2015年3月17日火曜日

作りものだった「ソウルメイト」:試し行為


サイコパス人間があなたの中に無事プログラムをインストールし終えたら、次の段階が待っている。
今や、あなたという人間を操作する権限を手にした彼ら。
どの程度までならいたぶっても平気なのか。あなたの我慢の限界を探ろうとしてくるはずだ。


「使い勝手の良い被害者」は、口答えなどしない。
本当に必要に迫られているような時でさえ、自分自身を守ることすらしない。それが、被害者となる人間である。

©123RF

もし、最初の【理想化】段階が加害者の目論見通りにうまく進んでいれば、あなたはこの時点で自分のことなんかどうでもよくなってしまっているはずだ。
何としてでも、相手との恋愛関係をこのままホットな状態で長続きさせたい。頭の中はそのことだけで占められてしまっている。


そろそろ、サイコパス人間のダークサイドがあなたの目の前にちらほらと見え隠れする頃ではないだろうか。
寝室で、からかい気味に「クズ女」「下衆野郎」などといった蔑称で呼ばれることがあるかもしれない。あなたがどう反応するかを見たくてそうするのである。


あなたが既婚者であれば、嘲笑の言葉はその場にいない配偶者にも振りかかる。我々の不倫関係に気付いてもいない、実におめでたい女(男)だよね、などと冗談めいた話もするだろう。
また、あなた自身の知性、能力、将来の夢などにそれとなく嫌味をぶつけ始めるのもこの時期だ。


これら全ては、あなたを試すための【テスト】である。


今、この文章を読んでいるあなた。
残念ながら、彼らのテストに合格してしまった、ということになる。


相手の物言いに対し、嫌な顔して反論したところで、サイコパス人間はするりと身をかわし、逃げる。「おいおい、そんなの冗談だよ。わかるだろう?」と言いながら。


そうした【試し行為】が度重なるにつれて、あなたは次第に「ちょっと過剰反応し過ぎかな」と感じるようになってくる。
今までは、自分のことを常にのんきでテキトー極まりないような奴、としか見てこなかったけれど、実は案外そうじゃなかったのかもしれない...。
だんだん、自己評価に自信が持てなくなってくる、あなた。


こうなると、あなたは悩み事や心配事があっても、一切口をつぐむようになっていく。「大丈夫。全てうまくいくはず」と、ひたすらポジティブシンキングで乗り切ろうとするのだ。

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一方、サイコパス人間はさりげない嫌味攻撃の中に時々ほめ言葉を織り交ぜることも忘れない。
こうしたパターンが一旦出来上がってしまうと、心が乱された時でさえ、あなたの脳内では依存性の高い化学物質が放出され、しかもコンスタントに流れ続ける。
一種のトリックみたいなものだ。


相手が仕掛けたトリックにまんまと引っかかってしまったあなたの脳は、自分の直観を押し殺し、サイコパス人間がもたらしてくれる「感情ハイの状態」を欲しがるように、じわじわと調教されていく。



服従と隷属。
ささやかな報酬として与えられるのが、この「感情ハイの状態」、というわけだ。

【参考資料】
モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない
マリー=フランス イルゴイエンヌ
紀伊國屋書店
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第三章 巧妙に支配下におく

 モラル・ハラスメントが特に夫婦の間で行われる場合、第1章でも述べたように、それは相手を惹きつけて支配下におき、それから精神的な暴力をふるっていくという経過をたどる。

この最初の<相手を惹きつけて支配下におくという段階>は数年間続くこともある(精神分析医のP=C・ラカミエは、<相手から物を考える力を奪う>という意味で、これを<愚鈍化>と呼んでいる。)

これはいわば精神的な暴力をふるうための準備段階で、この間に加害者は被害者を精神的に不安定にさせ、徐々に自信を失わせていく。

相手を惹きつけ、自由を奪いながら影響を与えていき、支配下におく。モラル・ハラスメントはこうして始まっていくのである。」(p.159)


サイコパス人間と付き合い始めた頃のこと、ちょっと思い出してみて欲しい。
ここにも、あそこにも、あなたが「あえて目をつぶった・無かったことにした」危険信号がチカチカと点滅してはいなかっただろうか。
完全無欠の「いい人」「いい子」イメージとは今ひとつ相容れない、「何か」に引っ掛かりを感じたこと、無かっただろうか?


...そうだ、確かにあの人、「元彼/元カノが今でも『やり直そう』って、未練がましく言ってくる」と、やたら自慢していたっけ。


...「後で電話するから」と言っておきながら、見事「忘れて」しまい、予定よりも何時間も後になってかけてくる、ということ。あった、あった。


...いつの頃からか、デートの費用を割り勘にすることもしなくなり、当たり前のようにこっちが二人分の勘定をまとめて払っていたっけ。


...「俺/私に実は気があるらしい」と、あの人が言っている女性/男性の知人。堂々と開き直り、遊びに行くんだ〜と、私の前で一緒に計画立てたりしていなかったけ?


こうした相手の仕打ちに対し、一体あなたはどういった反応に出ていただろう?
...そうだ。何もかも無視し、脇に押しのけてしまった。
相手に嫌なことをされた時ですら、瞬く間に許し、水に流してしまっていた。


それも、全てはあなたが「他とは違う」女/男になろう、と強く心に決めていたがためだ。
...何があっても、あの人をいつもハッピーな気持ちにしてあげて、全て受け止めてあげる。
自分はそういうパートナーになるんだ、と、固く決心していた、あなた。


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これで、あなたの仕込みは全て整った。


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