2015年2月25日水曜日

作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【3】

4. 君はきれいだ。
   あなたって、素敵。

サイコパス人間は、外見のことばかり気にしている。
あなたの洋服や髪型、肌の調子、写真映りといった、ごく表面的な事柄、それもたまたまその日目についたような事柄について何か一言言わずにいられない。
こんな人種、他には見当たるまい。


最初の頃は、そうした言葉もほめ言葉のように聞こえる。
「なんて君はきれいなんだ。」
「あなたってすごくイケメン。」
...今、自分がこんな人とお付き合いしているだなんて信じられない、私(僕)は、あなたのように優れた人の相手にはふさわしくないんじゃないか、...等々。
彼ら曰く、「公園を歩いても、君(あなた)より魅力的な人なんて見つからないよ」とのことだ。
(どうしてこんな言葉がほめ言葉となるのか、僕には今ひとつ分からないのだが。)


先に挙げたように、自分のコンプレックスとなっている部分(外見など)をほめてもらった以上、当然、あなたも相手へのほめ言葉を返し始める。
相手にも満足してもらえるように、その言葉は上手に選ばなくてはならない。
...相手があなたにとってもこの上なく素敵な人なんだ、ということがしっかりと伝わるようにしたいから。



まさに相手の目論見通りの展開となった。
最初は、まず、あなたの方にほめ言葉をシャワーのように浴びせかけて、いい気分にする。そうすれば、サイコパス人間をほめ称える言葉がお返しとしてすぐさま跳ね返ってくる。
全てが計算通りだ。



その段階を過ぎると、相手は急に安心したように、自分の写真を一緒に見よう、とさかんに迫ってくる。
もはや二人の交際は、単なる賞賛と賛同とのエンドレスなやり取りへと化したようである。



今や、彼らが発する一言一句が、あなたの自尊心を左右するようになってしまった。
なぜか?
彼らの口からは、間違いなくポジティブな言葉しか出てこないためである。
あなたは相手からの賞賛を受けて、自分自身が光り輝いていくのを感じている。ほめ言葉を聞くたびに体中が充電され、自信がみなぎってくる。
相手をあっと言わせたいという一心で、あなたは自分の外見磨きにますます多くの時間を費やすようになる。

©123RF



5.こんな気持ちになったのは、生まれて初めてだ


さあ、いよいよここから他人との比較が始まる。


サイコパス人間はあなたを崇め奉り、他のどんな人間関係をも超える高い地位へと押し上げようとする。
そして、「君(あなた)は、他のどの元・彼女(元・彼)よりも素晴らしい」と思う理由を、とくとくと...しかもやたら具体的な話とともに...並べ立てる。
しまいには、「この前、今みたいに幸せな気持ちを味わったのがいつの事だったか、思い出せない」とまで言う。



「ああ、何て幸せ者なんだろう、私(僕)って。」
彼らの口からは、しょっちゅうこのように大胆なセリフが出てくるはずだ。
幸せ宣言を聞かされたあなたの中には、「誰かを幸せにしてあげたい」というかねてからの強い願いが呼び起こされる。


あなたが一緒だと、他ではちょっと味わえない特別な喜びを感じる、と、彼らは力説する。それがまた、あなたの自尊心をくすぐるのだ。
...そう、この人が欲しいのは、唯一、私だけ。
ライバルは他にもいるけれど、誰一人としてこの私の足下にすら及ばない...。


サイコパス人間はあなたのことを「パーフェクト」「非の打ち所がない」と評し、さんざん持ち上げる。
だが、これが後々必ず訪れることとなる「お前はおかしい!」「あんたは嫉妬の鬼だ!」といった罵(ののし)り言葉へとスイッチが切り替わる時、あなたの側にとてつもなく大きな認知的不協和【*注】が生じる原因となるのだ。


【*注:参考記事 「認知的不協和の意味と例」より 

「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」

論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHPhttp://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。】


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今、こうして過去を振り返りながら、思い出してもらいたい。サイコパス人間からのほめ言葉は、いつも薄っぺらく、計算ずくのものではなかったか。
しかも、誰に対しても同じようなことしか言わない。


【理想化】の段階は、ターゲットとなった人それぞれに異なった現れ方をするだろう。
だが、どの人間関係にも共通して言えることがある。
...今まで生きて来た中で「こんな気持ちになったことはない」と彼らが言う場合、確かにそこにウソ・偽りは無い。
だって、サイコパス人間は、自分がしょっちゅう口に出して言う程に「愛を感じた」経験など全くしていないし、「幸せを感じた」ことだって生涯ただの一度も無かったのだから。


軽蔑、羨望、退屈の三つの間を行ったり来たりする人間。
これがサイコパスである。
それ以外の状態など、彼らには無い。


6. 私達二人はソウルメイト


サイコパスが大好きなのが、「ソウルメイト」という考え方だ。
単なる恋愛とは一味違う、何か特別な匂いを漂わせる言葉である。
自分たちは高次の力が働いて結びついた、運命付けられた二人だった、というわけだ。
「ソウルメイト」認定を受けた、ということは、あなたがこの相手との関係に全身全霊を食い尽くされていく、ということをも意味する。
そうして生まれた心的きずなは、相手との関係が死に絶えた後もなお、あなたにずっとつきまとう。


おそらく、われわれの誰もが、心のどこかで「ソウルメイト」を待ち望んでいるのかもしれない。
人生を完全なものとしてくれる、完璧なパートナー。
何もかも全てを分かち合うことのできる、誰か...恋人と、親友とを兼ね備えた誰か...を、待ち望んでいるのかもしれない。


僕としては、そうした相手を待ち望むこと自体、おかしいだとか、間違いだとか言うつもりはさらさら無い。ここは強調しておきたいと思う。


サイコパス人間は、あなたが抱く夢や空想すら勝手に操作しようとするだろうが、それに屈してはいけない。
夢や空想を持つこと。
人間として、弱みを持つこと。
この二つは、同じではない。別物だ。
彼らはそう認めようとはしないだろうけど。 




サイコパス人間に捨てられた被害者の多くが、以前の人生に関わる物事全てを否定し、葬り去ることを選んでいる。
そして、「これ以上傷付けられるのはごめんだ」と言わんばかりに、自らの周囲に防御壁を高々と築き上げ、半永久的に外界との接触を断とうとしている。


どうか、それだけはやらないでもらいたい。


「ソウルメイト」の存在を信じる人は、きっといつか本物のソウルメイトに出会える。
やさしく、思いやりに満ちた男性/女性が、きっとあなたの前に現れる。
相手のやさしさが本物だから、あなたの方も自分の気持ちを疑ったりなどしない。
いかにも「作りもの」といった感じの熱烈さは無い代わりに、相手への熱い思いが自然と花開くように外へあふれ出る...といった関係が築けるはずだ。

 CC-BY-ND (https://www.wylio.com/より)


結局、サイコパス人間はあなたのソウルメイトではなかった。
この先も、永遠になり得ないだろう。
だって、あなたのソウルメイトとなる人間には、当たり前の事だけど、まず「ソウル(魂)」が備わっていなくてはならないのだから。
...彼らにはぽっかりと欠落している、「ソウル(魂)」が。



2015年2月18日水曜日

作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【2】

1.同じところがたくさんあるね


価値観が同じ。
笑いのツボも、一緒。
二人とも、人の気持ちに寄り添えて、いつも友人や家族のために奔走している。
何もかもが完璧な、そんな私たち。


サイコパス人間は、こうした点を執拗に幾度も強調しては、我々の頭に焼付けようとする。
「僕たち/私たちって、もはや一心同体って感じだね」とすらのたまうことだって、珍しくない。


【理想化】の段階では、もっぱら聞き役に徹する彼ら。
あなたの話に聞き入って、「僕(私)も同じ気持ちだよ!」と、熱っぽく反応する。

Couple dining in the Carioca Room of the Americana Hotel - Bal Harbour from Flickr via Wylio
© 1957 Florida Memory, Flickr | PD | via Wylio

こうなると、あなたも「ここまで自分に似ている人なんて、後にも先にも現われないのでは」と、考えるようになってくる。


その通り。
現われるはずがない。


二人の人間が何から何まで同じだなんて、全くもってあり得ない(第一、気持ち悪い)ではないか。


普通の人間同士ならば、違いがあって当たり前である。
他人と自分。違いがあるからこそ、人生は面白くなる。
ところが、サイコパス人間は、そうした面倒さを一切バイパスしてしまう。


なぜって?
彼らには「自分」が無いからだ。
「自分はこういう人間」という感覚が、彼らには無い。
人生経験を積み重ねていないから、自分には何が必要で、どんな弱点があって、ひそかにこういう夢を抱いていて...といった、人を人足らしめる【中身】を築き上げることなく、ここまで来てしまったからだ。


だから、あなたの人生経験を盗まずにはいられない。

don't steal plants away from Flickr via Wylio
© 2007 hiroaki maeda, Flickr | CC-BY-ND | via Wylio

そして、カメレオンよろしく、自分の性格を隅から隅まで改造しては、あなたの【完璧なパートナー】像にぴったり一致する人間へと変身するのである。



2.願いも一緒。夢も一緒。


あなたは、サイコパス人間にじわじわと毎日を蝕(むしば)まれつつある。
実は、彼らはあなたの未来までも支配しようと目論んでいるのだ。
せめて手間隙かけた分の元ぐらいは取らなきゃな、とばかりに、彼らは二人の将来に関して、次から次へ約束手形を連発する。
約束さえ与えておけば、あなたはずぶずぶと深みにはまる。そこまで行けば、ちょっとやそっとの事では逃げ出さないだろう、という魂胆だ。
先の見えない恋愛にしがみつくなんて、まぁ、まともな人間ならまずやらないだろうしな...。


そこを熟知しているからこそ、先手を打っておくのだ。
彼らは、付き合いの早い時期から結婚・同棲といった、人生を左右しかねない重大なイベントについての相談を始める。
普通、健全な人間関係にある人ならば、こうした話へと辿り着くまで数年かかることだって珍しくないのだが。


だが、あなたの場合、そこまで長々と待つ必要は無い。
だって、もう自分でもよくわかっているじゃないか。
残りの人生を、ずっと、この人物と一緒に過ごすことになるだろう、ってことを。


結婚して、いずれは子供のいる家庭を...と夢見ている人ならば、その幸せファミリーの構図にはしっかりと「あの人」が含まれているはず。

A Happy Family - Vintage Photo from Flickr via Wylio
© 2009 Tony Alter, Flickr | CC-BY | via Wylio
いつかは起業家として独立を...と考えているのであれば、「あの人」が頼もしい右腕的存在となって、ずっと傍にいてくれるはず。
今は泥沼の結婚生活から抜け出せないけど、「あの人」が現・配偶者を追い出して、その後釜に座るための手はずを整えていてくれるはず...。



お気付きだろうか?
彼らの描く「計画」は、常にあなたの側に一方的な犠牲を払わせるものだ、ということに。
...彼らが何かを犠牲にすることは、決して無い。


3.傷付いた部分まで同じだね


もちろん、彼らはこんなセリフ、間違っても口にすることは無いだろう。
だが、相手は人の弱点を瞬時に嗅ぎ分ける達人である。あなたの中に潜む弱点をそっくりコピーして表に出し、あなたから憐れみの情を引き出そうとする。
これにより、あなたは「自分だったら、こう接してもらうと嬉しいな」と願っているようなやり方でもって、サイコパス人間の「問題」を癒してあげよう、と、意気込む。
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© 2009 bl0ndeeo2, Flickr | CC-BY-ND | via Wylio

共感能力の高い人々は、臆面もなくゴマをするような人、自信過剰女・男といったタイプには興味を持たない。
むしろ、それとは真逆の、純真で、思いやりあるタイプの人に惹かれるものだ。


あなたが彼らの中に自分と同じ傷を見つけるやいなや、その共感能力はますます増幅することとなる。
目の前にいる人が、「ダメな奴だな、自分...。」と、落ち込んでいる。
その姿に、あなたはつい、「任せて。私、あなたを元気にしてあげるから。」と、妙に張り切ってしまうのである。


とにかく、この相手は特別な人。過去に付き合った誰とも似ていない。
何たって、あなたがしたこと全てに対し、手放しで賞賛してくれている、というのだから。
あなたを以前付き合った彼氏・彼女たちと比べては高々と持ち上げ、「あなた(君)が最高!」と、崇(あが)める。
その言葉にあなたは「ようやく今までの努力の全てが報われた」と感じ、しかるべき使命を与えられたような気持ちになる。
これまで付き合った人達ときたら、こっちがいろいろと尽くしてあげても「ありがとう」どころか、逆に不平不満をたらたらと並べ立てるばかりだった、というのに。
でも、もうそれすらも、今となっては遠い過去。...


サイコパス人間を憐れみ深い目で見るようになったら最後、あなたの本能には歯止めが利かなくなる。
相手のために尽くしまくっては、「どれほどあなたのことを気遣っているか」をわかってもらおうと、何から何までやってしまう。


だが、彼らがこの時何を考えているか。
あなたには想像もつかないだろう。


傷。
弱点。
彼らにとっては、人を操り、コントロールするための道具に過ぎない。



幼子のような「かよわい人」を演じるお決まりの手口は、背後にある意図に気付かれないようにかぶる、格好の隠れ蓑(みの)なのだ。


Shaun innocent face from Flickr via Wylio
© 2009 John Chan, Flickr | CC-BY-ND | via Wylio


2015年2月10日火曜日

作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【1】

サイコパス人間のもたらす災いのうち、もっとも人目に付きにくいがゆえに危険が察知されにくい部分。
それは、アップダウンの激しい、彼ら特有の人間関係のサイクルだろう。


サイコパス人間は、無防備な被害者から少しずつその人らしさを奪っていくばかりか、その一部始終をとくと見物しては狂おしい程の喜びに浸る。
冷酷非情。全てが計画通りに進む行為。
まさに心の強姦(レイプ)だ。




  まずは丹念に身づくろい(グルーミング)から


grooming 旭山動物園のサル from Flickr via Wylio
© 2007 Kazue Asano, Flickr | CC-BY | via Wylio

サイコパス人間は、あなたを調教し、完璧なパートナーへと仕立て上げることを目論んでいる。 だから、出会いから数週間もしないうちに全生活を乗っ取られてしまうのも無理はない。やがてあなたは、未だかつて経験したことが無い程の快楽に溺れ、身も心も何もかも奪われていく。


いずれはあなたの方が、彼らに対し絶え間なく崇拝や賞賛を送り続ける役割を一手に引き受けることになる。
だから、彼らとしてはまず、あなたをしっかりと恋の虜(とりこ)にし、逃がさないようにすることを最優先するわけだ。


一度のぼせ上がってしまったら最後、あなたの心は相手から何を提案されようと、易々と受け入れ、相手の意向に従うようになってしまうだろう。
これらのプロセスを、【理想化】・【間接的な説得話法】・【試し行為】 という3つの要素に分解して見ていくことにしよう。


【理想化】

サイコパス人間との「理想化」段階は、あなたにとって「こんなこと、生まれて初めて!」という驚きの連続だろう。
あなたは瞬く間に足元をすくわれる。
そして、心・魂・身体と、あらゆるレベルで情熱の炎を燃え上がらせてくれるような強烈な恋物語に、全てを投げ打つ。


朝、起きてまず一番に考えるのは愛するあの人のこと。
そろそろ、一日のスタートを飾ってくれる恒例のメッセージが届くはず。
あの人ったら、いつも、読むと元気が出て、思わず笑っちゃうような気の利いた一言を送ってくれるのよね...。


気が付けば、あなたの頭は「あの人」と自分が築く夢のような将来のことでいっぱい。 退屈な目の前の現実なんて、視界にも入らない。そんなもの、今となってはどうでもよくなってしまったようだ。
...あの人。
残りの人生を、あの人以外の誰かと共にするなんて、もう、とても考えられない。



こうしたドラマがあなたの心を舞台に展開される一方で、サイコパス人間の頭は全く別のことで一杯になっている。


「よし、いいぞ。作戦通りだ。」


サイコパス人間が表に見せる顔と、心の中で思っている内容とが一致していることなど、絶対にあり得ない。
あなたをじっくりと観察し、あなたが表す心の動きをそのままおうむ返しにする。
ただ、このビッグウェーブに二人一緒に乗って楽しんでいるかのような「ふり」をしているだけだ。


なぜ、そんなふりをするのかって?
乗る波が高ければ高いほど、落ちる時の落ち方もそれだけ派手で、見応えたっぷりの演目となるから---だ。

Muniz pro surfer from Flickr via Wylio
© 2011 SayLuiiiis, Flickr | CC-BY-SA | via Wylio


【理想化】というこのプロセスは、サイコパス人間が相手を「身づくろい(グルーミング)」していく上での、最初の一歩となる。
 「愛情爆弾投下(love-bombing)」の別名でも知られる、この【理想化】段階を経ていくうちに、あなたの警戒心はいとも簡単に崩れ落ち、心の扉は開けっ放し、出入り自由の状態となる。


Love Actually from Flickr via Wylio
© 2009 Nehuén Mingote Kisler, Flickr | CC-BY | via Wylio


そればかりではない。相手からの【理想化】を集中的に受けることで、あなたの脳内化学物質には変化が生じる。
その結果、フィーバー状態となった快楽中枢への依存度をますます高めるあなたは、快楽中毒状態へと陥ってしまう。


有り余る程のお世辞と褒め言葉を浴びせかけることで、サイコパス人間はあなたの最も深いところに眠っていた虚栄心や弱みを起こしてしまった。
...自分でも気付いていなかったような脆い部分が、目覚めたのだ。


彼らがあなたに絶え間なく注ぐ賞賛や関心は、さまざまなルートでやって来る。
電話。フェイスブックのタイムラインへの投稿。Eメールの受信箱...などなど。

Texting from Flickr via Wylio
© 2009 Michele Ursino, Flickr | CC-BY-SA | via Wylio

数週間もしないうちに、あなたと相手との間には、二人にしか通じないジョークが生まれ、お互いを愛称で呼び合うようになり、へんてこな歌の数々が交わされるようになるだろう。
今振り返ってみれば、何てバカバカしい、と、あなたは思うだろう。だが、自分がその真っ只中にいた頃は、相手無しの人生なんて、想像することすらできなかったのだ。


では、サイコパス人間は、どのような手口を使うのだろうか。


プレゼントや詩を次から次へと贈って来るのは、半ばお約束のようなものだ。


【参考記事:「世話を焼く、悩み相談が好き、物を贈る自己愛性人格障害」
推薦リンクのひとつ・モラハラ資料さんのHP http://mora110.blog.fc2.com/ より。】



彼らは、これ以外にもさまざまな洗脳テクニックを駆使しながら、あなたの心をむしばんでいく。



その中でも、この【理想化】の段階で特によく用いられるセリフがある。
彼らがあなたとの会話で、さかんに印象付けようとする6つのポイント、次にご紹介しよう。

2015年2月6日金曜日

「いつもさん」~The Constant~ 【2 】

「自分の気持ちと、外の世界の事とは切り離して考えなくちゃ」
こんなこと言う奴らの話に、耳を貸してはいけない。
あなたの心が外界へと開け放たれている限り、切り離せるわけがない。


人の子として生を受けた僕たちには、ある驚くべき才能が備わっている。
ちょっとした一言、しぐさ、穏やかな微笑みでもって、誰かをすばらしい気持ちにさせてあげられる才能だ。
たいていの人は、これを「愛」と呼ぶだろう。
この「愛」という才能なくして、僕たちが暮らす美しい世界は存在し得ない。



ただ、今回、あなたが遭遇してしまったのは、加虐的な性質の人間だ。
「愛」という天与の才を悪用し、苦しみを生み出すような人種である。
あんなひどい経験はこりごり、と思うあなたは、どうしたらこの手の人間を避けられるかを知りたくてたまらない。
その一方で、周囲の人や物事への不信感がつのり、警戒心が必要以上に高まり過ぎている自分にも気が付いている。


何か、頼れる道具が欲しいところである。
自分の直観の声よりも、もう少し手っ取り早く使える「何か」が、欲しい。



そこで、僕は読者の皆さんに対し、「いつもさん(a Constant)」という存在を心の片隅に置いておくよう提案したい。
本書を読む間にも、日々の暮らしでも、これからは「いつもさん」が片時も休むことなく、あなたを慰め、守ってくれることになる。



大好きな人のことを思い浮かべてほしい。
会うたびに元気をもらえて、絶対にあなたをへこませたり落胆させたりしないような人がいい。
誰でもいいのだ。母親。親しい友人。回復支援のサイトで出会った仲間。自分の子供。愛猫。亡くなった親戚...。



(以上3枚、©123RF)



どんな人でも、動物でも、一向に構いやしない。



(以上3枚、©123RF) 

「そんな存在、自分にはいないよ」と言う人がいるかもしれない。
もちろん、いるとも。必ずいるに決まってるさ。
見つからないなら、今、この場所で、大急ぎでこしらえてしまえばいいだけのことだ。



人間を超えた高い次元から来る大いなる力。
そんな力を備えていて、しかも思いを馳せるだけで心がほっと和むような存在を、自由に想像してみよう。


(以上2枚、©123RF)

(©Ancestry Images)


色鮮やかで、光輝き、生気に満ちている、「いつもさん」。
他人への共感、思いやり、親切心といった、あなたが生きる上で最も大切にしている美徳を、身をもって示してくれているような優しい存在が、思い浮かばないだろうか。
きっと、今も、そしてこの先も、あなたが危険な目に遭わないよう守っていてくれる。





(以上3枚、©123RF)




ほら。
「いつもさん」は、あなたの傍にいるじゃないか。



さあ、あなたにとっての「いつもさん」(現実、非現実を問わず。)が特定できたところで、僕からの質問に答えてもらおう。



「いつもさん」と接していて、あなたは...
不安な気持ちになるだろうか?
心配でたまらない?
嫉妬深くなるだろうか?



「いつもさん」に話しかけられて、今にも心臓が飛び出そうな程、ビクビクすることがあるだろうか?



「いつもさん」と会えない時。
その人の行動や、言葉を後から細かに分析し、実際に起こってもいない口論を予測してはどう言い返そうかと考える。延々と、何時間にもわたって。
「いつもさん」との付き合いで、果たしてここまで無駄に気を使う必要、あるだろうか?


もちろん、無い。
上の質問に対しては、全て「No」で即答できるはずだ。


なぜ「No」と言えるのか。
あなたは、傲慢で、人を見下してばかりいる、ある一人の人物と関わった。
その結果、自分を取り巻く良いこと・良い人々に対しても一律に不信感を抱くようになり、常に疑心暗鬼のまなざしでしか見られないようになってしまった。
どうしてそうなってしまったのだろう?



「いつもさん」とは対極に位置するのが、例の、あなたをゴミ同然の扱いしかしない連中だ。
この両者の間には、一体どんな違いがあるのだろう?



今すぐに答は出せないかもしれない。
大丈夫。他にも仲間はたくさんいるから。
そう、あなたは一人じゃない。
ここ、重要だから忘れないでいてほしい。



なぜ、ある特定の人間と関わることに気が進まないのだろうか。
理由はまだわからないかもしれないが、それはそれでいい。
あなたには、「いつもさん」がいる。
とりあえず、現時点ではそれさえ知っておけば充分だ。
自尊心は、後からちゃんとついてくるから。心配することはない。


あなたにとっての「いつもさん」とは、自分だけに通じる覚え書きのような存在だ。
「いつもさん」とつながるたびに、「自分はまともだ」と、改めて実感できる。
たとえ、全世界を敵に回してしまったかのように感じられる時でも。



月日が経つにつれて、あなたは付き合う人を選ぶ、ということをし始める。
一緒にいて嫌な気持ちになるような奴など、避けて通ればよいのだ。
そして、少しずつ目が開かれてくる。
...私には「いつもさん」がいるじゃないか。
一緒にいるだけで、私の一番良い部分を引き出してくれる「いつもさん」が。
だから、もう、あんな性悪連中と我慢してまで付き合う必要など無い...。



困ったら、「いつもさん」に頼ってみよう。それも悪くはないな、と、少しずつ思えるようになっていく。



さて。
あなたは、ここでひとつの大きな質問を自分自身にぶつけねばならない。
今まで出てきたどの質問よりも重いものとなるが、心の準備はOKだろうか。


『いつもさん』と付き合う時のような安らぎを、全ての人間関係でも感じられるようになったらいいなあ。
・・・でも、実はそういう安らいだ付き合い方こそが、人間関係の本来あるべき姿なのでは?」



そうとも。まさにその通りである。


では、次へ進もう。


【原文】 
https://www.psychopathfree.com/content.php?260-The-Constant

(※ 上の訳文は書籍版・"Psychopath Free"中の英文に基づいています。そのため、必ずしも上のリンク先の英文表現と一致しない場合があります。)

2015年2月3日火曜日

「いつもさん」~The Constant~ 【1】

さて、サイコパス人間の素性はわかった。
危険信号もしっかりと確認した。
その次にあなたを待ち構えている質問は、かなり手強い。


「どうしたら自分を守ることができるだろう?」



今後、科学が長足の進歩を遂げない限り、ある人が良心を持っているかどうかを確実に判定できる方法が発見されることなど、まず、無いだろう。
正直、この僕だって、100%の自信を持ってサイコパス人間を見抜く手段などあり得ないだろうな、と思う。


ありがたいことに、身の安全を確保するための方法が他にある。
ただ、これには【自分の内側を見つめる】ことが必要となる。
誰が相手であろうと、どこにいようと、どんな時だろうと、関係無い。
一つだけ、質問に答えてくれるだけでいい。
...ただし、答は一つだけとは限らない。
一つどころか、次から次へと出て来るはずだ。


では、僕からの問いだ。真剣に答えて欲しい。
「今日、あなたはどんな気持ちでいますか?」


たいていの人は上のような質問に対し、あまり深く考えることなく、週末にやったこと、職場での昇進、今一番ハマっているテレビ番組といったことを話題に挙げながら、適当に答えるものだ。


あなたは、今、どんな気持ちでいるだろう?
うつろな気分だろうか?
壊れてしまったような気がする、か?
真っ暗闇で、夢も希望も無い状態、か?


朝、ベッドから起き上がる時、以前から続いている心臓の痛みをまたもや感じて、「まるで魂を蝕んでいくがんみたいだな」なんて思ったりはしなかっただろうか?


日中は、辛い過去から逃れようと必死に努力しているあなた。
だが、ふと気が付くと、あの頃のあの人とのことばかり考えている...こんなことを繰り返していないだろうか。
かつては、思い起こすだけで幸せな気持ちになれたあのシーンも、今となっては吐き気がするほど忌まわしい。






怒りとうつ状態の間を行きつ戻りつしているかもしれない。
どちらを選んだらより苦痛が少ないか、自分でもよくわからず、片一方に決められないのだ。






これら全てが、あなたの出した答である。



一つの関係が終焉を迎える。
その時、あなたが上に書いたような気持ちを抱いていたとしたら、別れた相手がサイコパスだろうと、ソシオパスだろうと、自己愛人間だろうと、はたまたどこにでもいるようなただのクズ人間だろうが、呼び名なんてどうでもいいじゃないか。
相手をどう呼ぼうと、今感じているこの気持ちが呼び名によって正当化されたり、されなかったり、というわけではないのだから。


【参考記事①:「ソシオパスとつきあっているかもしれない11の兆候」
http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/30/11_signs_dating_a_sociopath_n_3841308.html
ハフィントン・ポスト日本版 The Huffington Post JP 2013.8.13】


【参考記事②:「(本)『良心をもたない人たち」:『サイコパス(ソシオパス)』の実態と、その対策
http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/27574
イケダハヤト公式HP 「まだ東京で消耗してるの?」 2013.9.28】

*マーサ・スタウトによるこちら↓の本をわかりやすく要約した記事です。

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今、あなたがどんな気持ちでいるか。
肝心なのは、そこだ。
言葉だけで自分を無理に納得させようとしたって、今、ここにある気持ちがすぐに消え去ったりはしない。



自分の気持ちを探っていくうちに、次のようなことがわかってくる。



「一人の人間があなたの生活を根こそぎひっくり返した。
そして、ぽっかり空いた心の穴に、今まで経験したことも無いような新種の不安を植えつけて、去っていった。
以来、あなたはありとあらゆる負の感情に次々と襲われ、生き辛い日々を送っている。



思えば、付き合っていた頃も、イライラしたり、不安定になったりと、心が穏やかになることなど片時もなかった。
うっかり間違いでも犯そうものなら、一瞬にして夢から覚めてしまうかも、という不安感に絶えず苛(さいな)まれていた。
気が付くと、他人と自分とを闇雲に比較してばかり。
『この人の傍にいられるのは、私しかいない!』と、競争心を燃え上がらせていたかもしれない。」


もう一度あなたに聞こう。
「別れた相手がサイコパス人間か否か。
それって、そんなに重要なことだろうか?」と。



あなたが知らねばならぬこと。
全て、あなたの中に既にあるではないか。
...ただ、自分の「気持ち」を探ればいい。
元・交際相手の傍にいるだけで、いつも気持ちがざわついていたこと、まさか忘れてはいないだろう?
「もうイヤだ!」と、交際中に気付き、相手を締め出すことだってできたはずなのに、なぜ敢えて目をつぶってしまったのだろう?


理由はいくつか考えられる。
あなたは、交際相手に手なずけられると同時に、理想の女性/男性の地位へと高々と祭り上げられた。
たぶらかされて、まんまと恋の虜となるように仕向けられた。
(人と人とが結ぶ絆の中で、最も強力な絆...それが恋だ。)
相手はあなたの気持ちをまるで赤子の手でもひねるかのように、思いのままに弄(もてあそ)んだ。



毒になる人間たちは、われわれを調教し、直観の声を無視するようにと仕込んでいく。
だからこそ、もう一度直観を信じられるようになるまで、あなた自身が自分を再訓練していかねばならない。
そのためには、外に見えることだけで判断せずに、内なる眼を使って物事をとらえられるようになる必要がある。


(以上6枚、©123RF)

まずは、自分自身の気持ちに集中し、しっかりと向き合ってあげよう。
癒しは、そこから始まる。


もし、あなたと僕の中に相通ずる部分があるとすれば、次の言葉もきっと気に入ってもらえると思う。
実に単純明解な真実である。


【善い人々といれば、良い気分になれる。
悪い人々といれば、悪い気分にされる。】


後は、おのずから全てが収まるべきところに収まっていくはずだ。


【原文】 
https://www.psychopathfree.com/content.php?260-The-Constant

(※ 上の訳文は書籍版・"Psychopath Free"中の英文に基づいています。そのため、必ずしも上のリンク先の英文表現と一致しない場合があります。)