だが、臨時ターゲットの場合、話は少々違ってくる。
これら二通りの関係を図式化してみよう。
【サイコパス人間と普通のターゲットの関係】
理想化(注1)
↓
脱価値化(注2)
↓
理想化
↓
脱価値化
↓
理想化
↓
脱価値化(以下同様)
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最終的には完全崩壊
(注1) 理想化 についての参考過去記事。「作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【1】」
(注2)「モラハラ資料」理解を深めるための用語集 より引用。
■脱価値化
自分の期待どおりの反応をせず(褒めてくれない、感謝してくれない、愛してくれない、拒絶された、批判されたなど)欲求不満をおこさせたり自尊心を傷つけた相手を価値のない人とみなす防衛機制。「自分を認めてくれない相手には価値がない」と考えることで心を守ります。
NPD【引用者注:Narcissistic Personality Disorder=自己愛性パーソナリティ障害の略】は自分の期待や依存を満たしてくれるときは手放しで『賞賛』しますが、少しでも拒絶したり批判したりするとその評価は180度変わって、『こき下ろし(全否定の攻撃的非難)』の対象となり、人間関係が安定しない。
【サイコパス人間と臨時ターゲットの関係】
生ぬるい理想化段階。話の内容だけは前向き。あなたの期待は否が応でも高まる。
↓↓↓
いきなり捨てられる。
一切の前触れ無し。
臨時ターゲットは、関係をきちんと締めくくる機会すら奪われてしまうのだ。何度も繰り返された暴力発生のパターンを顧みることすらできない。
そりゃ、相手からの暴力なんて無いに越したことはないさ。
でも、一方的にいきなり捨てられたとあっては、宙ぶらりんのまま置き去りにされたも同然だ。
とんでもなく高い場所から、これ以上下がりようが無い程のどん底レベルへと真っ逆さまに突き落とされたあなた。
一体自分に何が起こったのだろう。
気付く暇など無かったし、今後の見通しだって全く立たない。心理的拷問以外の何物でもない。
相手へと捧げた熱い思い、そして、その相手からポイ捨てされた、というむごい事実だけがあなたの元に残された。
サイコパス人間と関わると、誰もがこうしたマインド・ゲームの罠にはめられてしまう。例外など無く。
ただし、臨時ターゲットの場合、【理想化】段階を100%満喫させてもらえないままズルズルと引きずられ、最終的に突然ポイッと捨てられてしまう。この点が普通のターゲットと最も違うところだ。
普通のターゲットとの関係では、【理想化】段階にもそれなりの時間をかけるものだ。
相手の仕込みにたっぷりと手間暇をかけ、二人の関係を安定させ、そして最後には華々しく爆発させる。これがお決まりのパターンだ。
ところが、臨時ターゲットにされたあなたは、そうした一連の流れを全く体験するところまで行く前に、相手から捨てられた。
どうしてだろう?
サイコパス人間にとって、あなたは最初からその場限りの、つなぎ用の相手でしかなかったからだよ。
誰かに関心を寄せてもらい、尊敬の眼差しで見つめてもらえるのであれば、あちらとしては願ったりかなったり、大満足であった。
たとえそれがほんの束の間であっても。
ちょうど欲していたものを、たまたま通りすがりのあなたが持ち合わせていただけ。
それ以上に深い意味は無かった。
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とはいうものの、あいつらだって、あなたが思慮深い心、そして優れた感受性を備えた人だってことは勘付いていたはずだ。
だって、あなたは今、この文章を読んでいるじゃないか。それが何よりの証拠だよ。ここにたどり着いたのは決して偶然なんかじゃない。
...常に真実を追い求め、自分の身に起こったことの正体をしっかりと見極めようとする人。本来、あなたはそういう人なのだ。
これだけは誰が何と言おうとごまかしようがない。
サイコパス人間だって最終的には交際相手を特定の一人に絞り込むわけだけど、そこで最も必要とされる条件は「鈍感であること」。
あまり賢い人を相手にしてしまうと、あいつらの卑劣な振る舞いもいつかは見破られてしまうからね。
だから、今、あなたがこの文章を読んでいるとしたら、それはサイコパス人間があなたに途中で見切りをつけて撤退した、ってこと。
もっと簡単に騙せるカモを相手にした方がいいや、って判断を下したのだ。
何ヶ月先か、何年先か、何十年先かはわからない。
それでも、あいつらとの交際を続けていくうちに、化けの皮が剥がれる日はいつか必ずやって来る。あなたのような人が相手なら、そのような結果へと導かれるのも、至極当然の成り行きだろう。
あいつらはね、永久に騙されたままでいるようなターゲットを欲しがっているんだよ。
自分の正体が暴かれることを心配しなくていい。
そういう「カモ」だけを相手にしたいんだよ、彼らは。
長期的に付き合えそうなターゲットを取り込み、キープしておくことは、サイコパス人間の方にもメリットが多いはずだ。
どれだけ嘘をついても、他の相手と火遊びしても、一切とがめだてはしない。責めたりしない。
そこまでできた相手が常に傍にいて、自分に合わせてくれるのであれば、それはそれで何かと重宝だよね。
だが、サイコパスはそのようなターゲットたちに対しても、少しずつ恨みつらみをつのらせていく。
なんだこいつ、自分はただ演技してるだけなのに、それすら見破ることができないのか。頭悪いな...。
と、ターゲットのことを心の奥底で見下すようになる。
全く、奇妙キテレツな話じゃないか。
あいつらと来たら「この程度でいいかな」と値踏みして手を打った人々に対しては「非の打ちどころがない、よくできた人」との印象を必死に残そうとしてくさい芝居を続ける。
その一方で、より共感能力に優れた人物をマインド・ゲームへとおびき寄せ、じわじわ痛めつけては七転八倒の苦しみを与えたいとも思っている。その方がスリル満点で、はるかに面白い展開となるからね。
とはいうものの、サイコパス人間にとって、こうした共感能力に優れた人物を長らくキープし続けるというのは、そう容易なことではない。
だから、一人の交際相手からまた別の交際相手へと移る「過渡期」にのみ、そうした人物を捕獲しては搾取する。ピンポイント的な使い方をするのだ。
最終目的地に着く前に、ちょっとだけエネルギー注入させてもらうよ、といった感じで利用するのである。
(人並み外れて高い共感能力を持つ人物の場合、ごくまれにではあるが、何年もの間にわたってサイコパス人間との関係が続いてしまうことがある。僕らの掲示板にも、そのような体験を持つ人が何人も書き込んでくれた。サイコパス人間との間に子供がいるため、逃げようにも逃げられなかったケースが大半のようだ。
そのようなしがらみに縛られているような場合、最後の最後で相手から捨てられた時に味わう苦しみは、筆舌に尽くしがたいほどひどい、ということを随分聞いている。)
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