【隠れ自己愛人間】。...知ってた?

※初出:楽天ブログ「失われた【本質~The Essence~】を求めて」

https://plaza.rakuten.co.jp/backtotheessence/diary/201308250000/ 
(一部、文脈上不必要と判断したところについては修正を施しました。)


隠れ自己愛人間。


英語だと、covert narcissist。(covert=隠れた、ひそかな)
もしくは、closet narcissistか、stealth narcissist。
(←レーダー等の探知機に引っ掛かりにくい「ステルス戦闘機」のstealthですね。)



これだけ読んで、みなさん、すぐにイメージ湧きます?
私、全くもって見当が付きませんでした。


実はこれ、前回(https://plaza.rakuten.co.jp/backtotheessence/diary/201308160000/)・前々回(https://plaza.rakuten.co.jp/backtotheessence/diary/201308050000/ )にご紹介したこちらの本で遭遇したフレーズなんですよ。



結局、自分のことしか考えない人たち
サンディ ホチキス
草思社
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この本の30ページに、何の前触れもなく【隠れ自己愛】という表現がひょっこり出てきた時、



「え~~~っ!? 自己愛を ☆隠す☆ だなんて、そんなの、有り得ないでしょ〜。
(「宴会好きの人間嫌い」なんて人種が存在し得ないように...。)」

と、しばし、戸惑いました。


だって、自己愛人間(ナルシシスト)と言えば、


【聞かれなくても、自ら進んで『私はすごい!』を周囲にアピールしたがる人】


で決まり、でしょう!? 
少なくとも、私はそう理解していましたけどね。


Copyright: 123RF Stock Photo



従来型の自己愛人間さんたち。
確かに傍迷惑な行動は多いものの、よく目立つ分、避けて通るのも簡単です。
「あ、この人と関わったら厄介な事になるぞ。それ、逃げるが勝ちだ!」と、付き合いの浅い段階で気付き、早めに自衛策を立てられますからね。
職場や家族などのしがらみ上、どうしても「切れない」「避けられない」場合(ご愁傷様です...)を除けば、毒気を浴びる前に逃げ切ることだって難しくはありません。



このタイプは【顕示型】、英語だと、overt narcissist (overt=あからさまな、明白な)の自己愛人間、と呼ぶそうです。
まだ数は多くありませんが、ネットで検索するとぼちぼち出てきますよ。



素人ブロガーである私としては、一応、その分野の専門家の手によるしっかりした情報をご紹介するのが筋だと思いますので、おすすめサイトを一つ。
自己愛性パーソナリティ障害の専門家である臨床心理学者・リンダ・マルティネス=ルーウィ博士のHP(英語)です。【隠れ自己愛人間】(covert narcissist)についての記事が特に充実しています。


http://thenarcissistinyourlife.com/



ここ数年、パーソナリティー障害の本や、それにひとひねり加えた一般向きの概説書(エモーショナル・ヴァンパイア・心の吸血鬼、エナジーヴァンパイア、サイキックヴァンパイア...など、呼び方は著者によりそれぞれですが。)も随分読みましたが、そこで話題となっているのは、もっぱら【顕示型自己愛人間】の方。



そうした解説本のほとんどが「アメリカ人が書いた、アメリカ人読者向けの本」だ、っていう現状では、記述が【顕示型】にばかり偏るのも致し方ないと思いますね。



アメリカ、特に戦勝国となり、「世界の学級委員長」としての地位を確立してからのアメリカは、誰が何と言おうと【外向きアピール自己愛人間】輩出率ナンバーワンの国。ハリウッドのエンタメ業界、プロスポーツの世界でどういう人材がもてはやされるのかを見れば、一目瞭然です。だから一般向きの概説書を書く場合も、数の上では圧倒的に多い【顕示型】についての記述が多くなるのでしょう。



でも...。
この著者のサンディ・ホチキスさん(Ph.D.を取られたのですから、ホチキス博士、と呼ぶべきですね。)だって、アメリカ人で、心理のプロとして長年活躍されている方...ですよね?ということは...



単に私が知らなかっただけのようです(苦笑)。
カウンセリングや心理療法など、臨床の現場にいる人々は、以前からこうした一群の人々の存在に気付いていたのでしょう。



一度引っ掛かりを覚えてしまったからには、見過ごすわけにいきませんよ。
もう少し詳しく調べるとしましょう。



まずは、どういう文脈でホチキス博士がこの【隠れ自己愛人間】という表現を使っているか。
上の本から引用します。



「理想化された世界に依存する人たちがみな、自分を幻想の中心に据えたいわけではない。 
一部の人たちは脚光を浴びるのを極端に嫌い、他者が放つ威光の輝きに浴する。」

「自分は、主役にならない。陰の存在に徹する。」

これが【隠れ自己愛】タイプ最大の特徴です。


自分マンセーのおめでたい脳内世界を現実世界でも再現したい、という点は、基本的に【外向きアピール】の自己愛人間と一緒なんですがね。
でも、そうした本音部分は絶対表に出しません。徹底的に隠し通します。
うっかりボロを出した現場を誰か(ごく親しい人限定)に目撃されない限り、外に漏れることはありません。



【隠れ自己愛】さんたちは、最初に「輝いている誰かさん」を巧みに捕まえるか、自らの手で好み通りに育て上げる(←相手が子供の場合など)かします。なかなかのやり手なんですね。
そして、捕獲した相手を自分の手足のように使い、彼らがすごい事を成し遂げるのを目の前で見届ける。ただ、「こんなすごい人と一緒にいる私は、何てすごい人間なんだ。」と、自分自身に酔いしれたいがために。

「いわゆる『隠れ自己愛人間』は、自分が相手の自尊心をふくらませられる、その相手と結びついて、自分自身の誇大感
ーーー自分は強大な力を持ち、何でも思い通りになるという感覚ーーーを維持する。」


なるほど。
つまり、【隠れ自己愛人間】は、正太郎少年がリモコンを手に入れて鉄人28号(ふ、古いよ...。)の偉大な力を自分の分身のように自由自在に操れるようになった、というあの万能感が病み付きになった人。あの快感が忘れられず、何度も同じパターンを繰り返す人々、ってことですね。



「鉄人28号」は子供向けの作品ということもあり、正太郎少年が正義のために鉄人28号の力を使い、人類の平和に貢献。めでたしめでたし...とまとまるのですがね。



この【隠れ自己愛】さんたちの場合、強大な力を備えた(と、彼らが値踏みした。)相手をGETして関係を結び、影の黒幕として相手を「使う」わけですが、それは全て「自分の利益のため」。
つかまえた相手が幸せになろうがなるまいが、はたまた辛い思いをしようがしまいが、そんなことどうでもいいのです。


単なる「玉の輿願望の強い人」と「自己愛人間」とを見分けるカギは、その辺にあるでしょうね。相手にも、自分同様幸せになってもらいたい、という気持ちがあるかどうかーーー。
この気持ちが欠落している人とは、「知人止まり」にしておくのが無難でしょうね。←余計なお世話。


「彼らはお世辞の達人であり、忠実な恋人や友人となるーーー 
だがそれも、理由が何であれ、選んだ相手が特別だという錯覚が支えきれるあいだだけだ。 
錯覚が支えきれなくなれば、前触れもなく相手への称賛は消滅し、新たな崇拝の対象へと移る。」
(以上、「結局、自分のことしか考えない人たち」 サンディ・ホチキス著、草思社、2009年、p.30)

それまで「あなたは素晴らしい!」「君が世界一!」と散々褒めちぎり、多大な時間と労力を投資してきた相手でも、一度幻滅を味わってしまったら、ハイ、それまで。見限って、捨てて、別の相手へと心を移すのなんてあっという間です。



で、【隠れ自己愛人間】から突然「捨てられた」方の相手は、一体何が起こったのかわけがわからず、いきなり奈落の底へと突き落とされたような衝撃を味わう。
その結果、深刻な人間不信に陥り、長期間にわたって苦しむことも珍しくない...と。
(そのような体験をされた方、本当にお気の毒でした。心中、お察し申し上げます。ゆっくり養生して傷を癒してくださいね。)


さて、話を戻しましょうか。
サンディ・ホチキスさんの本には、他にも【隠れ自己愛人間】についてこんな記述が。


「隠れ型は、理想化できる相手を触手を延ばして探る控えめなタイプだ。 
彼らは自分の自尊心を保つために恋愛対象を崇拝しなければならない。 
というのも、もし相手が素晴らしく、その相手をものにできたなら、自分の不安がきれいに消え去るからだ。
(前掲書、p.169)


あらまぁ。
自分の不安をきれいに消して欲しいから、そのために誰かをGETして、ダーティーワークをやらせる、ってわけですか。


自分の心の闇に向き合いたくなくって、他人を巻き込むだなんて、たまりませんね。相手は汚物処理係じゃないんですから。


嫉妬心からムシャクシャしたり、自尊心がぐらついても心がもやもやした時は、一人で山にでも登るか、海岸沿いのハイウェイをドライブしながら大声で叫ぶかなどして、何とか自家処理してもらいたいもんです。


...まぁね、それができないから、何度も何度も懲りずに周囲を巻き込んでトラブル起こしているんでしょうけど...。




結局、見かけはどうあれ、「自分ってすご〜い!」を外向きにアピールする【従来型】の自己愛人間と、その根本をたどれば同じ問題にぶち当たるんですよ。


「自分の闇部分なんて、見たくない。」っていう、逃げ腰な生き方に。


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