2018年4月18日水曜日

皮肉【前編】

かくしてあなたと奴との関係は遂に行き着くべきところへと行き着いた。


グランド・フィナーレを迎えた今、僕からあなたに伝えたいことがある。


あなたは「こいつは手強い」というお墨付きをサイコパスから授与されていたんだよ。
奴の中では最高ランクに位置するようなほめ言葉を贈られていた、ってこと。
まぁ、今すぐには呑み込めないだろうけどね。


要するに、奴はあなたと付き合ってみたことはみたが、「参った、こいつにはかなわない」と程なくして気付いたのさ。
信じられないだろうけど。
今のあなたの気分はどん底状態だからね。
ここまで自分がみじめに思えたのって、多分生まれて初めての経験じゃないかな。


奴は、狙い通りにあなたを絶望へと追いやることができてホッとしているはずだ。
あなたにとってはまさに踏んだり蹴ったりで、いいことなど一つも無いように思えるだろうが。


これから、サイコパスとのグランド・フィナーレを4種類のパターンに分けて説明していこう。
いずれのパターンにも、サイコパスな奴からあなたへのほめ言葉「こいつは手強い」が共通して含まれている点に注目して欲しい。


1.別の相手に乗り換えた

サイコパスは、あなたを切り捨てて新しいターゲットへ乗り換えた方が得策だ、と判断した。
これ、どういう意味だろう?


とにかく、あいつらはあふれんばかりの賞賛が欲しくて欲しくてたまらないんだ。
となると、より多く、より易々とほめ言葉をもらえるのが出会って間もない新犠牲者であろうことは火を見るよりも明らかだ。元からいる彼氏・彼女とは比べるまでもない。
あなた一人がいくら頑張ったところでどうにもならなかったんだよ。奴の賞賛への飢えを満たすのに、あなただけではあまりにも力不足だった。
そんな事実も、ここからは読み取れる。


あなたはポイ捨てされて別のターゲットに乗り換えられてしまった。
言ってみれば、「使い勝手の面で新しく登場した奴に劣る」との正式認定を受けた、ということだ。
何せ、あなたと来たら、奴の言うことにはなかなか首を縦に振らないし、自由に操れないし、簡単には音を上げないし...で、「使いづらい」ったらありゃしないからね。
その点、今度の被害者はあなたと違って実に使いやすいし、いじりやすい。
奴には奴なりの理屈があって、あなたを捨てるとの結論に達したのだ。


あいつ、別れた後も、これ見よがしに新しい相手との仲を見せつけて来ただろう?
あなたの自尊心をじわじわと蝕んで、弱らせたかったからだよ。
「私、今度の彼女/彼氏よりも下なんだ...」って信じ込ませようとしたんだ。
だから捨てて間もないあなたの面前で、わざわざイチャイチャするんだよ。
これは単なる幸せアピールとは別物だ。


人は、本当に幸せな時にはわざわざ他人に向けてのアピールなんてしないものだ。
もしいたとすれば、きっとその人は不幸だろう。
外見はどうあれ、不毛な毎日を過ごしているに違いない。


そう考えると、サイコパスがあなたを三角関係に巻き込み、新しい彼氏/彼女との写真をアップしては見せびらかす、という時点で、奴が幸せとは程遠いところにいるのは明らかだよね。


あなたの凋落ぶりを周囲に広めるため、自ら嘘の話をでっち上げたくせに、いつの間にかその嘘を本当のことのように信じてしまう。
まったく、どうしようもないよ。
どうにかしてあなたを貶めたい、打ちのめしたい、とばかりに、その後も執拗な嫌がらせ作戦に出て来るかもしれない。


だが、あなたを貶めようとする執念がいつまでも治まらない、ってこと自体が、実は奴があなたを「こいつは手強い」と見ていた何よりの証拠ではなかろうか。





2. 嘘つきがバレた

あなたもこんな風に言われたこと、あるかな。
「やれやれ、何でもかんでも深読みし過ぎなんだよ、君は!」


そもそも深読みの原因を作ったのは100%サイコパスな奴の落ち度だというのに。
言われた側としてはたまったもんじゃないよね。
浮気、嘘、三角関係...。
深読みは、常にあいつの妙な言動がきっかけとなって起こっていた。


上に挙げたフレーズから読み取れるのは、あなたの言ったことが図星だった、真実を衝いていた、ということ。
だからサイコパスはこの手のセリフをよく口にするのさ。
「あ、間違っているのは自分の方だったか」とあなたの考えを改めさせるためにね。


嘘をついたのはもちろんサイコパス自身に他ならない。
その嘘を指摘したあなたが逆に罰せられるなんて、理不尽もいい加減にしろ!なんだけど。


でも、この会話からもやはり上と同じ結論が浮かび上がってくる。


サイコパスは、あなたのことを「こいつは手強い」と高く評価していたんだ。


奴は、あなたの健全な判断力と直感力とをなるべく早い段階で潰しておきたかった。
だからこそ「君のそういうところが実にけしからん」と、あなたをとがめるような口ぶりで反撃に出たのだ。
このまま放っておけばまずいことになる、とわかっていたからこそ、「あまりよろしくない性質だ」と洗脳してあなたを悪者扱い。
「いいか、もう二度とそれを使うなよ」と釘まで刺してね。


「何でもかんでも深読みし過ぎる」と、サイコパスに非難されたことのある人。
ちょっとは自慢していいんじゃないかな。


それ、素人探偵としては相当いい線行ってる、能力あるよ、って意味だから。



3 件のコメント:

  1. 今、このサイトに出会えなければ、私の心は囚われたままちで動けなかったと思います。やっと納得のいく慰め、太鼓判が得られてとても救われる心地です。翻訳と無償公開、本当にありがとうございます!続編も心待ちにしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

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  2. 匿名様。
    コメントありがとうございます。
    これもひとえにこのような形での公開を快く許可してくださった原著者のJackson McKenzie さんのおかげですよ。
    拙い和訳ではありますが、匿名様が辛い現状から回復されるために少しでもお役に立てたのであればとてもうれしく思います。
    今はとにかくご自分の心と身体をいたわりながら、ゆっくり養生なさってくださいね。

    既にお気付きでしょうが、Psychopath Freeの原書にはもう少し続きがあるのですよ。
    本の終盤は心理学や精神医学寄りの話題が中心となっています。
    ただ、そうした話題をこちらで日本の読者のみなさまにご紹介すべきなのかどうか...。
    実はずっと迷っております。
    心の問題に関して、専門家でもない我々(JacksonさんはIT技術者だそうです)が情報提供し過ぎるのもどうなんだろう...って。
    そういった専門用語の説明に関しては、正式な資格を持った心理や精神医学のプロに委ねた方がよいのではないだろうか...とのためらっていたところ、早いものでもう1年以上も経ってしまいました。

    励ましのお言葉、ありがとうございます。
    続き部分の和訳についても前向きに検討していきます。気長に見守ってやってくださいませ。

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    1. 「とのためらっていたところ」
      ...すみません。「とためらっていたところ」 の誤りです。(「の」が余計ですね)

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