2018年8月2日木曜日

脱洗脳③

~認知的不協和をストップできた私。一体何が効いたのか?~

正直に言うと、【ノーコンタクト】に入ってから6週間ほどの間は、「しんどい」どころの話じゃなかった。
精神が二つに引き裂かれ、片方があっちに、もう片方がこっちに、といった具合に引っ張られる綱引き合戦がひっきりなしに行われていたようなものだったから。


だけど、そこで気を取り直してサイコパス、ナルシシスト(自己愛)、ソシオパスに関する資料を読むことに集中してみた。
そうするうちに、認知的不協和も徐々に減り、ついにはすっかり消えて無くなったんだよね。
多分、私のはらわたの奥深い場所、つまり本能の部分では、がっちりと真実をとらえられていたんだろう。
だからこそ、【違う、私はおかしくない。あいつこそが真のサイコパスだ!】との声がずっと止まなかったのだと思う。


読んだ資料はどれもこれも真実を告げるものばかり。
書かれた言葉の一つ一つが魂の奥底にまで響き、そして深いところにまで沁み込んでいった。
まだ頭の中は混乱していたけれど、その内容に上書きしたり、はたまた上から覆い隠したり、といった小細工はもうやれないな、と思った。

暗闇にパッと灯がともるような、新しい発見の瞬間。
当時の私には、そのような体験(「アハ!体験」とも言えるだろうが)が絶対的に不足していた。
だから、一つでも二つでも多くの灯りを自分でともして、はっきりと物が見えるようにしなければならなかった。


ようやく分かり始めた。
私はあいつに「洗脳」されていたのだ。
認めるのは辛かった。でも、少しずつ現実を直視できるようになってきた。


実は、身体の奥深く、はらわたの辺りから「ストップ!」の声が聞こえたのは、これが最初ではなかった。
記憶のはるか彼方に行ってしまっていたけれど、少しずつ後から思い出してきた。
あれは確か、あいつと付き合い始めて2、3週間経った頃のことじゃなかったかな。


取りあえず、脳から来る雑音は黙らせておく方がいい、と気付いた。
あの厄介な脳内綱引き合戦、つまり認知的不協和が再び始まると、脳味噌もごちゃごちゃと余計なことを横からまくしたてるようになるものだ。
この難局を乗り切りたければ、脳味噌にも少し黙っていてもらわないと。



そこで、私は新しい試みを始めた。
脳内の雑音があまりにも耐え難くなり、「黙れっ!」と一喝したくなったら、すぐさまサイコパス/精神病質者の行動に関する情報・資料を手に取るようにするのだ。
そして、ガンガン読み進めていく。
この新習慣を自分に課した。



本当に癒され、真実をより確実に理解したいと願うなら、まずは脳内にさまざまな疑問が忙しく飛び交っている時間を極力減らさないといけない。
疑問に頭を占領されているようでは、勝ち目はない。
魂の奥深くから「ああ、その通り...」と納得できるような事実...前回触れた「アハ!体験」のような事実...を疑問の代わりにどんどんインプットしていくこと。
当時の私には何としてもこれが必要だった。


だから、私は【ノーコンタクト】が定着するまでの間は、意識してあいつとの接点を避けた。
思い出の場所には行かない。好きな音楽も聴かない。共通の知人たちも遠ざける。
とにかく、徹底的に接点を減らすようにした。
うっかり接触すると、あいつの事で頭の中があっという間に占領されてしまうかもしれないのだ。
そうなったら全てが水の泡となる。



それに、【犠牲者/サバイバー】となり、命からがらサイコパスから逃れてきた実体験を、下手をすると私自身がわざわざ台無しにしてしまう可能性も、全く無いわけではなかった。
今、あいつと関わる人や物と接触すれば、心がぐらつくのは必至だ。
そうなると、自分を言いくるめ、本当の気持ちをごまかし、過去全否定だってやってしまうかもしれない...。まだまだ危なっかしい自分だったから、気を抜くわけにはいかなかった。
とにかく、あいつとは一切の関わり合いを持たないに越したことは無いのだ。


以上のような手順を踏んで、私は【ノーコンタクト】の状態を無事に守り通すことができた。
そして、認知的不協和に煽られ、やたらとうるさく叫び声を上げていた頭の中の厄介者・「疑心暗鬼」も、今では打って変わっておとなしくなった。
以前だったら、倒しても倒してもしぶとく立ち上がり、これでもか、これでもか、としつこく私を挑発してきた疑心暗鬼。最近ではすっかり無口になった。


いい?
ここからは、しっかり読んでね。


確かに、回復というゴールへと向かう旅路は長く、厳しいものとなるに違いない。
時には、頭の中に疑問が生じてどうにも止めようがない、しかも一つ疑問が解決するやいなや、その答えがまた別の疑問を呼び寄せてくる。脳内問答が永遠に終わらない...。
そんなややこしい時期だって一度や二度は体験することになるだろう。


いくら頭の中で状況分析しても、実際は身動き一つすら取れない、なのに脳だけは異常にアクティブに動いているものだから、思わず「うるさい!黙れ!」と自分に怒りをぶつけたくなる。
そうかと思えば、頭でっかちになり過ぎるのもさすがにまずいな、と気付く時もあるだろう。
そして、はらわたから上がってくる声にじっと耳を傾け、その声に従ってみるのもいいかな、と思える時期だって、いつか必ず訪れる。


あなたには次のことだけでも覚えておいて欲しい。


サイコパスがついた嘘を真に受けてしまい、頭の中を疑いばかりで満タンにしていると、回復できそうな心も回復できなくなってしまう。
だって、肝心な「真実」を収容するのに必要な空きスペースが不足した状態で、あなたは一体どうやって嘘を見抜けるというの?
まずは、真実を自分の中にどんどん落とし込んでいかないと。


そうと分かったら、早速汚れた脳味噌のお洗濯を始めよう。
「真実」のシャワーで脳内を洗って、洗って、何度もきれいに洗い直していこうね。


あなたの中にどれだけの真実が収容可能かは、サイコパスから受けた洗脳をどれだけ多く除去できるかどうかで決まってくる。
分かりやすく言うと、こう。

【受け入れた真実の分量が増えれば増えるほど、サイコパスから受けた洗脳が除去されていく。】


だから脳味噌はどんどん真実で洗ってやった方がいいのだ。
脳を洗えば洗うほど、サイコパスがあなたの脳に埋め込んだ高濃度の嘘も少しずつ薄められていき、しまいには跡形もなく消え去っているはずだから。


ある朝、あなたはいつものように目を覚ます。
「あ、もう私は大丈夫。真実がしっかりと脳味噌に浸透したから!」
いつかそんな日は必ずやって来る。
最初にはらわたレベルで受け止めた真実が、ゆっくりと時間をかけてあなたの体内でろ過されて、上昇していき、遂には脳まで辿り着く。
そうなったら、サイコパスの嘘も、真実の力でもって全て駆逐完了となっているはずだよ。
嘘が消滅したことで生じた空きスペースには、真実がしっかりと根を下ろすことだろう。
そして末永くそこに居続けてくれるに違いない。


内なる平和。
とうとうあなたも手に入れた。




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ということで、この章では二人の寄稿者に登場してもらった。
彼女達の文章を読んで、あなたが回復へと向けて旅立つ勇気が湧いて来たなら、僕としても大変うれしい。
数々の有益なアドバイス、ぜひとも参考にして欲しい。


「真実を広めること」。

今、暗闇の真っ只中にいる人にとっては、これこそが最強最上の暗闇脱出法ではなかろうか。
サバイバーにとっての知識は、力としてはたらく。
逆に、サイコパスには、その知識が彼ら自身を傷付ける毒としてはたらく。


だから僕たちサバイバーにとって、情報はいくら多くても多過ぎるということは無いんだ。絶対に。
そうして必要な情報を手に入れ、歯車がきちっとかみ合い、全てが動き始めたら、そこから先はこっちのものさ。
...後はひたすら光に向かって前進あるのみ、だよね。


本書【訳注:英語原書の"Psychopath Free"。下のリンクを参照ください。】の巻末にはさまざまな記事、書籍、動画の情報をまとめておいたので、ぜひそうした資料を大いに活用し、自分の身を守るための知識を仕入れてもらえれば、と思う。
そして、認知的不協和という、われわれにとっての忌々しい敵を、徹底的に叩きのめしてしまおう。



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