておくのはいいが、彼らがつねにあなたを糧にするのを許してしまうのは、あなたの自尊心にとって非常に危険だ。  
築いた境界が通り抜け可能になっているか、すぐにもサドマゾ的な関係につながる不健康な欲求が、あなたの側にあるのかもしれない。 自分の忍耐の限界を知り、自分の身を守ろう。」  
(同書、第4部 あなたのまわりの自己愛人間たち  17.職場の自己愛人間---権力の乱用 より pp.202-203)

2015年4月23日木曜日

感情すらも捏造品【1】

サイコパス人間と付き合っていくうちに、あなたはありとあらゆる種類の感情を潜り抜けていくことになる。
激しい嫉妬心。
愛情飢餓。
憤怒。
不安。
被害妄想。
いずれも、それまでの人生では一度も体験したことがなかったものばかりだ。


そうした感情を抑えきれず、噴出させてしまった後で、あなたはこう思わずにはいられない。
「ああ、あんな風に振る舞わなければよかった。
そうすれば、あの人だって、気分を害さないでいてくれたのに。」


ちょっと待った。


噴出した感情は、あなた自身のものではない。
もう一度言おう。あれは、本来のあなたに備わっていた感情なんかじゃない。
あなたの善良な性質を疑問視せざるを得なくなるように、サイコパス人間が注意深く植え付けてきた「捏造品」の感情だったのだよ。


サイコパス人間の被害者は、往々にして次のような思考パターンに陥りがちだ。
【もし、二人の関係で何か困ったことが起きても、
相手を許し、理解し、問題は自分が一手に引き受けてしまえばいい。
そうすれば、万事うまく行く...。】


このようにして、被害者は、自分自身をますます窮地へと追い詰めて行く。
そのような思考パターンを手放さない限り、被害者は加害者の理不尽きわまりない行動にこじつけを与え、相手の行動を常に良きものとしようとする悪循環からは逃れられない。


例えば、サイコパスに出会う以前のことを思い出して欲しい。
自分が特別に嫉妬深い人間だなんて、別に思っていなかっただろう?
嫉妬深いどころか、逆に、とびっきり気さくで、オープンな心の持ち主だと思っていただろう。そんな自分が結構気に入っていたのではなかろうか。
もちろん、サイコパスはあなたのそういう性質に気付いていた。気付いていたからこそ、利用してやろうと狙いを定めたんだ。


調教期の間は、あなたの性質をちやほやとほめまくっては、何とか自分の手の内に収めてしまおうと画策していた彼ら。
「君(あなた)はどうしてそんなに完璧なんだろう、夢を見ているみたいだよ」なんてセリフを口にしながら。


【そこまで完璧な人なのだから、当然、君と僕はケンカなんてしないよね。】
【激しいいざこざなんて、僕らには無縁だよね。】
【君はいつも心が広くって穏やかだよね。例の、サイテー人間な元カノ(元カレ)とは似ても似つかない程さ...。】


そうこうするうちに、舞台裏では何かが動き始めた。
物事に飽きるスピードにかけては他の追随を許さないのが、サイコパス人間という人種だ。理想化ステージの楽しみが続くのも、あなたが彼らの軍門に降(くだ)るまでの、ほんの一時だけのこと。
目的を達成するや否や、今までほめ言葉の対象となっていた長所の数々がらりと姿を変え、凶器となってあなたに襲い掛かる。


サイコパス人間は、これでもか、これでもか、といった具合に次々にドラマ的要素を投入することで、あなたを訳の分からない状況へと放り込む。
しまいには、「そんな答え方をするとは、一体何様のつもりだ!」と、一方的に罪をなすりつけてくる。

©123RF


嫉妬心は、親密な人間関係にとっては命取りとなり得る。
この事に異議を唱える人は、ほとんどいるまい。
だが、純粋な嫉妬心と、サイコパス人間の手による「捏造された嫉妬心」との間には、雲泥の差がある。
ちょっと誇張した部分もあるが、次の会話を読んでみてほしい。

ケース1: 
彼氏1:あのさ、今度俺の高校の時の友達がこの近くに来るんだって。その子と会ってみる? 
彼女2:絶対にやだ!大体、あなた、どうしてそんな女友達なんかと会わなきゃいけないわけ?   私という存在がありながら。


上のケースの彼女の場合、嫉妬心絡みの問題を抱えていることは明らかだ。これはこれで何らかの対策が必要である。
もし、今までに彼氏から一度も虐待を受けたことが無いのであれば、この女性には過剰反応の傾向が確かに有る、と言っても差し支えないだろう。


ケース2: 
彼氏2:昔、付き合ってた女がこの近くに来るんだ。ほら、あの暴言吐きまくりのひどい奴だよ。 そのくせ、あいつ、未だに俺に未練たらたらと来てるんだけどな。
彼女2:あら...それは大変!
彼氏2:ま、週の後半のどこかで一杯飲みにでも行くか?ってことになるだろうけど。あいつさー、酒が入ると、いつも俺のこと叩いてくるんだよ。 
彼女2:え、何それ...ちょっと、その人のこと、もう少し教えて?
彼氏2:何か引っ掛かる?
彼女2:ううん!何でもない。ちょっと混乱しちゃっただけ。だって、今、彼女が暴言吐きまくりだって言ったから...。  でも、特に何も起こらなければいいよね!別れた後も友人関係でいられるのって、素敵だと思うな。
彼氏2:おいおい、頼むよ〜。君って、時々とんでもなく嫉妬深くなるねー。 
彼女2:あっ、ごめん。別に嫉妬したわけじゃないんだ。ちょっと、話が飲み込めなかっただけで。
彼氏2:そういう風に嫉妬されるとさー、うんざりなんだよな。起こさなくてもいいような無駄ないざこざを生み出してるんだよ。君の方から。
彼女2:ご、ごめんなさい!口に出して言うべきじゃなかったよね。本当にそんなつもりは無かったのに。 
彼氏2:まぁいいさ。許してやるよ。それにしても、君の嫉妬心には困ったもんだ。何とかしないとな。

©123RF

ケース2で、サイコパスな彼氏は3つのことを成し遂げた。


  • まともな人間ならば、どうしたって嫉妬せずにはいられないような状況へとあなたを追い詰めた。
    それも、元・彼女がどれだけサイコパス人間に執心しているかを説明した直後に。
  • あなたのことを「嫉妬深い」と、一方的に悪者扱い。
    落ち着いて、筋の通った返答をしただけなのに。
  • 自分でいさかいの種を蒔いて置きながら、あなたには「許してやろう」と、上から目線の物言い。「立派な警官」の役へとちゃっかりと収まる一方で、【教師ー生徒】というお気に入りの図式へとあなたを嵌(は)めた。

加虐・被虐を軸とした二人の関係。
長引けば長引くほど、あなた自身の判断力も鈍っていく。
【もしかしたら、私、本当にヤバい程に嫉妬心の強い人間なのかも...?】
そう自問自答する回数が増えていく。


2015年4月16日木曜日

三角関係という責め苦【4】

サイコパス人間の嘘にまんまと騙されている元・交際相手たちは、自分たちが操り人形にされてしまったことに気付いていない。
気付いていないばかりか、自分たちが「友人」という崇高なミッション...つまり、サイコパス人間が困った時には、いつでも助けの手を差し伸べてあげる、という任務...を遂行している、とまで考えてしまっている。


連中が退屈した時だけ借り出され、マンネリ打破のためにパパッと投入される、香辛料みたいな存在。
そんな端役がまさか自分に割り振られているとも知らず、彼らは「とりあえずキープで。」の位置に置かれているのだ。



こうした元カレ・元カノ達は、自分たちが数々のケンカや争いの張本人にされていることなど、想像だにしていないだろう。
別に、彼らがサイコパス人間にとって、「特別な友人」だから、「人もうらやむような仲」だから、ケンカや争いの種となるわけではない。
単に、サイコパス側が勝手に「前の彼」「昔の彼女」の名前を持ちだしては、周囲の人間関係をかき回しているだけだ。


「あんなに優秀で、個性的で、他と比べようがない人と、別れた後も友人付き合いしてもらえるなんて」と、頭の中身も目つきもトロンとまどろんでしまった、元カレ・元カノたち。
三角関係のコマの一つとして利用されていることも知らないで。
全く、おめでたいとしか言いようがない。


©123RF

それでは、このような破壊的な心の虐待者たちからどのようにして自分の身を守ることができるのだろう?



まず、あなたが学ばなければいけないのは【自尊】。
つまり、自分自身を大切にすることだ。
これについては、本の後半で詳しく説明するつもりである。とりあえず、今は次のポイントだけ押さえていて欲しい。


あなたにとって、
どういう行動ならば受け入れ可能で、
どのような行動ならば受け入れ不可とするか。
二つの間にはっきりと線引きできるようになる必要がある。



嘘をついて騙し、人と人とを敵対させるような人間なんて、一瞬たりとも付き合う価値は無い。
時間はもっと有効に使おう。



それから、もう一つ。
サル並みの浅知恵でもって理不尽な行動ばかりする相手を前にして、あなたは「どうしたらうまく説明がつくのだろう...」と、モヤモヤした気持ちでいっぱいになるに違いない。
そんな時、「おかしいのは、自分。」などと、絶対に考えてはいけない。
たとえ、相手からの虐待行為がどれほど姑息で、陰湿で、キチガイじみたものであっても、あなたは気をしっかり持つのだ。
そして、「自分はまともだ。正気を失っていない。」と信じるんだ。
言うは易し、行うは難し、かもしれないけれど。


©123RF

ここで僕がみなさんに紹介したいのが、【探偵ルール】。
ルールといっても、実に単純なものだ。
ある特定の人物が気になるとしよう。
もし、その人物の周囲を嗅ぎまわり、探偵の真似事をし始めた自分にはっと気付いたら、ルールを発動させるのだ。
「そいつは、即、あなたの人生から永久追放。」
これが【探偵ルール】である。


前に書いた【いつもさん(Constant)】のこと、覚えているだろうか。



あなたにとっての【いつもさん】に、探偵よろしく密着し、一挙一動を見張るだなんてこと。実際にやってみようなんて、少しも思わないよね?
【いつもさん】のFacebookページにストーカーのように貼りつき、「この一言、どういう意図で書いたんだろう...?」と、いちいち疑心暗鬼になったりしないだろう?
もちろん、するはずがない。


こうして考えてくると、あなたの経験した数々のモヤモヤから次第に共通因子が浮かび上がってくる。
そう、問題はあなた自身の「中」ではなく、「外」から来ているのだ。

【参考記事】「いまひとつ[引用者注:嫌悪感に加えて、の意。]、邪悪なものにあい対したときのわれわれに生じる反応がある。それは混乱である。
ある女性は、邪悪な人間に出会ったときの自分に生じた混乱を、『突然、自分が考える能力を失ったかのようだった』と欠いている。この場合もやはり、その反応はきわめて適切なものである。


うそというものは混乱を引き起こすものである。

邪悪な人間というのは、他人をだましながら自己欺まんの層を積み重ねていく『虚偽の人々』のことである。

患者にあい対したときに混乱を感じた施療者は、まずはじめに、この混乱は自分自身の無知からくるものではないかと疑うべきである。


しかし、それと同時に、こう自問すべきでもある。
『この患者は、私を混乱させるようなことをしているのではなかろうか』(p.125)


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そこはかとなく漂う不信感。
正体を解明するのは難しい。
「特にこれといった根拠も無いし...」と一蹴したくなる気持ちも、わかる。
でも、まずはあなたの直感・直観を信じて欲しい。


頭の中を四六時中心配で埋め尽くしたり、自分の考えを疑うことばかりしていたりでは、いつまで経っても「悪いのは自分」という思い込みから自由にはなれない。
ましてや、何らかの行動を起こすことなんて、到底不可能だ。


あなたを苦しめる毒人間。
そいつをあなたの生活から閉め出してみるんだ。
すると、摩訶不思議なことに、不安感がスーッと遠のいていくことに気付くだろう。


他人よりも自分を裁く方が得意だ、という人たちがいる。
そんなあなたに、今、ようやく裁きの能力を役立てるチャンスが巡ってきた。
誰かを前にした時に湧き起こる気持ちが、好ましいものか。それとも、イヤな感じがするか。
自分が感じた通りの結論を下して構わないのだよ。
「お前の感じ方は間違っている」なんて、誰にも言われる筋合いは無いんだ。決して許してはいけない。


例の質問、覚えているかい?
そう、




だったよね。この問いに出すあなたの答え。
何よりも大切なのは、それなんだ。


三角関係というのは、巻き込まれた人に後々まで消えない深い傷を残す。
被害者が「嫉妬の鬼」「物欲しげな奴」「自信のかけらも無い、腑抜け」などといった負の暗示にかかってしまった場合、落ち込みから回復できない人もいる。


あなたが負った傷を癒やすためにやらねばならないこと。
まず、この傷は相手の虚言・妄言による捏造工作によって生じたものだ、ということを理解しよう。
真実ではない。捏造だ。


あなたは本来の自分を見失っていた。相手から操られるがままになっていたから。
心優しく、愛情あふれ、広い心を持つ、思いやりある人間。
それがあなたの真の姿だ。
もう二度と、そのことに疑いを挟んだりしてはいけない。

2015年4月12日日曜日

三角関係という責め苦【3】

サイコパス人間は、自分の周囲を「与える人(givers)」...つまり、人の世話をすることに自らの存在価値を見出すような、自信のない人...でガッチリと固める、という得意技も持っている。
だから、交際中のあなたが相手にどれほど尽くそうと、大してありがたがられないばかりか、「代わりなんて、他にもいるよ」といった態度が返ってくるのだ。


彼らは、あなたと異なるタイプの人々を賞賛するようになる。
あなたとは似ても似つかぬ、全く逆の性質を持つ人をほめ称えることだってあるだろう。

いずれの場合も、そうした言動から伝わってくるのは、

【あなたは、もう特別な存在でなくなってしまった】
【あなたは、所詮置き換え可能な存在に過ぎない】

という、実に露骨なメッセージに他ならない。


彼らが当然受けてしかるべき賞賛を、あなたが十分に与えなかった、としよう。
心配要らない。サイコパス人間は、常に他の供給ルートを確保しているから。


また、あなたからポジティブなエネルギーをもらえなかった場合でも、全く問題は無いはずだ。
いずれ、あなたに飽きが来る日は必ずやって来る。
そう。
彼らは、あなたのことなど、必要としていない。
今だって、彼らの周りに群がる取り巻き連中にもてはやされて、散々甘やかされているし、これからもずっとその状態に変わりは無いだろう。


そんな彼らの姿を見せつけられると、あなたも「この人、やっぱり素晴らしい人に違いない。」とつい、信じてしまいそうな誘惑に駆られるかもしれない。
だが、よく周りを見回してみるがいい。
サイコパス本人、そしてその取り巻き連中。
何とも言い難い、みじめったらしい雰囲気を漂わせていることに気が付くはずだ。


さて、三角関係も最終局面を迎えた。
サイコパス人間は、とうとうあなたを切り捨てる決断を下した。
この時点から、彼らは堰を切ったようにあなたに向かって不平不満をぶつけてくる。
「もうこんな関係にはうんざりだ」
「付き合っていても楽しくない」
「君の行動にはもうついて行けない」といった具合に。


そこで新たな人物が話の中に登場してくる。
大抵の場合、それは「親しい友人」。
サイコパス人間は、あなたとの間に起こっている問題を、あること無いこと事細かにぶちまけておいて、「その彼女/彼氏との関係、あまり健全じゃないと思う。」と、例の「友人」からも同意を取り付けた、という結論部分だけあなたに伝える。


相手が陰でそのような工作活動をしているなどと夢にも思わないあなたは、相手宛へのメッセージを必死に送り続けるものの、平然と無視され続ける。
「問題があるのなら、どうして直接私に話さないのだろう...だって、これは、私たち二人の問題じゃないの?」
返答を待ちながら、わけがわからず、途方に暮れるあなた。


©123RF


「どうして?」への答え、僕が教えよう。
要するに、あなたの交際相手は、あなたのことを切り捨てる決断を既に下してしまった、ということだ。
...今となっては、あなたを苦しめることしか考えていない。

【参考資料】 
「(...)モラル・ハラスメント的なコミュニケーションにおいては、加害者は言葉を奪うことによって、被害者が考え、理解し、行動することができないようにする。会話を拒否することによって、加害者は目に見えない対立を深刻化させ、それどころか、現実に起こったことの責任を全て相手に押しつけることすらできるのである。


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(中略)


対話を拒否するというのは、言葉にはよらない形で、『あなたには興味がない』と伝えているということだ。あるいは、『あなたなどは存在しない』と...。」(pp.168-169)




そもそも、サイコパス人間が助言を求めに行くのは、彼らの言うことに逆らわないイエスマンのところだけ、と決まっている。
彼らの話に登場した「友人」も、おそらくはあなたの次のターゲットと目された人物である可能性が高い。


あなたとの関係が壊れた後、新しいパートナーを得て幸せいっぱいの姿を恥ずかしげもなく公の場で披露する、サイコパス人間。
恋愛・結婚関係が壊れた後、あまり日を置かずに次の関係へと移って行くような時、普通の人ならばどこかばつの悪い思いを感じずにはいられないものだし、大っぴらに宣伝する気にもなれないものだ。
どうも彼らにはそうした感情が欠落しているらしい。


だが、驚くのはまだ早い。
何と、彼らは、あなたから「良かったね」「おめでとう」と言ってもらって当たり前、と思っているのだ。
もし、あなたがそう言いたくないのであれば、あなたは「恨みがましい、妬み屋」で決定、となる。


この期間に、サイコパス人間は「廃棄処分後の人物査定(post-dump assessment)」を行う。
もし、あなたが彼らの前にひれ伏し、這いつくばって許しを乞うことになれば、「まだ利用価値あり」との認定を受ける。あなたが懇願するさまを見て、嫌悪感と歓喜との入り混じった感情を同時に味わうのである。


逆に、あなたが反撃に転じ、彼らがこれまでについてきた嘘八百を暴露する、という動きに出たらどうなるだろう。
おそらく、力の限りを尽くしてあなたを苦しめ、自らの命を絶つところまで追い詰めてくるに違いない。
仮に、あなたが後から謝罪したとしても、サイコパス人間は一度自分に歯向かったターゲットは永遠に憎悪し続ける。
あなたは、見てはいけないものを見過ぎてしまった。...仮面の下に隠された、略奪者の素顔を。

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だから彼らは、写真投稿や、「今、幸せだー!」といった声をネット上に載せることで、新パートナーの姿を嫌というほど、あなたの視界内にねじ込んでくる。
もちろん、わざとやっているに決まっているさ。
どれほど今の自分が幸せで、完全無欠な毎日を送っているかを、これでもか、これでもか、とあなたに見せつけてやりたいだけなんだ。



三角関係を使ってあなたを狂わせていくという、この作戦。
「新ターゲットの、あの女(男)のせいだ!」と、あなたに思い込ませることが、あいつらの目的だ。
最後の一撃が、今あなたに襲いかかろうとしている。


真の加虐者は、新ターゲットの陰にその身を隠しているというのに。



2015年4月10日金曜日

三角関係という責め苦【2】

ここで困った事が生じてくる。
あなたは相手から高度の興味・関心を注がれることに、すっかり慣れきってしまった。
最初にサイコパス人間からの誘いに乗り、釣られたあなたは、彼らが別の誰かに目移りしたことを知り、人格攻撃を受けたかのように感じ、錯乱状態へと陥る。
サイコパス人間はそれを承知の上でやっている。


あなたと二人で立てた計画を「ど忘れした」と言い、しょっちゅう悪口を言っていたはずの友人達と何日も一緒に過ごしたりするなどは、序の口に過ぎない。
あなたになど目もくれず、さっさと自分の家族の元へ帰っては、そこで過ごす時間がだんだん長くなっていく。
確か、前には「全く、どいつもこいつもひどい奴らばかりでね」と嫌っていたはずの家族なのに。


また、身内に不幸が起こると、真っ先に連絡を取るのは元・交際相手。
「わかってもらえないだろうけど、彼女/彼との友情は『特別』なんだよ」と、あなたに言い訳する彼ら。
たいていの場合...全部が全部、とは言わないが...、その「元カノ」「元カレ」は、以前彼らが「口汚く罵ってくる、ひどい奴」「情緒不安定な危ない女(男)」との烙印を押した相手と同一人物である。



注目が欲しい。共感されたい。慰めてもらいたい。
そんな時に、あなた以外の別の人間を頼っていく、というのはサイコパス人間が非常によく用いる手口である。
人の気持ちに寄り添うことができる上、彼らのパートナーを自認するあなたとしては、「どうしてこの私に頼ってくれないの?私が慰めてあげるのに...」と、当然ながら思うだろう。
以前、彼らを癒やす役目は常にあなたのものだった。
一体、何が変わってしまったのか。

©123RF


「あの頃の僕/私、ボロボロ状態で、壊れちゃってたんだよね。」
それを治し、再び幸せにしてあげたのは他でもない、あなただったはず。
なのに今、彼らはあなたには「理解できない」であろう、「秘密の友人」や、元カノ・元カレの方ばかり向いてしまっている。
しかも、その様子を逐一、あなたの目の前で見せつけずにはいられないと来ている。


そこで話は次の話題へとつながっていく。
ソーシャルメディアを取り上げてみたい。

【参考記事➀: コトバンク 知恵蔵2015の解説 ソーシャルメディア の項より引用。】

ソーシャルメディアオンライン上で、ユーザー同士が情報を交換(送受信)することによって成り立っているメディア。「1対多」「多対多」の双方向で、画像・動画を含む視覚ツールを使ったコミュニケーションが可能なことも特徴とする。一般には、ブログをはじめ、2ちゃんねる、YouTubeなど閲覧者を制限しないオープンなサービスと、mixi(ミクシィ)、GREE(グリー)、モバゲーに代表される会員制・招待制のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に分けられる。最近は、上限140字の「つぶやき」をチャット感覚で投稿し、フォロワーとのゆるやかなコミュニケーションをはかるTwitter(ツイッター)が人気を集めている。


【訳者注:上の説明には含まれていませんが、本文中で触れられているソーシャルメディアのほとんどが文中の表現から推測してFacebookのことを指していると考えてよいかと思います。例外はありますが、実名公開が原則となっている点が、他のソーシャルメディアとの最大の違いです。】

参考記事➁:nanapi / 2014年最新版・Facebook(フェイスブック)とは?Facebookの基礎知識 】

テクノロジーの進歩により、サイコパス人間は実にたやすく三角関係を利用して他人を操れるようになった。
昔の交際相手からのコメントに「いいね!」ボタンを押しておきながら、あなたからのコメントは黙殺。
こんな簡単なことでも、人心操作への第一歩となる。


「つい、うっかりと」写真アルバムをアップロードしてみたり、といったことも起こる。その中に、「大っ嫌い」と明言していたはずの元・交際相手との抱擁写真が含まれているというのに。
とにかく、何もかもが「たまたま」「他意は無かった」ということで片付けられる。
...あなたとしては、無神経の極みとしか思えないようなことばかりなのだが...。


いいかい。ここで騙されちゃだめだ。
あいつらのやる事は、何もかもが、計算し尽くされた行動なのだ。



彼らは、わざと「交際ステータス」をあいまいな表現のままにしておく。
あなたが徐々に「過去の人」となりつつある、と匂わせるような歌や動画を投稿していく。
新しいターゲット・昔のターゲットの両方が釣れそうなネタを狙ってシェアし、公開する。
次の被害者として選ばれた人物と、サイコパス本人にしか通じないような、内輪受けのジョーク。
もしくは、昔、元カノ/元カレと一緒に楽しんだ、思い出のラブソングのビデオクリップ。
そのような類のものばかり、意図的に投入してくるのだ。

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こうした彼らの行動には二つ目的がある。
まず、あなたを混乱と、不安と、嫉妬の渦へと落としこむこと。
これが一つ。
もう一つは、サイコパス人間を巡ってあなたとライバル関係にある人々の方に自信を与え、愛情と特別待遇を得ているかのように感じさせること。
そう、彼らは「パートナー」であるあなたの心身をむしばむと同時に、ライバル調教のプロセスにも取り掛かっている。
まったく、「一石二鳥」とはうまく言ったものだ。



サイコパス人間は、この件に関してあなたの方から直接問い正してくれることを待ち望んでいる。
一見、どれもこれも、実に些細で取るに足らない問題ばかり。
些細なだけに、非難するあなたの異常さや嫉妬深さが一層際立ってくるのだ。
何を言われようが、言い訳はよどみなく、沈着冷静な様子を崩さない。
最後には「悪いのはそっちだ」と、あなたのことを逆に責めてくる。
これで、彼らの狙った通りの展開となった。



隠れ虐待行為の立証が不可能とされるのは、「全てを曖昧に」という、虐待者側の意図が巧妙にはたらいているせいである。
例えば、あなたの交際相手がある曲の動画をソーシャルメディア上に投稿したとする。
だからといって、その動画が元カノ/元カレを釣るための餌である、と証明することはできない。
あなたには、直観的にそうだと分かったとしても。



この狂おしいプロセスも、そろそろ終盤戦を迎えようとしている。
ぶっちゃけた話、Facebookの交際ステータス欄やコメントの「いいね!」にいちいち目くじら立てるなんて、幼稚な人間のやることに決まっている。
そう思われるのも、仕方ないだろう?


そう。
幼稚な人間。


これこそが、彼らがあなたに信じこませようとしている【自己像】である。




2015年4月4日土曜日

三角関係という責め苦【1】

あなたを近くにたぐり寄せたい。


だから、サイコパス人間は、「この上なく望ましい人」…つまり、大勢の人に求められ、言い寄られる人…というオーラを自ら作り出しては、さかんに放出する。
あなたとしても、並み居るファン連中を差し置いて、彼らの寵愛を一身に受ける対象として選ばれることで虚栄心がくすぐられるからか、決して悪い気はしない。


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彼らは、自分が人気者だという偽りのイメージを演出することに長けている。
まずは、自分の周りを異性、つまり、友人、元・交際相手、そして、いずれあなたの後釜に座るであろう人々でもって固めることからスタートだ。


取り巻きの人々が、次々に「三角関係」の渦へと巻き込まれていく。
渦中の人々の間に競争心をあおり、互いに戦わせることによって、サイコパス人間の値打ちが(たとえ上辺だけに過ぎないとしても)相対的に上がっていく...。
それこそが、彼らの真の狙いである。
(参考:Robert Greene著、"The Art of Seduction")

The Art of Seduction
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(邦訳のある同著者の本)

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話を進める前に、ここで一言言っておきたい。
人間ならば、誰でも恋に落ちるし、恋から覚めもする。
関係が終わるよりも先に新しい恋に出会う人もいれば、終わった後で出会う人もいる。
欺き、また、欺かれる。
それが人間というものだ。
僕がここで扱おうとしているのは、そうしたありふれた人間模様ではない。たとえ、それがどれほど悲惨で、理不尽な話のように聞こえるとしても。


今からこの項で僕が書こうとしているのは、そうしたどこにでもあるような色恋沙汰とは別物だ。
僕が詳しく取り上げるのは、サイコパス的人間がターゲット(被害者)を責めさいなみ、意のままに操るために用いる、極めて特殊な行動パターンの数々である。


サイコパス人間が求めるもの、それは力(パワー)とコントロールだ。自然界に住む大方の捕食動物と一緒である。
性的に、感情的に、そして物理的に配偶者やパートナーを支配すること。
これが彼らの望みである。


どうやって支配するのかって?
人の弱みにつけ込み、利用するという手口を使うのである。
道理で、あの連中は出会って間もない時期に、注目とほめ言葉とをシャワーのごとく浴びせかけてくる、という「愛情爆弾(love-bomb)」作戦を多用するわけだ。


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...どんなに強い人でも、どんなに自分に自信のある人でも、ひとたび恋の虜となるとたちまち脆くなる。
人間という生き物は、初期設定からしてそういうことになっている。



何も、身体的な攻撃に訴える必要はない。
(実際、そうした暴挙に出るサイコパス人間もいるにはいるが。)
そのようなことをしなくても、一度関係に持ち込めばいいだけのことだ。これで、あなたを焼きつくし、ぼろぼろにするための舞台装置がすっかり整った。
後はただ、偽りの愛を捏造しさえすればいい。


事情を知らない部外者に「そんな男(女)、何でさっさと切らなかったのよ?」と言われ、ぐさりと来るのは、この辺りに原因がある。
そもそも、最初からサイコパス人間に虐待され、卑下され、非難されるとわかっていて関係を結ぶ人など、いるわけがない。あなただってそうだろう。
あなたは彼らに騙されて恋に「落とされた」のである。
人と人とが結ぶ関係の中で最も強いつながりであるはずの恋に、「落とされ」てしまった。
サイコパス人間が全て承知の上でやったことだ。


一体、どうやって彼らはあそこまでパワフルな絆をターゲットとの間に結び得るのであろうか?
手口はいろいろあるが、最も彼らが好むのが【三角関係】の操作、である。


三角関係。
この語を聞いて、被害に遭った人々はたいてい「私、相手、そして次のターゲットとなる(なった)人との関係でしょう?」と考えるようだが、必ずしもそうだとは限らない。



サイコパス人間は、普段から三角関係を利用することに慣れている。
そして、「あちこちで求められている、人気者の自分」という虚像を演出しては、あなたが四六時中彼らのことを考えずにはいられないような心境になるまで追い詰めていく。
誰であれ、その三角形に取り込まれる可能性がある。例えば、

  • あなたの家族
  • サイコパス人間の家族
  • あなたの友人
  • サイコパス人間の友人
  • 元・交際相手/結婚相手
  • 交際相手/結婚相手になる可能性のある人
  • 全くの他人
といった具合に。


他人を調教する能力にかけては、サイコパス人間にかなう者はそうそういない。
彼らは、人々が仲違いして諍いを起こす姿を見て、強烈な幸福感を味わう。特に、彼ら自身の愛情を巡ってあなたと誰かがバトルを展開するような時、その幸福は絶頂に達する。


【参考資料】推薦リンク集のひとつ「モラハラ資料」( http://mora110.blog.fc2.com/ )さんの記事より 
「>「自分の見えるところで、他人同士がトラぶってるのをみてるのがたのしい」 
「ちょっとぉこの人怒ってやってくださいよー」と自己愛に言われて、騙されて怒ってみたら側に居た自己愛の生ぬるいほくそえみを感じてすぐ我に帰った。自己愛は他人の争い事が大好物。本当に困る。」
(129 モラハラ体験談「対人操作、根回し・陰口で仲間外れにする」

「人と人を争わせる 
・他人同士を争わせて仲違いさせる人 (漁夫の利、対人関係からの搾取)(自分がグループの中心になるための伏線です。陰湿な優越感に浸ってもいます)  
・自分の影響力を強くするために不和の種をまき、疑いを生じさせ、人々を仲たがいさせようとする。 」
( 仲間はずれを作りたがる、人を争わせる対人操作



彼らは事実や状況をでっち上げて、あなたを嫉妬で苦しめる。
また、あなたへの思いが果たして真剣なものなのかどうか、その誠意を疑いたくなるような言動に出る。


普通、付き合っている相手に対しては「信じてくれていいからね」と、自分が信頼に値する人間だということを懸命にアピールしようとするものだ。
ところが、サイコパス人間は、それとは全く逆のことをする。


「他にも相手、いないわけじゃないし...」と匂わせたり、他の人と時間を過ごしたり、といった行動があまりにも頻繁になるから、あなたは絶えず不安に脅かされていく。
一時として心休まる暇がない。
なのに、相手は「そんなことないよ」との一点張り。
わざわざこんな話題を持ち出してくるなんて、おかしいのはそっちだろう、と、逆にあなたの方を変人呼ばわりする始末だ。



2015年4月2日木曜日

むしばまれていく、自分らしさ【2】

サイコパス人間との付き合いが深まっていくにつれて、あなたの外見をあげつらうような発言が少しずつ増えていく。
頭のてっぺんから足の先に至るまで、この相手、とにかく難癖を付けずにはいられないかのようだ。
「欠点」(あくまでも彼らの見方によると、だが)は欠点。だから、あなたに向かって何を言おうが叩こうが、俺(私)の自由、とでも思っているのだろうか。


自分を大切に扱うことを止めてしまって久しい、あなた。
摂食障害の危険にすら瀕している。相手の気持ちをつなぎとめておきたい、との思いゆえに、がんばり過ぎてしまうのである。

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とにかく身体像(ボディ・イメージ)というものに並々ならぬこだわりを見せるのが、このサイコパス人間という人種である。
「こんなことしていたら、身体壊すよ...」と、あなただってわかっている。
だが、相手が望むような完璧ボディを手に入れたいのであれば、このまま一心不乱になって突き進む以外に道はない。
時々思い出したように投げかけられる耳障りの良いほめ言葉、それは彼らがあなたを釣るために目の前にちらつかせる「ニンジン」のようなものだ。



ふらふらと、揺れ動いてばかりの相手からの評価に、自分自身の価値をまるごと委ねてしまった今、あなたの気分は安らぎとは無縁の、波乱に満ちたものへと落ち込んでいくばかりだ。



外見へのケチ付けと時を同じくして始まるのが、他の友人が同席する場でのこき下ろしである。
もはや、二人だけの、閉じた空間だけに収まるような話ではなくなってしまった。



サイコパス人間があなたのことを悪しざまに言うとき、その悪口は常に「笑い」「ユーモア」という偽りの姿をまとって現れる。
他の人々もその笑いに加わり、相手側の陣営に与(くみ)するという光景を目にしたあなた。
その内面がどれほど傷ついているか、彼らには知る由も無い。



そもそも、サイコパス人間は「ちょっと冗談がきつ過ぎたようだ」と気付くだけの神経などはなから持ち合わせていない。
だから、あなたが何を言っても、「気にし過ぎだよ」とあっさり交わされてしまうだろう。



いつしかあなたも、相手の言い分に合わせて自分の物の見方を修正し始める。
「彼氏/彼女に楽しみを提供することだけが生きがいの、頭の弱い、ヘンな交際相手」というのが、相手から押し付けられた役割。
その役割を忠実に演じていくうちに、何と、あなたは本当に自分がその通りの人間なんだ、と思い込んでしまうのだ。


【参考資料】
相手を認めない態度をとる 
(...)加害者は言葉以外のコミュニケーションによって<相手を認めていない>というメッセージを伝える。たとえば、何度もため息をついてみせたり、肩をすくめてみせたり、軽蔑するような目で見たり、あるいは言葉を使ったにしても、相手を不安にさせるようなニュアンスをしのばせたり、悪意のあるほのめかせをしたりする。 また、それとなく不愉快な指摘をすることもある。 
こうして、加害者は被害者がしたことや言ったことを否定して、<きみには仕事の能力がかけている>というメッセージを伝えていく。」


モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない
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「また、言葉を使って攻撃していく場合は、冗談に紛らわせて批判をしたり、嫌味や皮肉を言ったりすることもある。そうして、『ちょっとした冗談だよ。冗談で死んだ人間は誰もない。』と言ったりするのだ。 
言葉は歪んだ形で使われる。ひとつひとつの言葉には、相手がその言葉を非難だと感じて傷つく、そういった毒が仕込まれているのだ。」
(第2章「職場におけるモラル・ハラスメント」より抜粋。pp.119-120)


こうした変化が起こっている間にも、サイコパス人間の口からはごくたまに、ふと思い出したかのように、かつての理想化段階の名残り、とも取れるような甘い言葉が飛び出す。



「もう、我慢の限界!」
と、業を煮やしたあなたから詰め寄られても
「いつまでもずっと、君(あなた)のことを全力で愛していくから。約束するよ。」
と、いち早く下手に出て、うまいこと切り抜ける。
これが彼らの常套手段だ。

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「悪かった。自分に非がある。」などとは、口が裂けても言わない、サイコパス人間。
にもかかわらず、あなたは彼らの小賢しい目眩(くら)まし戦術にまんまと騙された。
そして、「やっぱり、変わっていなかった。私が最初に好きになった時のあの人と、同じままだった。」と、自分で自分を納得させてしまう。
それ以外のことは、全て「どうでもいいこと」。
ゆえに、脇へと押しやられてしまった。