2018年2月27日火曜日

「あの人、どうしてあんなに幸せそうなの?」【前編】

これ、回復の途について間もない頃のサバイバーが投げかける質問としては、最もよくあるものの一つじゃないかな。


サイコパスは、あなたを切り捨てた。
そして、驚くべき速さでもってギアを切り替え、前々からあなたの後任にと用意していた新ターゲットの元へと走り去った。


不貞行為、そして嘘の数々。
あなたの上に、奴からの更なる試練が降りかかる。
あいつと別の誰かが「完璧な」新生活を始める様子を、最前列に座らされたあなたの目の前でたっぷりと見せつけられる、という試練が。


「あの人、私の時と比べて、今度の彼女/彼氏には随分と優しくしているみたい...」


そう思ったのはあなただけじゃない。
サバイバーの十中八九は、別れた相手に対してこんなな印象を抱いたそうだ。
まぁ、見てるがいいさ。今はまだチヤホヤされている新ターゲットだって、そのうち必ずや同じ目に遭うはずだから。


サイコパスは、あなたに印象付けたくってたまらないんだよ。
今度の交際相手がいかに完璧かを、おとぎ話のように素晴らしい人かってことをこれでもか、これでもか、と見せつけてくる。
相手の夢や、好き嫌いといった情報についても既にチェックしている模様。
今は、二人して全世界に向かい、「この人が今度のお相手だよ!」と自慢たっぷりに拡散せずにはいられない、といった感じである。
あなたがお払い箱にされて数日も経たぬうちに後任決定、という事にも、後ろめたさや良心の痛みなど、これっぽっちも感じていないようである。


あなたの心を壊して逃げたあいつが、新しい彼女/彼氏の手を取って、夕陽の彼方へと消えていく。めでたしめでたし。
そんな光景を見せつけられたら、あなただって

「もしかしたら、あの人の中にも『人を愛する』という感情はあったのかも」

と戸惑ってしまうかもしれない。



だけどね、それは違うよ。
どうか勘違いしないで欲しい。


サイコパスな奴には、ハッピーエンドなんて訪れたりしないんだ。
絶対に。


最新バージョンの犠牲者を伴って世界にお披露目パレード。
一応、することはするよね。
でも、それは嫉妬心とドロドロ展開とを煽り立てるための手段に過ぎない。
わざわざそういう卑劣な振る舞いに出るような奴だよ。
別れてからの短い期間で、奇跡の如く「良心」が芽生えた、なんて話、信じられるわけがないじゃないか。
そんなこと、間違っても起こるわけがない。


新しい相手との進展具合を見ていくうちに、「理想化」のプロセスが着々と進行中、ということにはあなたも至る所で気が付くだろう。
「私だってあの人にもっとこうして欲しかった。でも、それが叶うことは無かった」と、かつて夢見ていた事が、今、あの二人の間で実際に怒りつつある。
そこまで見せつけられてはたまらない。


恐らく、奴が新パートナーの家に転がり込む、という流れになるかもしれない。
あなたとの同棲話にはさんざん渋い顔をしていたのにね。


あるいは、大急ぎでゴールイン、ということだってあり得る。
あなたがいくら尋ねても、結婚の二文字からは逃げてばかりいたくせに。


また、Facebook上のツーショット写真投稿がすごい数に上っているかもしれない。
まるで「日陰者」のように地味に扱われていたあなた。それに引き換え、今付き合っている相手は格段に良い待遇を受けている。


「要するに、二人が主役のファンタジーの途中に時々顔出しては邪魔をした、スピードバンプのような存在に過ぎなかったのか、私って...」


そう気付いたあなた。
愕然として立ち尽くすしかない。


だけど、ここで僕は一つ言わなければならない。
あなたにとっては耳をふさぎたくなるような内容だろうけど。


あなただって、奴と付き合い始めた頃には、他の誰かにこれと同じような思いをさせていたんだよ。」


理想化、と一口に言っても、やり方はその人その人によって変わってくる。
それだけに、「あっちの人の方が私よりもいい物もらってるじゃないの。ずるい~!」と、つい感じてしまうのは止むを得ないだろう。


しかも、今のあなたはどん底状態。対する新ターゲットは幸せの絶頂にある。
相手に抱く「こんなのフェアじゃない」というムシャクシャが治まらないのはもっともだよね。


確かに、今度の彼女/彼氏が「特別な」待遇を受けている、というのは事実だ。
だからと言って、あなたの方が劣っている、というわけではないからね。
相手からの虐待を受けていた時期、もしくはあなたが「おかしくなっていた」とされた時期に、対処の仕方を誤った、というわけでもない。


たとえあなたの言動に全く非の打ちどころが無く、パーフェクトだったとしても、どのみちサイコパスは何か適当に理由を見つけてあなたを捨て、別の相手へと走っていたんじゃないかな。


サイコパスが今やっている「理想化」のプロセス。
この目的をまとめると、以下の2点に絞られる。


(1)新ターゲットを調教し、注目と関心とを確実にサイコパスに供給してくれるような人材にするべく、仕込み作業を済ませること。

(2)あなたの中の嫉妬心をかき立てること。と同時に「自分には価値なんて無い」とあなたに思い込ませること。
あなたに与えた以上の愛を別の人物に惜しみなく注ぐ様子を見せつけることで、これが達成可能となる。


だからこそ、

「ノー・コンタクト(No Contact)」

別れた相手とは二度と接触しない、という原則が重要となってくるのだ。


あなたを捨てた相手が、別の人とは交際順調。
そんなもの、いちいち見ない方がいい。
さもないと、不毛な疑問や、自分を疑う気持ちばかりが膨れ上がって、あなた自身の苦しさが増すだけだから。


彼らの姿を目にする度に、「見なきゃよかった」と悔やむ。
「どうして私の時よりも長続きしてるんだろう」
...あなたとの付き合いではさほど我慢強くなかったあいつなのに、どうして今度の相手とはここまで長く持っているんだろう?...
つい、自問せずにはいられない。
考えたところで、答なんて出やしないのに。


相手の態度が悪化し、虐待レベルに落ちた時に表面化した三角関係の影響で、あなたは常に自分と誰かを比べずにはいられない。
最後に残ったのは、あなたは選ばれなかった、という事実。
この事実が消えない限り、あなたは劣等感、そして至らなかった自分への不甲斐なさをいつまでもズルズルと引きずり続けることになる。


あいつら二人の仲が暗礁に乗り上げるのを見届けたい、ひどい目に遭うのを見たい...
そんな期待、まさか抱いちゃいないだろうね?


止めなよ。
そんなの、時間の無駄だ。
見届けたところで、何一つ変わりはしないから。
好奇心が満たされるのはほんの最初だけ。
でも、その後であなたの中の嫌な感情がきれいさっぱり消えてなくなると思ったら、大間違いだ。


あなたの自己価値が、自分以外の誰かが下す評価に100%依存している。
この現状を変えない限り、どこまで行っても心の中の重苦しさは無くならないよ。






2018年2月18日日曜日

【落とし穴】~心は、こうして殺される~

サイコパス。
自己愛性パーソナリティ障害者。
ソシオパス。
いずれも、お世辞が得意で、自分を魅力的に見せるのが抜群にうまい連中ばかりだ。


知り合って間もない頃は、「この人すごい」ってつい、思ってしまうよね。
だが、ここで相手を理想化してしまうと、後々大きなツケを払わされることになる。
二人の関係が崩壊する時にあなたが負うことになる傷、そのほとんどが実はこの理想化という心の働きが原因となって生じているんだ。


何も疑わずに近付いてきた被害者は、あいつらが仕込んでおいた「落とし穴」にまんまとはまる。
しかも、被害者はなぜかそこから脱け出そうとする意欲を失ってしまうのだ。


1.まずはサイコパスがあなたを理想化し、さかんに持ち上げ。奴らの狙いは、あなたから惜しみなく与えられる注目と賞賛。 

誰かとの距離を急速に縮めたかったら、「愛情爆弾を投下(love-bombing)」するのが一番手っ取り早い。
有頂天になったあなたは、自分が受け取った分だけの「愛情」をすぐさま相手にも返そうと俄然張り切る。ずっと待ち焦がれていたソウルメイトにやっと出会えた。夢を見ているようだ。
誰よりも情熱的で、誰よりも完璧な人からの愛に包まれ幸せいっぱいのあなたは、あふれる恋心を毎日毎日相手へと伝えずにはいられない。

2.「こんなすてきな人に巡り会えたなんて」。興奮と感動であなたは黙っていられず、友達や家族にノロケまくる。 

この「お世辞ショウ」、実は大勢の目の前でさんざん繰り広げられているから、周囲の人々はみんな目撃している。 わざわざあなたから説明するまでも無い。 
FacebookなどのSNSを使う人ならわかるだろうが、ああいった場所では、あなたと相手との間にやりとりされる理想化のプロセスが全世界に生中継されてしまう。 
とはいえ、大観衆からの注目と拍手喝采を集めるのだから、あなたとしてもそう悪い気はしない。自尊心をくすぐられる。

3.心の殺し屋(emotional abuser)が、少しずつあなたとの間に距離を置き始める。 

相手は徐々にあなたから遠ざかっていく。最初の頃の動きはあまりにも微妙でわかりにくいため、つい見過ごされてしまいがちだ。
そのうち、あなたも「何かが変だ」と違和感を覚え始める。
だが、何がおかしいかははっきりとは説明できず、そのままスルーしてしまう。

前よりも連絡の回数が減った。電話も来ない。
ひょっとしたら、相手の熱は冷めつつあるのかもしれない。
付き合いを面倒がっているかのように、あなたとの待ち合わせにはいつも遅刻して来る。

1.と2.で書いた通り、あなたとしては相手の理想化をストップする理由が特に見当たらないため、あくまでも相手を信じ続けるつもりでいる。
日を追うごとにひどくなっていく相手の態度や行状にも目をつぶるばかりか、逆に理想化をさらに推し進めてしまう。 
あの夢のような日々よもう一度、と願いながら。 
「キチガイの元カレ/元カノと一緒にされてはたまらない」
「私の方がもっとおおらかで、心が広いんだから」

4.「あの人は素晴らしい人」。友人・家族、そして自分にさかんに言い聞かせるかのように繰り返す。 

二人の仲は悪化の一途をたどっている。なのに、あなたはまだ、「私が愛とポジティブなエネルギーを充分に注ぎさえすれば、きっと何もかもうまく行く。」と信じてやまない。

この段階ともなると、サイコパスは欲望の赴くまま、やりたい放題、好き放題。
それでもあなたはまだ、あいつのことを絶賛している。 

5.サイコパスからの虐待がさらに激化。 

いよいよ三角関係の登場だ。
あなたは沈黙と非難という刑罰に処せられる。
そして、「頭おかしい」「神経質すぎる」とさんざん罵られ、挙句の果てには捨てられる。

この期に及んでもあなたはまだ、相手との復縁を夢見ている。
相手を取り戻せるものならどんなことでもする、とさえ言わんばかりに、崖っぷちまで追い詰められている。
毎日泣き叫び、懇願調のメッセージを送る。
目の前の現実を見ようともしていない。
まぁ、「あの人」があなたにとっては人生の全てとなってしまったのだから、無理も無いけどね。

誰かに助けて欲しい。
でも、誰にも話せない。 
だって、周囲の誰もがあなたと奴との関係は「完璧!」だ、って信じ切っているのだから。 

6.捨てられた。 
あなたは、ようやくバラバラになったパズルのピースを一つ、また一つ...と拾っては、合わせ始める。 
Google検索で「サイコパス」という言葉にぶち当たったあなた。
「うわっ、何これ。気持ち悪いくらいあの人に当てはまる!」
で、しばらく思い悩む。

サイコパスについて知れば知るほど、怒りがふつふつと湧いて来る。
もはや抑え切れないまでに、煮えたぎっている。

今となっては何もかもが腑に落ちる。
自分はキチガイなんかじゃなかった、との確信に、あなたは百万の援軍を得た気持ちになれた。

これで「真実」があなたの中で完全にひっくり返った。
もう二度と元に戻ることは無いだろう。


7.落とし穴 
周囲の誰一人としてあなたの話を信じようとしない。 
...だって、あれだけ熱烈に愛を公言していたのに、突然それを否定するなんて、おかしいと思わない? 
...よりによってあなたが「虐待の被害者」だなんて、どういうこと? 
...あなた、幸せだったーーー浮かれまくっていたじゃないの。素晴らしい相手に恵まれ、いい思いしている、って自分でさんざん言ってたくせに! 
...そこまでひどい事態だったなら、どうして相手のことを絶賛していたわけ? 
...被害者だ、ってホント?話からは、あなたが単に頭のおかしい、憎しみだらけの人って風にしか聞こえないんだけど?相手にフラれた現実が飲み込めてないだけじゃないの?


心の殺し屋は、こういう具合に【落とし穴】へとあなたを導き、突き落としていくんだ。


まずは最初にあなたのことを賞賛と崇拝攻めにして、骨抜きにする。
そうすれば、虐待が本格化していけばいくほど、あなたは自分で自分の首を絞めるようになっていくからね。


虐待から立ち直ることに成功した人々の経験では、こうして話を聞かされた友人たちの多くが、被害者自身の言い分よりもむしろ、虐待者の立場を支持した、という。

そうなると、被害者としては生傷に塩を塗られるように辛い。
サイコパスがあなたのためにこしらえた棺桶に打ち込む最後の釘。
上で最後に述べた【落とし穴】というとどめの一発が、それに当たる。


こういう事態を避けるために、あなたは一体どうすればいいのか。

とにかく、誰に対しても弁解めいたことは一切言わないこと。
それに尽きる。

わかるよ。誰かに話さずにはいてもたってもいられない、そんな気持ちなんだろう?

でもね、今、あなたが唯一話をしてもいいのは、似たようなことを体験した人々だけ。
どうしても言わずにいられないのであれば、被害者グループの人々とシェアするか、自分の日記にぶちまけるかにとどめて置くのがいいよ。
それ以外はダメだ。


心理療法を受けるにあたっても注意が必要だ。

「マニピュレーター」【※注①】がよく使うマインドゲームの手口を熟知している専門家でなければ、わざわざ相談に行く意味が無い。


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B群クラスターパーソナリティ障害




の症例によく通じていること。
専門家を選ぶ上で、これは必須条件だ。


さもないと、あなたはまたもや被害者たたき【※注②】に遭って、さらなるダメージを受けることとなる。

【※注①:他人を陰で操る人。過去記事を参照してください。【コラム】マニピュレーターを見抜くにはhttp://sayonara-psychopath.blogspot.com/2016/12/blog-post.html 】

【※注②:被害者たたき=英語のvictim-blaming。 
「そりゃ、虐待者が悪いのはもちろんだよ。でも、あなたの方にも、落ち度があったんじゃないの?虐待されるだけの理由があなたにもあったんじゃないの?」 
と、事情をよく知らない人が無神経に発する、責めの言葉。】


これ以上、他人から「いい加減に忘れろよ」「人生に別れはつきものさ」などと言われるなんて、頼むから勘弁してくれ!だよね。


地獄から脱け出すために、救いの手を差し伸べてくれて、心の平和へとつながる道へと案内してくれる。
今、あなたにはそういう人が必要なんだ。


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あなたは狂ってなんかいない。
双極性障害なんかでもないし、気がふれてもいない。
過度に神経質なわけでも、嫉妬深いわけでも、愛情飢餓状態でもないよ。
あなたは、心を殺されるという虐待を受けながらも、立派に生き延びたサバイバーだ。
...今はどん底かもしれないけど、頑張れば外に出られる。
落ち着いて、忍耐強くふるまって。
自分への思いやりだけは決して忘れないで。


いつかきっと、この経験について堂々と、説得力のある自分の言葉でもって語れるようになるよ。
だから、他の人々に何もかもぶちまけるのはやめておこう。
自分が絶対に正しいってことを今すぐに分かってもらおう、なんてごり押しもやめよう。


そんなことしたら、それこそ、サイコパス野郎の思う壺だから。


とにかく、ズタボロに傷ついている間はあなたが何を言ったって無駄なんだ。
「悪いのはあんたの方じゃないの」
「メンタルやられてる人の言う事にしか聞こえないわ」
って、周囲からますますドン引きされるのが関の山だからね。


だから、こうしたバカバカしいゲームからは一切手を引こう。
ひどい目にあったのは、あなただけじゃない。仲間はいる。
「話の通じる人たち」を探し出すんだ。彼らにあなたの経験を聞いてもらおう。
そうしていくうちに、少しずつ、この悪夢のような一連の出来事の印象が変わっていくはずさ。
しまいには「ちょっと奇妙な、遠い昔のできごと」として笑い飛ばすことだってできるようになると思う。


サイコパスなんて、もうどうでもいい。
放って置け。


大事なのは、この後に待っている回復のプロセスの方なんだ。
そのプロセスを辿ることによって、あなたの中の全てが変わっていくのだから。


2018年2月15日木曜日

三角関係、再び

サイコパスな奴とあなたとの関係には、終止符が打たれた。
あなたはそのように思っていた。
ところが、まだまだ続きがあったんだよ。
あいつはね、わざわざあなたと「別れた直後」を狙って、「三角関係」という凶器を再び持ち出してくるんだ。


ふと、奴のFacebookページを覗いたあなた。

Copyright: https://www.123rf.com/profile_silatip / 123RF Stock Photo


すると、交際ステータスの欄がいつの間にか「シングル」となっていた。
【訳注:この場合の『シングル』は、既婚未婚に関わらず、特定の人と付き合っていない状態を指す。】 

あなたは奈落の底に突き落とされたような気分になる。 


友達も気を遣ってか、「最近どうしてるの」と声をかけてくれる。 
だが、あなたの頭にあるのは別れたばかりの元カレ/元カノのことだけ。 何一つ手につきやしない。 


アップロードされた写真を見ればイヤな気分になるのは、自分でもわかっている。 でも、やっぱり見ずにはいられない。 
二人が一緒だった頃の思い出の場面、もらったメッセージ。 
何度も振り返って眺め、衝動に駆られて削除ボタンを押してしまったものの、すぐさま激しい後悔に襲われる...。 
そんなことばかり繰り返している。


だが、遂にあなたは見てしまった。 


奴が、別の相手と一緒に撮った、写真。 


Copyright: https://www.123rf.com/profile_alexandralexey / 123RF Stock Photo


あなたと別れてからまだ数日も経ってないのに、こんな写真を載せるなんて。信じられない。
相手に見覚えはない。あなたの知らない人だ。 
特に悪びれる様子も無く、新しい彼女/彼氏のお披露目だ!と、開き直っているようだ。 
今度の彼女/彼氏を一刻も早くみんなに見せびらかしたい、ということなのだろう。 


まさかここまであっけらかんとした、罪悪感のかけらも感じられないような姿を見ることになるとは。
あなただって、当然予期していなかっただろう。 


「もう、やめた方がいい。」 
それはあなたもわかっているはずだ。 
でも、好奇心に押し切られてしまい、ついつい二人のことを調べたくなってしまうんだよね。 


すると、衝撃の事実が発覚する。 
「...この二人、付き合い始めてから結構経ってる...。」


実際、彼らは以前からSNS上で冗談を飛ばし合っていた。微妙な距離の近さをにおわせないでもなかった。 
ただ、当時のあなたはそこまで気が付いていなかった。 
相手と自分との関係の行方にばかり気を取られていて、周囲の状況など全く見えていなかったから。
そうだよね? 


それから間もなくして、奴の交際ステータスは「交際中」へと変わった。 
あちら側についている友人はみんな、「おめでとう!」「良かったね!」と、さかんに新カップルの誕生を祝福している。 
この二人の関係、多くの人にとっては既に『公然の秘密』だったようだ。 


振り返ってみると、彼らが付き合い始めたらしい時期と、あなたが「キチガイの元彼女/元彼氏」との烙印を押され、糞味噌にけなされていた時期とは、ちょうど重なる。 
あの時既に、新ターゲットがあなたの後釜におさまる準備は着々と進んでいたんだね。 


サイコパスな奴を取り巻くファンクラブ連中も、祝賀ムードで大いに盛り上がっている。 
みんな、拍手喝采でお祭り気分。近来まれに見るほどのはしゃぎようだ。 
「われらが英雄に乾杯!ついに、(最新の)運命の赤い糸で結ばれた相手が見つかったぞ!」って具合にね。 



優越感コンプレックス 



別離、そして三角関係を潜り抜けてきたサイコパスは、半端じゃないまでに膨張した優越感のかたまりだ。 
あなたの凋落ぶりを目の当たりにしたことで、奴の全身はエネルギー満タンとなり、キラキラと光り輝く存在と化した...。 
まさに今こそが彼らにとっての「この世の春」だ。 


あいつは、あなたに新ターゲットの存在を知らせたくってウズウズしているんだよね。 
わざわざあなたの目に入るような形を取って、何かと見せつけてくるのは、そのためさ。 
あなたがどう反応するか、直接自分の目で確かめたいと思っているんだ。



仮に、あなたから何の反応も得られなかった、としよう。 
おそらく、奴の方から何か適当に理由をでっち上げて「話があるんだけど」とメッセージを送ってくるはず。 
最新のプロフィール写真を一番上に、そしてダメ押し的にもう一つの写真を真ん中に置いてね。 
こうすれば、あなたはイヤでもあいつの姿を2回は目にしなければならない。 



サイコパスはあなたの関心を引きたいがために、「服、返したいんだけど」「借りてたDVD、渡したいと思って」と、些細な用事を言い訳にあなたを呼び出すことがあるんだ。 
これ、よくある手口だそうだよ。 
普通だったら「そんなの、もう忘れてくれていいのに」と言いたくなるようなレベルの品物を、わざわざ「返すから」とアプローチしてくるんだって。 



とにかく、奴があなたを呼び出すのに成功した、としよう。 
おそらく奴は、落ち着き払った高飛車な態度を崩さず、偉そうな物の言い方をしてくるに違いない。 
「そっちは寂しいシングル。それにひきかえ、こっちは幸せさ!」 とまさえ言うんだからね。なんなら君の恋愛指南役でもやってやるよ、とすら言いかねないような、不遜なことこの上ない口ぶりである。 


会話の間もずっと「主導権はこっちにあるんだ」と言わんばかりの傲慢さが丸出し。 あなたとスッパリ縁が切れたことで、自分は沈着冷静な、優れた人間へと生まれ変わったんだ。もう勝負はついてるね...。 なんだと。 



二人の過去に関してはこれ以上いちいち騒ぎ立てるなよ、どうせ終わったことなんだし、とあなたに釘を刺す。 
度重なるあなたへの虐待行為にも、そして今や明らかになった不貞行為にも、あちらからのコメントは一切無し。
謝罪らしき言葉など全く出てこない。 
「ひたすらしんどかった。それに尽きるよ」と、あなたとの別離をざっくりと乱暴にまとめる程度にとどめる。 


自分からゴタゴタを引き起こしておきながら、まるで他人事のような口ぶりで語る、奴。 
一切の感情を交えることなく語れるのだから、さすがにその辺りはサイコパスだ。
一方、あなたに対しては憐れみを含むような口調で語り、完全に上から目線でもって見下している。 


どうだ、自分ほど器の大きい人間なんて、そんじょそこらではお目にかかれないだろう?とでも言うかの如く、嘘くさい愛想笑いを所々に交え、最後には「じゃ、元気で」とあっさり立ち去る。 明日また会う人に対して言うような気軽さで言い放たれてしまっては、あなただって情けない気持ちでいっぱいになるよね。 


かといって、別れた後にこのような「高飛車に振舞わせてやる」機会を設定してやらないと、それはそれでまた、困りものなんだ。 
後にあなたが非常に不愉快な思いをさせられる恐れが出てくるのだ。 


例えば、サイコパスが自分の不貞行為や嘘について語るのを拒んだ、と仮定しよう。 
奴はその時、一体どんなことを考え、何をしようともくろんでいるのか?

 「あなたの思い出の中では、ずっと美化された存在のままであり続けたい。
だから、自分に関するネガティブな話を今更持ち出すのは、あまり気が進まない。」 


どうやら、そのように考えているらしいのだ。 


ほら、覚えているだろう? 
二人の仲がこじれ、末期的症状を呈してきた頃だよ。 
あいつ、何日も何日も連絡を絶ち、あなたからの呼びかけにも全く応じようとしなかったよね? 
自分から音信不通の状況を作っておきながら、連絡をよこすのはあなたの仕事、って勝手に決めているんだから、呆れたものだ。
 しかも、連絡するならぐずぐずせずに速やかにすべし、って無茶苦茶言って来るんだからね。 
全くもってお話にならない。 


じゃあ、あなたがその期待を裏切り、あいつに連絡をせずだんまりを決め込んだとしたら、一体どうなるだろう? 


...執念深くて、嫉妬心の激しい奴。 
即座にそう罵られるものと覚悟した方がいいね。 



さすがのあなたも、そろそろ壁に一発、ガツン!と派手にぶちかましたくなったんじゃないかな。 



大丈夫。 あなただけじゃない。 
同じ悔し涙を流した仲間は、他にもたくさんいるから。



2018年2月11日日曜日

【コラム】捨てられて

愛する人から何の前触れもなく捨てられた。
少しでも常識のある相手なら、こんなことはあり得ない。


「愛している」との言葉に嘘が無く、あなたに幾ばくかの愛と情熱とを感じているような相手だったら、いきなり行方知らずとなり、数か月もの間音沙汰無し、ということはまず、あり得ない。


「以前付き合っていた奴らは、どいつもこいつもキチガイばかりだったね。そいつらと比べたら、君はなんてすばらしいんだろう。」
あなたに惜しみない賞賛のシャワーを浴びせてきた相手は、今や、新ターゲットの仕込み・調教作業に余念がない。
今度はあなたもその「頭がおかしい元彼女/彼」の一人に数えられ、さかんにバッシングされる側となっているらしい。


サイコパス人間の口から飛び出すのは、でっち上げに次ぐでっち上げのゴミ発言ばかりだ。
これが最もはっきりとわかるのは、「人格オウム返し」(personality mirroring)、つまり「僕たち/私たち、何もかもが同じだね」の段階が終わりを迎え、お約束通りあなたとの間に次第に距離を置き始める頃だろう。
ちょうど、あなたとは全く別の人物の「人格オウム返し」に取り掛かり始めた時期と重なる。
だから、相手のことをじっと観察していれば次から次へとボロを出してくるはずだ。


あなたには、あの手の連中がどのようなからくりでもって動いているかを理解して欲しいんだ。
確かに、奴はあなたを捨てた。
だからといって、「ソウルメイト」を失ってしまった、もう全てがおしまいだ、なんて早合点しちゃいけないよ。理由はそのうちわかると思うけど。
(そもそもあんな奴があなたの「ソウルメイト」であってたまるものか。)


飽きもせず、延々と同じパターンを繰り返すしか能が無い。
それがサイコパスというものだ。


だが、あなたは奴らとは違う。


魂すら持たぬ虫けら野郎が吐く嘘・嘘・嘘の連続、そして不毛なマインドゲームからようやく解放されて、自由になったんだ。
新しい冒険の大海原へと漕ぎ出してみようじゃないか。

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【参考資料】 
「人生を振り返ってみると、ほとんどの人は、他人の人生や希望、夢や計画に巻き込まれ、自分自身の創造的なエネルギーを浪費してきたことに気づく。 
だが、引きこもりのプロセスを通して自分の核を形成すれば、自分自身の限界、夢、本当の目標といったものをもっとはっきりさせることができる。 
ころころ変わる他人の気分に振り回されることも少なくなり、より柔軟に生きられるようになる。そのとき私たちは、自立することの真の意味を知る。 
創造性の回復を効果的に推し進めるには、悲しみに浸る時間を通過しなければならない。 
そのためには、これまでいっしょにやってきた『礼儀正しい自分』の死としっかり向き合わなければならない。ここで流す涙は、成長の芽を育む大地を潤す雨となる。 
この創造的な涙の雨がなければ、私たちの心は不毛でありつづけるかもしれない。
ときには痛みの雷に打たれることも受け入れなければならない。これは実りある痛みであることを覚えておこう。  
稲妻は暗闇を明るく照らし出してくれるのだ。」 
(「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」原題The Artist's Way,  ジュリア・キャメロン著、菅靖彦 訳、サンマーク出版、2001)

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2018年2月7日水曜日

悪しき企み

ポイ捨ての一部始終を外から見れば、ごくテキトーに、行き当たりばったりに進められているかのような印象を受ける。


騙されちゃいけない。


計画の実行に至るまでには、数週間もの間ーーー数ヶ月、ではないにしてもーーーの準備期間があったはずだ。
その間、奴は陰で作戦をじっくりと練り続けていた。


あなたも、薄々は気付いていたかもしれない。
「あの人、私の方から別れを切り出して欲しいんじゃないか」って。
わざわざあなたの気に障るようなことを言ったり、実害を与えたり、といったことが続いたからね。
さすがのあなたでも「ああ、もうこの人は私との仲を修復するつもりなんて無いんだな」と思わないわけにはいかなくなる。


でも、あちらからはまだ何も言ってこない。
別れたい、などとはおくびにも出さないんだ。
「ひょっとして、あなた...?」とあなたが言おうものなら、向こうはきっぱり否定するだろう。
逆に、「君が悪いんだよ」「あなたのせいだ」と、悪者呼ばわりされて終わるだけ。
二人の関係がこじれているのは、全てあなたが勝手に墓穴を掘るようなことばかりしているせいだ、身から出た錆だ...と非難がましい態度に出てくる。
明らかに加虐者である自分の悪だくみには、一切触れようともしないで。


あなたはその後も必死に関係を元通りにしようと奔走する。
では、あいつは裏で一体何をしてるのか、って?
次のターゲットにさかんにアプローチかけているのさ。
もしかしたら、体の関係にまでとっくに進んでいるかもしれないね。


で、必ずと言っていいほど、奴はあなたの前でそのことをにおわせてくるはずだ。
怪しまずにはいられないようなヒントを随所にばら撒き、含みある言葉を残しておいて、あなたが我慢の限界に達して爆発するのを楽しみに待っているんだ。


当然、あなたの言動はますます不安定なものとなっていく。
すると、奴はそれを次の犠牲者に見せびらかすんだ。
「気の毒に。」と憐れんでもらうことで、相手との距離をぐっと縮めるつもりなのさ。
脈略も無くヒステリー起こしているような人物から届いたメッセージ以上に、読む者に「この人、狂ってる」と確信させる強力な証拠、他にあるだろうか?


「あの人、もう私には興味無いんだろうか...」
「嫉妬が強すぎて、ドン引きされてしまったのかも...」
寝ても覚めても考えるのはこんなことばかり。
少しも心休まる暇が無い。


そして迎えた、衝撃の破局。


数か月が経過した。


回復への道を歩み始めたあなたの中で、ようやくいろいろなことが噛み合い始める。


破局前に相手が演じたパフォーマンスの数々を振り返る余裕が生まれて、いろいろな事が腑に落ちるようになっていく。
今までバラバラだった事実のピースが徐々につながり、全体像が明らかになっていく。


最初はあまりのショックに「信じられない」という気持ちだろうね。
まさか、相手があそこまでの悪だくみをする奴だったなんて。
あなたが否定したくなるのも無理はない。
でも、自分がいかに長い間騙されていたかに気付いた瞬間には、思わず吐き気を覚えるほどの嫌な気持ちがこみ上げたのではないかな。


「新しい人が出来た時点でさっさと終わらせてくれた方がまだ良かった。どうしてずるずると二股交際を続けたんだろう?」
相手の意図が全く読めない。


要するに、奴はあなたのことをあからさまに無視していたわけだ。
「忙しいんだ」と逃げていた。
でも、それ、仕事で忙しいわけじゃなかったんだね。
仕事は仕事でも、「ベッドの上での仕事」だったとは。


これほどのゲス野郎/ゲス女からモンスター呼ばわりされる筋合いなんて、少しも無いんだけれどね。
なのに、あなたはずっとそう思い込まされていた。


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申し渡し

サイコパス人間は、別れを告げる時ですら、あくまで冷淡かつ不誠実な印象しか与えない。
ひどい時にはメール一本、メッセージ一つで、あっさりとあなたに「用済み宣言」をする。
ここまで粗末に扱われては、あなただっていたたまれない気持ちになるだろう。


あちらがつらつらと綴ってくるのは、もっぱら自分、そして自分の「気持ち」についての事ばかり。
「もうこれ以上今みたいな状態には付き合ってられないから」と、言い訳ばかりくどくどと書き連ねている。


相手からの申し渡しを前にして、あなたの心は麻痺状態に陥り、何も感じなくなってしまう。
いつかはこの時が来るだろうとの予感は、確かにあった。
でも実際起こってみると、とても信じられないという思いでいっぱいだ...。


昔の彼女・彼にまつわるワード・サラダ【注】をふんだんに盛り込みながら、あなたが最近どれだけ変わり果ててしまったかを嘆きはするものの、肝心の新しいお相手に関しては一言も漏らそうとはしない。
憐れみ(あなたに対しての)と、妙な快活さとが、代わる代わるに顔を出す。

【注】相手への責任転嫁と攪乱とを目的とした、意味不明な言葉のごた混ぜ。詳しくは過去記事をご覧ください。 
「ワード・サラダ ~一体、何が言いたいの?【1】」http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/1.html 
「ワード・サラダ ~一体、何が言いたいの?【2】」http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/2.html

「どうして!? よりによってこんな時に来るなんて!」
これ以上不都合な状況など無いだろうに、とのタイミングを見計らって、あいつらはあなたを捨てにかかってくるはずだ。


例えば、遠距離恋愛中のカップルの場合。
遠くに住むあなたの方からあいつを訪問させるように仕向けておき、目的地へと向かう旅の途中でいきなり「ポイ捨て」宣言、ってことをやるんだよね、あの手の奴って。
計画していた旅行プランは全て台無し。
しかもあなたは見知らぬ土地でたった一人きり。
あなたを発狂させるには、これ以上無いって程の絶好の条件が揃っている。
そこに至るまでの間、あなたを苛んでいた混乱、そして劣等感は、これで確実に倍増するに違いない。


捨てられたあなたの心はがらんどうとなる。
僕としては、これを「鬱」と呼ぶわけにはいかない。
だって、「鬱」なんてもんじゃないんだから、あの空虚さと来たら。


魂が死に絶えてしまったかのよう。
そんな瞬間が、遂にあなたにも訪れてしまった。



2018年2月2日金曜日

【コラム】破壊

いきなり相手から突き付けられた別れ話。


サイコパスに目をつけられて、ターゲットにされたあなたにとっても、さすがにこれは想定外だった。
だが、奴にしてみれば、これまで時間をかけて綿密に練り上げてきた計画を粛々と実行しただけのこと。


ここに至るまでの間、奴はあなたについての嘘や悪い噂をあちこちに撒き散らしてきた。
「彼女/彼の情緒不安定さには本当にうんざりしてるんだ、だから最近うまく行ってなくって」といった周囲への根回しもさりげなく、目立たぬように行っていた。
おそらく、現在仕込み段階真っ只中にある次の犠牲者にも、あなたに関する悪口がたんまりと吹き込まれているはずだ。


そもそも、先に浮気に走ったのはあいつの方である。
なのに、友人たちと来たら、【実は、奴こそが真のクロ】という事実に全くもって盲目らしい。どうやらうまく丸め込まれてしまったようだ。


遂に「別れたい」との最終通告が届いた。
あなたは「用済み」認定されたのだ。
ものの数日も経たぬ間に、全てが終わった。


新しい相手と「これ以上望めないってほどの完璧な」毎日を過ごすあいつの姿を見せつけられ、あなたはもがき苦しむ。
傷口に塩を塗り込まれるようだ。
何とかして元のような二人に戻りたい、直せるところは直したい。そう思い、一人で必死に努力してきたのに。
まさかその裏で、あいつが別の相手に心を移し、既に親密な間柄にまで発展させていたなんて...。


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あのような連中に常人並みの反応なんて期待しちゃいけない。
頭ではわかっている。
だけど、あなたにずっと気を持たせておき、最後の最後で絶望のどん底へと突き落とすなんて。
いくらなんでもひどすぎやしないだろうか。


しかも、自分があれだけ非情なことをやりながら、あなたのことは「キチガイ」「嫉妬の鬼」と口汚くけなしまくっているのだ。
あなたの悪口を嬉々として周囲に触れ回り、新しい相手と手に手を取り合って、意気揚々とあなたの元から去って行ったなんて。
あんまりだ。


サイコパスは、普通の人々みたいに、きれいさっぱりと、後腐れ無く別れることができない。
奴は、あなたが自滅する様子を見てみたい、との願いを抱いている。
身体も、感情も、魂も、メタメタになってひとりでに崩壊していくあなたの姿をとくと見物してみたい、との望みを持っている。


愛が壊れた時ですら、娯楽として利用しないのはもったいない、と考えるような連中なんだよ。あいつらは。




【参考資料】
「自分はだまされていた、利用されていた、おだてられて操作されていた、そんなことがわかった時、能動的な人と受け身の人では反応が違ってくる。
 
もちろん、どちらも相手を憎らしいと思うし、くやしいと思う。しかし、憎らしさにとりつかれてしまうのは、受け身の人である。 
能動的な人は、憎らしい、くやしいという気持ちになるよりも、あの人たちとのつきあいはもう"嫌"だという気持ちになる。 
能動的積極的な人は、相手の正体がわかった時、その人と無関係になろうとする。  
自分が恋していた男はこんな男だったのか、自分が尊敬していた親はこんな人間だったのか、自分が信じていた友人はこんな人間だったのか、そうわかった時、とにかく無関係になろうとする。
自分はだまされていた...そうわかった時が、天国と地獄の分かれ道なのである。」
(...)
「だが、考えてみれば、恋人や親のいうことを信じてしまったのは、彼らに対して依存心があったからである。 
そして、その人間への依存心を克服できないでいるから、憎しみにとらわれて、一生を復讐に費やしてしまうのだ。
それこそ、残りの人生まで、そんなくだらない人間にメチャメチャにされてしまうのである。
 
その人が温かそうな声を出していたのを、温かいと信じていたのは、自分に依存心があったからである。 
自分に自律性が備わっていれば、その温かい"ふり"をしたそぶりや声の調子に、冷酷なものを感じて、"ゾッ"としたはずである。

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「(...)能動性が身についていればいるほど、こらえきれないくやしさからの復讐ではなく、相手とは無関係の道を選ぶのではなかろうか。 
なぜなら、能動的であればあるほど、相手の汚さに耐えられないからである。 
(「自分を嫌うな」加藤諦三、三笠書房、1984、pp. 170-173、太字強調は引用者による。)