あれほど真剣に、あなたに本気で恋しているかのように見せかけていた【理想化】の時期とは打って変わって、突如、あなたへの好感情を一気に引き戻し、無関心な態度へと豹変する、という心理作戦に出るのだ。
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あなたにとって大切な夢や目標も、彼らにかかればあざけりや軽蔑の対象となり、こき下ろされてしまう。
「結局、俺の/私の『本命』になろうだなんて、百年早いんだよね〜」と、回りくどい言い方でやる気の無さを匂わせながらも、あなたとの縁は切りたくない模様だ。
一人でいるよりは、誰かに関心を向けられている方がまだまし、ということか。
相手に合わせようとする気持ちが強すぎたゆえに、あなたはみすみすと相手の思い通りに調教されることを許してしまった。もはや、一人立ちも、反論もできない、弱い存在である。
それを知りつつ、相手はますますあなたの弱さにつけ込む。絶望感・焦燥感といったマイナス感情をさかんに煽り立て、あなたを支配する。
嵐のような感情の波に、押し潰されそうなあなた。
かつての夢物語は、予想すらしなかった程のすさまじい悪夢へと、いつしかその姿を変えつつあるのだった。
境界線(バウンダリー)の破壊
【参考記事➀:
「人はそれぞれ自分の周囲にはっきりとした境界線を持っているものです。それはちょうど自分で作った心理的垣根のような感じです。この境界線によって、あるものごとは私たちの人生に組み入れられ、またあるものごとは外側に置かれることになるわけです。
(中略)
(...)健全な限界を設定できないのは、もし「いやです」などと言おうものなら、見捨てられてしまうのではないかと非常に心配だからというのが本音ではないでしょうか。
この見放されることへの恐怖こそ、依存や嗜癖の根本に流れる力といってもいいでしょう。」
(pp. 66-68)
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彼らは、計算した上でツンデレ(意地悪↔親切の繰り返し)周期を巧妙に使い分けるというテクニックを用いて、あなたの自尊心を表面から徐々に削り取っていくからだ。
時が経つにつれて、あなたの価値基準はずるずると下方修正される一方となる。
しまいには、どうでもいいような事ですらありがたい、感謝すべきものとして感じられるようになってしまう。
火にかけた鍋いっぱいの水で泳ぐ、カエル。
水温の上昇がゆっくりであれば、我が身に迫る危険に気付かないまま、そのまま釜茹でにされてしまう。
あなたもこの釜茹でカエルと同じだ。
絶体絶命の状況にあるのに、それに気付いていない。
友達や家族も、心配して声を掛けてくれる。
「最近、元気ないね...ひょっとして、あの人と何かあったの?」
「ううん、別に。彼/彼女とは特に問題なくやれているよ。」
慌ててごまかそうとするあなた。
言い訳するその瞬間も、二人の間に横たわる残酷な現実を思い出しては、胸がずきずきと痛む。
そう。「何かが変わってしまった」のは、事実。
だが、今、それを認めるのはあまりにも辛すぎる。
朝になったら前みたいにあの人からのメール、来るかな。
「後で連絡するよ」と約束してくれたもの。明日こそかかって来るだろうか。
...そう期待しながら、何時間も電話のそばで待っている。
相手から急に声が掛かってもすぐに動けるように、他の予定はキャンセルして丸一日体を空けておこう、とすら考える。
少しずつ、あなたの方からコンタクトを取る割合が増えていく。
「もしかして、あの人、私/俺と話すのが嫌なのかも。...本当は嫌なんだけど、『ガマン』して付き合ってくれているだけなんじゃ...?」
絶え間なく沸き起こる不安を必死にかき消しながら、今日もまた、あなたの方からご機嫌伺いをしに行く。
相手のFacebookのウォール【訳注】に、ほめ言葉やら、小洒落たジョークやら、ちょこまかと書き込みしては、反応が返ってくるのを待っていることに気付く。
付き合って間もない頃に味わった、あの、夢のようなパーフェクトな毎日よもう一度、とでも言わんばかりに。
【訳注:持ち主宛のメッセージを書き込める伝言板のようなページ。
参考記事:「Facebookの『ウォール』って何?使い方を徹底解説!」】
そんなあなたからの呼びかけに対し、返ってくるのは心のこもっていない、生ぬるい言葉ばかり。
そこであなたは、ロマンチックな二人の恋愛ストーリーを自分の中で仕立て上げては、愛しいあの人の長所を大げさに盛り込み、ここぞとばかりに賛美しまくる。
耳を傾けてくれさえすれば、聞き手が誰であろうとどうでもいいのだ。
大好きなあの人がいかに素晴らしい、賞賛に値する人物か。第三者に向かってアピールしていられるうちは、どうにか自分も虚構世界の片隅で生き延びていられる。そんな気がする。
とにかく、今は相手についての話さえできればいいのだ。
現実では、二人の間には暗雲がたちこめているばかり。それでもなお、周囲の家族や友人に「完璧な」パートナーである相手の人物像を説明しようとするあなた。
いずれ関係の崩壊は明るみになるわけだが、その時、あなたは、非常に辛い対応を迫られることとなる。
「え?あなたたち、別れちゃったの?」
「一体、何が起こった?」
あなた自身が事情を周囲に説明して歩かねばならない羽目になるだろう。
その時、あなた側から何を話しても、今ひとつ説得力に欠けるため、にわかには信じてもらえないだろう。
「どうしてもっと早くに話してくれなかったの」という反応が返ってくるに違いない。
何よりも友人達にとって解せないのは、あなた自身が加虐者・被虐者の関係に巻き込まれていたことに全然気付いていなかった...この点である。
あなたが相手からの反応に戸惑い、前触れ無く襲ってきた不安と格闘している段階へと、少し話を戻そう。
もがき苦しむあなたを、サイコパス人間はまたしても容赦なくいたぶり続ける。彼らは、あなたの境界線(バウンダリー)を無視しては、ズカズカと土足で踏み込むような行動に出てくるはずだ。
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【参考記事➁:Naverまとめ
「今年こそNoが言えるようになる!上手に境界線を引いて、自分を大切にする方法」】
相手からどんな仕打ちを受けようと、たいていのことならば忍の一字でひたすら耐え、見逃してきた。
...自分一人がもう少しだけ我慢すればいい。
そのうち、あの人だってこっちを向いてくれるはず。
一途にそう信じ続けた。
それなのに、まさか、こんな結末が待ち受けていようとは。
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