2018年12月7日金曜日

知り過ぎたがゆえの闇

知り過ぎたがゆえの闇

サイコパス被害を乗り越えた「サバイバー」の中には
「どんな人にも、少しは良いところがあるはず」
との「性善説」をひたすら信じてきた、と語る人が少なくない。


「無知という名の至福」にやさしく包まれ、まどろみのような心地良い日々を送っていた、かつてのサバイバーたち。
だが、彼らはある日突然、暗くて冷たい奈落の底へと突き落とされた。
サイコパスの登場により、平和な世界は消え去った。


その後あなたは「サイコパス」、そして人間全体の性質について一から学び直すことを余儀なくされる。


とはいえ、この手の話題って、一つ知ったらまた一つ、といった具合にどんどん追究したくなるよね。
あなたも知らず知らずのうちに以前とは比べ物にならないほどに深く、幅広く、人間というものを理解できるようになっていたんじゃないかな。


では、サイコパスはどんな理由で、どんなトリックを用いてあなたをターゲットと定め、そしてまんまと釣り上げることに成功したのだろうか。
もう今ならわかるよね。
・・・弱点をいち早く嗅ぎつけて、そこを狙い撃ち。
「愛情爆弾」で攻めて、一挙に陥落させる。
化学物質依存症にさせて、骨抜き状態にする。
汚い手口の背後に隠した奴の真意だって、今のあなたならば瞬時のうちに見透かせると思うよ。




(Twitterで本ブログを紹介してくださっている「夕下(ゆうした)」さん。いつもありがとうございます。
まだご存知でない読者の方がいらっしゃいましたら、夕下さんのスタイリッシュでキレの良いツイート、ぜひお読みになってみてください。現在進行形で辛い時期を潜り抜けている方、過去を振り返って気持ちの整理をしたい方...とにかくみなさまにお勧めです。力付けられると思いますよ。)

ところが、ここで困った事態が発生する。
奴と関わることではからずも真の邪悪さに触れてしまったあなたが、あたかも闇世界へと入り込み、そこの住人となってしまったかのように思い込んだのだ。
悪に近付き過ぎたがゆえの、一種の副作用なのだろう。


「所詮人間なんてちょろいもの。ちょっとおだてていい気分にさせればいいんだ。それだけで面白いように動くから。」


まさか自分の口からこんなせりふが飛び出すなんて。
これほどにまで自分の心はどす黒く、悪に染められてしまったのだろうか。
そう気付き、あなたはしばし言葉を失う。


心の闇はどこまでも続いていく。終わりは見えない。
どんな物言いをすれば人の心にグサリととどめを刺せるのか。
自らの命を絶つ域にまで追い詰めることができるのか。
そんな物騒なことまで考えるようになってしまったとは。
なんてことだろう。
こんな話題、知らずに済ませられるものならば永遠に知りたくなかった。
一体自分はこの先どこまで堕ちていくのだろう...。


だけど、ここは焦らずに行こう。極論に走らずにね。
大体、あなたはそうした邪悪なたくらみを本気で実行へと移せるだろうか?
もちろん、できっこないさ。
あなたには無理なんだ。


あなたの中には【良心】がしっかりと生きている。
たとえ道を踏み外しかけたとしても、良心が黙っちゃいないだろうね。
あなたをしっかと捕まえて、人の道から外れないようにと全力でブレーキをかけてくれるはずだよ。
サイコパスとあなたとの一番の違いは、まさにそこなんだ。


「でも、ここまで邪悪な知識を豊富に取り込めるのだから、やはり私もあいつ同様サイコパスだった、と考えた方がよいのでは…。」
まだ納得が行かないようだね。


あのね、そもそもあいつの中には良心のかけらすら無いんだよ。
あなたとは明らかに違う。
出発点からしてまるでかけ離れているのだから、外側に表れる行動にしたって同じものに行き着くはずがない。
第一、あなたとサイコパスとを同類扱いする人なんて、誰一人としていやしないよ。


要するに、僕が言いたいのはこういうことさ。

「世間や人間について今まで知らなかったことを知り、裏の裏まで見てしまったからといって、必ずしもその人が邪悪の側に転ぶとは限らない。」


J.K.ローリング【訳注:「ハリー・ポッター」シリーズで有名なイギリスの女性作家】もこう書いている。

「誰だって自分の中に光と闇とを併せ持っている。 
大事なのはどちらの側から行動を起こすかをしっかりと選ぶこと。 
そこに、その人の真の姿が現れる。」

https://www.azquotes.com/quote/512291

 (こちらの本↓からの引用だそうです。)
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上に挙げた言葉は、あなたが以前のような元気を取り戻し「もう大丈夫!」と言える日が来るまで、心の片隅にでも置いておいて欲しい。


人間ならば誰だって、心の奥底に魔物の一匹や二匹、棲まわせていて当たり前だよ。
むしろそうした魔物が全くいない方がおかしい。
...ただ、その魔物をどのように手懐けるかは、われわれ一人一人の選択に委ねられている。
誰かの性質を知りたいと思うなら、その人が「内なる魔物」をどう扱うかを観察すればいい。
そうすれば、その人本来の姿がくっきりと浮かび上がってくるんじゃないかな。


「サイコパシー(精神病質)」など見たことも聞いたこともない。
かつてはあなたにもそんな穏やかな時期があったはず。
何もかもが順風満帆。平和そのものだった。
あの頃の自分を思い出してごらんよ。
人からほめ言葉をもらった途端に、意地悪な気持ちがふつふつと湧いて来て...などといったこと、果たしてあっただろうか?
誰かに親切にしてあげた直後、「こいつ、ひとつ操ってやるかな」という腹黒い考えが頭をよぎったこと、あっただろうか?
何か善いことをしても「見返り目当てでやっただけ。でなけりゃ、バカバカしくてやってられないよ。」と内心思っていたこと、あっただろうか?


僕の読みが正しければ、答えは全てNO!だろう。


あの、邪悪さの権化との接近遭遇さえ避けられていれば、あなた本来の素直さが損なわれることもなかった。
ひょっとしたら今でも当時と変わらぬ無傷の状態を保てていたかもしれない。
だが、そうはならなかった。奴と出会ったからね。
その後あなたが疑心暗鬼へと変貌してしまったのは、結局あいつのせいなんだ。


しつこくなるからそろそろ止めよう。
とにかく、あなたはサイコパスではない。
しかも、サイコパス化したことなど、ただの一度だって無かったのだ。


深く傷ついたあなたの魂も、いつかは完全に癒される日が来るだろう。それが自然の流れだからね。
しばらくの間はバランスを失い、起き上がれない状態が続くかもしれない。
でも、共感能力、そして感情が以前のような活発な動きを見せるようになった暁には、自分の力で自分を立派に立て直せるようになるはずだ。


あいつと一緒にいることで、知らず知らずのうちに
「ほめ言葉や注目は、相手を潰すための武器として使える」
との歪んだ考え方に毒されてしまったのかもしれないね。


ただ、あなたのような人に関して言えば、他人からの賞賛を浴びたり、注目を集めたりすれば多少舞い上がりはしても、それが引き金となってサイコパスへと豹変する、といった展開は全く想像できない。
ごく普通の健全な人々からほめられたり、注目されたりするチャンスはこれからもちょくちょく巡ってくるだろう。
そうなったら今以上に「ほめられ上手」・「受け取り上手」になりたいものだよね。
すぐにはできないだろうけど、少しずつ変えていくといいよ。


まぁ、あんな奴に操り人形同然にされ、さんざんひどい仕打ちを受けたんだ。
もし誰かに好意を寄せられたとしても、今はとても受け止める余裕が無いかもしれない。
優しい言葉をかけられたとしても「何か裏があるんじゃないだろうか、この人。」と、ついつい相手の意図を勘ぐりたくなるだろう。
それはよくわかる。


でも、本来のあなたに似つかわしい好意、賞賛、注目といったポジティブな類のエネルギーが寄せられた時に、不幸せな過去を盾にしていつまでも拒み続けるのって、あまり得策じゃないと思うよ。
いつかはけりを付けるべきなんだ。
でなけりゃ、前には進めない。


そう。
あなたはサイコパスじゃない。
サイコパスどころか、むしろその対極に位置する人だ。
そもそも「私、サイコパスなんだろうか?」と自分を疑うこと自体、あなたが「サイコパスではない」ことを何よりも雄弁に物語っているんだけどね。
ここまで説得力ある証拠、そうそう無いよ。


なぜかって?
本物のサイコパスだったら、自分自身の性質に疑いの目を向け、悶々とする...なんてことはまず、無いからさ。
絶対にあり得ない。


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