2015年3月21日土曜日

むしばまれていく、自分らしさ【1】

サイコパス人間は、あなたから尊厳というものをむしり取っていく。
あれほど真剣に、あなたに本気で恋しているかのように見せかけていた【理想化】の時期とは打って変わって、突如、あなたへの好感情を一気に引き戻し、無関心な態度へと豹変する、という心理作戦に出るのだ。


©123RF


あなたにとって大切な夢や目標も、彼らにかかればあざけりや軽蔑の対象となり、こき下ろされてしまう。
「結局、俺の/私の『本命』になろうだなんて、百年早いんだよね〜」と、回りくどい言い方でやる気の無さを匂わせながらも、あなたとの縁は切りたくない模様だ。
一人でいるよりは、誰かに関心を向けられている方がまだまし、ということか。


相手に合わせようとする気持ちが強すぎたゆえに、あなたはみすみすと相手の思い通りに調教されることを許してしまった。もはや、一人立ちも、反論もできない、弱い存在である。
それを知りつつ、相手はますますあなたの弱さにつけ込む。絶望感・焦燥感といったマイナス感情をさかんに煽り立て、あなたを支配する。


嵐のような感情の波に、押し潰されそうなあなた。
かつての夢物語は、予想すらしなかった程のすさまじい悪夢へと、いつしかその姿を変えつつあるのだった。


境界線(バウンダリー)の破壊
【参考記事➀:
 「人はそれぞれ自分の周囲にはっきりとした境界線を持っているものです。それはちょうど自分で作った心理的垣根のような感じです。この境界線によって、あるものごとは私たちの人生に組み入れられ、またあるものごとは外側に置かれることになるわけです。  

(中略)

(...)健全な限界を設定できないのは、もし「いやです」などと言おうものなら、見捨てられてしまうのではないかと非常に心配だからというのが本音ではないでしょうか。
この見放されることへの恐怖こそ、依存や嗜癖の根本に流れる力といってもいいでしょう。」
(pp. 66-68)


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サイコパス人間は紙やすりみたいなものだ。
彼らは、計算した上でツンデレ(意地悪↔親切の繰り返し)周期を巧妙に使い分けるというテクニックを用いて、あなたの自尊心を表面から徐々に削り取っていくからだ。


時が経つにつれて、あなたの価値基準はずるずると下方修正される一方となる。
しまいには、どうでもいいような事ですらありがたい、感謝すべきものとして感じられるようになってしまう。


火にかけた鍋いっぱいの水で泳ぐ、カエル。
水温の上昇がゆっくりであれば、我が身に迫る危険に気付かないまま、そのまま釜茹でにされてしまう。
あなたもこの釜茹でカエルと同じだ。
絶体絶命の状況にあるのに、それに気付いていない。


友達や家族も、心配して声を掛けてくれる。
「最近、元気ないね...ひょっとして、あの人と何かあったの?」
「ううん、別に。彼/彼女とは特に問題なくやれているよ。」
慌ててごまかそうとするあなた。
言い訳するその瞬間も、二人の間に横たわる残酷な現実を思い出しては、胸がずきずきと痛む。
そう。「何かが変わってしまった」のは、事実。
だが、今、それを認めるのはあまりにも辛すぎる。


朝になったら前みたいにあの人からのメール、来るかな。
「後で連絡するよ」と約束してくれたもの。明日こそかかって来るだろうか。
...そう期待しながら、何時間も電話のそばで待っている。
相手から急に声が掛かってもすぐに動けるように、他の予定はキャンセルして丸一日体を空けておこう、とすら考える。



少しずつ、あなたの方からコンタクトを取る割合が増えていく。
「もしかして、あの人、私/俺と話すのが嫌なのかも。...本当は嫌なんだけど、『ガマン』して付き合ってくれているだけなんじゃ...?」
絶え間なく沸き起こる不安を必死にかき消しながら、今日もまた、あなたの方からご機嫌伺いをしに行く。


相手のFacebookのウォール【訳注】に、ほめ言葉やら、小洒落たジョークやら、ちょこまかと書き込みしては、反応が返ってくるのを待っていることに気付く。
付き合って間もない頃に味わった、あの、夢のようなパーフェクトな毎日よもう一度、とでも言わんばかりに。

【訳注:持ち主宛のメッセージを書き込める伝言板のようなページ。
参考記事:「Facebookの『ウォール』って何?使い方を徹底解説!」


そんなあなたからの呼びかけに対し、返ってくるのは心のこもっていない、生ぬるい言葉ばかり。


そこであなたは、ロマンチックな二人の恋愛ストーリーを自分の中で仕立て上げては、愛しいあの人の長所を大げさに盛り込み、ここぞとばかりに賛美しまくる。
耳を傾けてくれさえすれば、聞き手が誰であろうとどうでもいいのだ。
大好きなあの人がいかに素晴らしい、賞賛に値する人物か。第三者に向かってアピールしていられるうちは、どうにか自分も虚構世界の片隅で生き延びていられる。そんな気がする。
とにかく、今は相手についての話さえできればいいのだ。


現実では、二人の間には暗雲がたちこめているばかり。それでもなお、周囲の家族や友人に「完璧な」パートナーである相手の人物像を説明しようとするあなた。
いずれ関係の崩壊は明るみになるわけだが、その時、あなたは、非常に辛い対応を迫られることとなる。


「え?あなたたち、別れちゃったの?」
「一体、何が起こった?」
あなた自身が事情を周囲に説明して歩かねばならない羽目になるだろう。
その時、あなた側から何を話しても、今ひとつ説得力に欠けるため、にわかには信じてもらえないだろう。
「どうしてもっと早くに話してくれなかったの」という反応が返ってくるに違いない。
何よりも友人達にとって解せないのは、あなた自身が加虐者・被虐者の関係に巻き込まれていたことに全然気付いていなかった...この点である。


あなたが相手からの反応に戸惑い、前触れ無く襲ってきた不安と格闘している段階へと、少し話を戻そう。


もがき苦しむあなたを、サイコパス人間はまたしても容赦なくいたぶり続ける。彼らは、あなたの境界線(バウンダリー)を無視しては、ズカズカと土足で踏み込むような行動に出てくるはずだ。

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【参考記事➁:Naverまとめ
「今年こそNoが言えるようになる!上手に境界線を引いて、自分を大切にする方法」

窮地に追い詰められ、身も心もぼろぼろのあなた。
相手からどんな仕打ちを受けようと、たいていのことならば忍の一字でひたすら耐え、見逃してきた。



...自分一人がもう少しだけ我慢すればいい。
そのうち、あの人だってこっちを向いてくれるはず。
一途にそう信じ続けた。
それなのに、まさか、こんな結末が待ち受けていようとは。



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2015年3月17日火曜日

作りものだった「ソウルメイト」:試し行為


サイコパス人間があなたの中に無事プログラムをインストールし終えたら、次の段階が待っている。
今や、あなたという人間を操作する権限を手にした彼ら。
どの程度までならいたぶっても平気なのか。あなたの我慢の限界を探ろうとしてくるはずだ。


「使い勝手の良い被害者」は、口答えなどしない。
本当に必要に迫られているような時でさえ、自分自身を守ることすらしない。それが、被害者となる人間である。

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もし、最初の【理想化】段階が加害者の目論見通りにうまく進んでいれば、あなたはこの時点で自分のことなんかどうでもよくなってしまっているはずだ。
何としてでも、相手との恋愛関係をこのままホットな状態で長続きさせたい。頭の中はそのことだけで占められてしまっている。


そろそろ、サイコパス人間のダークサイドがあなたの目の前にちらほらと見え隠れする頃ではないだろうか。
寝室で、からかい気味に「クズ女」「下衆野郎」などといった蔑称で呼ばれることがあるかもしれない。あなたがどう反応するかを見たくてそうするのである。


あなたが既婚者であれば、嘲笑の言葉はその場にいない配偶者にも振りかかる。我々の不倫関係に気付いてもいない、実におめでたい女(男)だよね、などと冗談めいた話もするだろう。
また、あなた自身の知性、能力、将来の夢などにそれとなく嫌味をぶつけ始めるのもこの時期だ。


これら全ては、あなたを試すための【テスト】である。


今、この文章を読んでいるあなた。
残念ながら、彼らのテストに合格してしまった、ということになる。


相手の物言いに対し、嫌な顔して反論したところで、サイコパス人間はするりと身をかわし、逃げる。「おいおい、そんなの冗談だよ。わかるだろう?」と言いながら。


そうした【試し行為】が度重なるにつれて、あなたは次第に「ちょっと過剰反応し過ぎかな」と感じるようになってくる。
今までは、自分のことを常にのんきでテキトー極まりないような奴、としか見てこなかったけれど、実は案外そうじゃなかったのかもしれない...。
だんだん、自己評価に自信が持てなくなってくる、あなた。


こうなると、あなたは悩み事や心配事があっても、一切口をつぐむようになっていく。「大丈夫。全てうまくいくはず」と、ひたすらポジティブシンキングで乗り切ろうとするのだ。

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一方、サイコパス人間はさりげない嫌味攻撃の中に時々ほめ言葉を織り交ぜることも忘れない。
こうしたパターンが一旦出来上がってしまうと、心が乱された時でさえ、あなたの脳内では依存性の高い化学物質が放出され、しかもコンスタントに流れ続ける。
一種のトリックみたいなものだ。


相手が仕掛けたトリックにまんまと引っかかってしまったあなたの脳は、自分の直観を押し殺し、サイコパス人間がもたらしてくれる「感情ハイの状態」を欲しがるように、じわじわと調教されていく。



服従と隷属。
ささやかな報酬として与えられるのが、この「感情ハイの状態」、というわけだ。

【参考資料】
モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない
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第三章 巧妙に支配下におく

 モラル・ハラスメントが特に夫婦の間で行われる場合、第1章でも述べたように、それは相手を惹きつけて支配下におき、それから精神的な暴力をふるっていくという経過をたどる。

この最初の<相手を惹きつけて支配下におくという段階>は数年間続くこともある(精神分析医のP=C・ラカミエは、<相手から物を考える力を奪う>という意味で、これを<愚鈍化>と呼んでいる。)

これはいわば精神的な暴力をふるうための準備段階で、この間に加害者は被害者を精神的に不安定にさせ、徐々に自信を失わせていく。

相手を惹きつけ、自由を奪いながら影響を与えていき、支配下におく。モラル・ハラスメントはこうして始まっていくのである。」(p.159)


サイコパス人間と付き合い始めた頃のこと、ちょっと思い出してみて欲しい。
ここにも、あそこにも、あなたが「あえて目をつぶった・無かったことにした」危険信号がチカチカと点滅してはいなかっただろうか。
完全無欠の「いい人」「いい子」イメージとは今ひとつ相容れない、「何か」に引っ掛かりを感じたこと、無かっただろうか?


...そうだ、確かにあの人、「元彼/元カノが今でも『やり直そう』って、未練がましく言ってくる」と、やたら自慢していたっけ。


...「後で電話するから」と言っておきながら、見事「忘れて」しまい、予定よりも何時間も後になってかけてくる、ということ。あった、あった。


...いつの頃からか、デートの費用を割り勘にすることもしなくなり、当たり前のようにこっちが二人分の勘定をまとめて払っていたっけ。


...「俺/私に実は気があるらしい」と、あの人が言っている女性/男性の知人。堂々と開き直り、遊びに行くんだ〜と、私の前で一緒に計画立てたりしていなかったけ?


こうした相手の仕打ちに対し、一体あなたはどういった反応に出ていただろう?
...そうだ。何もかも無視し、脇に押しのけてしまった。
相手に嫌なことをされた時ですら、瞬く間に許し、水に流してしまっていた。


それも、全てはあなたが「他とは違う」女/男になろう、と強く心に決めていたがためだ。
...何があっても、あの人をいつもハッピーな気持ちにしてあげて、全て受け止めてあげる。
自分はそういうパートナーになるんだ、と、固く決心していた、あなた。


©123RF


これで、あなたの仕込みは全て整った。


2015年3月8日日曜日

作りものだった「ソウルメイト」:間接的な説得話法

あなたをちやほやと持ち上げる【理想化】の過程は、ひとまずこれで一段落だ。
以後、サイコパス人間はあなたの立ち居振る舞いに、事細かに干渉してくるようになる。


はっきりと、直接的な物言いはしない。
それよりはむしろ、間接的で遠回しな言い方を巧みに用いて、ああしろ、こうしろ、と被害者の言動に注文を付けてくるのである。
最終的には被害者もそうした相手の言い分を受け入れてしまう。


相手は、あなたのやることなすことに口出ししてくる。
その間、外の世界に見せているのは「罪の無い、いい人」の顔だけ。
だから、「どうして気持ちがざわざわするんだろう。あっ、そうか、あの人から言われたことが原因だ!」と早い段階で見抜ける人など、ほとんどいない。




ところで、サイコパス人間は暇さえあれば元彼・元彼女をこき下ろしているものだ。
これはあなたを持ち上げ、ほめ上げるために彼らが使う、お決まりのテクニックである。
既にお気付きかもしれないが。


いいかい。よく聞いて欲しい。
奴らがあなたに対し実際にやっていること、あれは「調教」だ。
「元・彼(彼女)はいつもこうしていた。でも、あなた(君)は、まさかそんなことするはずないよね。」と言いながら、実際は「私/俺が決めるルールに沿って行動しろ」と、命令を下しているのだ。


相手は、とにかくあなたのことをほめて、ヨイショと持ち上げる。
それが嘘か真(まこと)かはさておくとして。
えっ?そこまで相手がほめるような長所、自分には思い当たるところが全く無い、だって?
まぁ、あなたにそうした長所があるか、無いか、なんて、正直な話、サイコパス人間にとってはどうでもいい事だ。



もはや、これを「ほめ言葉」と呼ぶわけにはいかない。
これは、「警報」である。





...「いい?もし、元・彼/元・彼女と同じ過ちを繰り返すようなヘマをしたら、お前/あんたなんて即、切り捨てだよ。別れるよ。」と、あなたに向けて発信された警報だ。
大体、そのような「過ち」など、元彼・元カノの誰一人として現実に犯したこともなく、「過ち」自体が作り話である可能性が高いのだが。


間接的な言い方でこの相手が伝えようとしていること。
それは、


「もし、彼/彼女として認めてもらいたければ、見返りとしてかくかく、しかじかのやり方で振る舞うのは至極当然だろう?」という期待、である。



以下、そうした間接的説得話法の代表的な例を紹介しよう。



1. 「前の彼女/彼とは、しょっちゅうケンカばかりだったよ。
僕(私)たちは、ケンカなんかしないよね。」


2. 「前の彼/彼女は、いつも電話をかけてきてはだらだらと長話ばかり。
あなた/君は、そんなに手のかかる/面倒くさい人じゃないよね。」


3. 「前の彼女/彼からは、『仕事見つけたらどうなの』といつも追い立てられてばかりだった。
君/あなたはもっと理解ある人だよね。」



もう一度繰り返そう。
今挙げたようなセリフは、あなたへのほめ言葉なんかじゃない。
「〜してくれて当然だろう?」という期待、だ。
この相手は、自分が聞かれたり突っ込まれたりしたら困る質問を避けるため、予めあなたの物の見方を歪(ゆが)めておこうと企んでいる。
真実に気付いて欲しくないから、真実から遠ざけておこう、というわけだ。


彼らの脳内には「自分を不愉快にさせる感情・チェックリスト」が常備されていて、いつでも参照可能な状態に置かれている。
【俺/私の前で、不愉快な感情を表に出すな。さもないと、ひどい目にあうぞ。】
こうしてあなたはまた一つ、相手からの間接的説得に屈していく。


そもそも、普通の共感能力を備えた人間は、愛する人と他の誰かとを比較したりなどしない。
誰かを真剣に愛していれば、「過去に付き合った男(女)の誰よりも、今の彼氏(彼女)は素晴らしい」なんてこと、自分にも、周りにも言い聞かせる必要など全く無い。
同様に、たとえ恋愛感情が冷めた後でも、「あいつとの付き合い。もう、最悪だったね。」などと、声を大にして自他に訴える必要は無い。


しかし、これを現にやってのけるのが、サイコパス人間だ。
それも毎回、確実に。
なぜ彼らはこのようなことを繰り返すのだろうか。
要はあなたを操りたいのである。
意図的に話を曖昧にし、わかりにくくすれば、それだけ他人を操るのは簡単になる。






ここまで相手に付き合ってきたあなた。
たとえ相手と口論にになった時でも、ごく短時間で、しこりを残すことなく全て丸く収める技術にかけては、達人の域に到達したことだろう。
...あの人の元彼女/元彼みたいになりたくないから。
3日間、相手から何の音沙汰無し、となっても、自分からは電話をかけない。
...あの人の元彼女/元彼みたいになりたくないから。
すっかり怠け癖がつき、もう半年も職無し、という相手に対しても、あなたからは何も言わない。
...あの人の元彼女/元彼みたいになりたくないから。



もし、相手が作成した計画案から少しでもはみ出そうものなら、それこそ大変だ。
無視・黙殺の状態が続くか、もしくは「君(あなた)、おかしいんじゃないか。」というキツい一言が返ってくる。
...ちやほやと持ち上げられていい気になっている【理想化】の段階なんて、今すぐにでも終わらせられるんだよ、という非情な現実を、あなたの眼前でちらつかせるかのように。



サイコパス人間から逃れた人々が、相手から受けた虐待の日々を振り返ってみて最も強い怒りを感じるのは、まさにこの部分である。
あなたは、自分の直観、そして自分の欲求を脇に押しやってしまった。
そして、ひたすら相手にとって「都合のいい人」になろうと努力してきた。
他の誰にも実現できなかったような特別待遇を彼に/彼女にプレゼントしてあげられるのは、この私しかいない。僕しかいない。
あの頃はそう信じて疑わなかった。



だが。
あの人は、何の前触れもなく元・彼女/元・彼の元へと戻ってしまった。
あなたと三角関係で火花を散らしてしていたはずの、元・交際相手のところへ。






そこに至るまでの間、あなたは一体どれだけ「仕事、見つけたら?」と言いかけたのを必死に飲み込んだことだろう。
もっと頻繁に電話して欲しい、という気持ちだってひたすら抑え続けてきた。
「良きパートナーになるための努力ぐらいしてほしい」の一言すら言えなかった。


何もかも、あなた自身の手で脇に押しのけてしまっていた。
だって、そうする以外に方法は無い、と、ひたすら信じ込んでいたから。
あの人と一緒にいたいのであれば。
...あの人の「良い面」と一緒にいたい、と願うのであれば...。