2015年4月23日木曜日

感情すらも捏造品【1】

サイコパス人間と付き合っていくうちに、あなたはありとあらゆる種類の感情を潜り抜けていくことになる。
激しい嫉妬心。
愛情飢餓。
憤怒。
不安。
被害妄想。
いずれも、それまでの人生では一度も体験したことがなかったものばかりだ。


そうした感情を抑えきれず、噴出させてしまった後で、あなたはこう思わずにはいられない。
「ああ、あんな風に振る舞わなければよかった。
そうすれば、あの人だって、気分を害さないでいてくれたのに。」


ちょっと待った。


噴出した感情は、あなた自身のものではない。
もう一度言おう。あれは、本来のあなたに備わっていた感情なんかじゃない。
あなたの善良な性質を疑問視せざるを得なくなるように、サイコパス人間が注意深く植え付けてきた「捏造品」の感情だったのだよ。


サイコパス人間の被害者は、往々にして次のような思考パターンに陥りがちだ。
【もし、二人の関係で何か困ったことが起きても、
相手を許し、理解し、問題は自分が一手に引き受けてしまえばいい。
そうすれば、万事うまく行く...。】


このようにして、被害者は、自分自身をますます窮地へと追い詰めて行く。
そのような思考パターンを手放さない限り、被害者は加害者の理不尽きわまりない行動にこじつけを与え、相手の行動を常に良きものとしようとする悪循環からは逃れられない。


例えば、サイコパスに出会う以前のことを思い出して欲しい。
自分が特別に嫉妬深い人間だなんて、別に思っていなかっただろう?
嫉妬深いどころか、逆に、とびっきり気さくで、オープンな心の持ち主だと思っていただろう。そんな自分が結構気に入っていたのではなかろうか。
もちろん、サイコパスはあなたのそういう性質に気付いていた。気付いていたからこそ、利用してやろうと狙いを定めたんだ。


調教期の間は、あなたの性質をちやほやとほめまくっては、何とか自分の手の内に収めてしまおうと画策していた彼ら。
「君(あなた)はどうしてそんなに完璧なんだろう、夢を見ているみたいだよ」なんてセリフを口にしながら。


【そこまで完璧な人なのだから、当然、君と僕はケンカなんてしないよね。】
【激しいいざこざなんて、僕らには無縁だよね。】
【君はいつも心が広くって穏やかだよね。例の、サイテー人間な元カノ(元カレ)とは似ても似つかない程さ...。】


そうこうするうちに、舞台裏では何かが動き始めた。
物事に飽きるスピードにかけては他の追随を許さないのが、サイコパス人間という人種だ。理想化ステージの楽しみが続くのも、あなたが彼らの軍門に降(くだ)るまでの、ほんの一時だけのこと。
目的を達成するや否や、今までほめ言葉の対象となっていた長所の数々がらりと姿を変え、凶器となってあなたに襲い掛かる。


サイコパス人間は、これでもか、これでもか、といった具合に次々にドラマ的要素を投入することで、あなたを訳の分からない状況へと放り込む。
しまいには、「そんな答え方をするとは、一体何様のつもりだ!」と、一方的に罪をなすりつけてくる。

©123RF


嫉妬心は、親密な人間関係にとっては命取りとなり得る。
この事に異議を唱える人は、ほとんどいるまい。
だが、純粋な嫉妬心と、サイコパス人間の手による「捏造された嫉妬心」との間には、雲泥の差がある。
ちょっと誇張した部分もあるが、次の会話を読んでみてほしい。

ケース1: 
彼氏1:あのさ、今度俺の高校の時の友達がこの近くに来るんだって。その子と会ってみる? 
彼女2:絶対にやだ!大体、あなた、どうしてそんな女友達なんかと会わなきゃいけないわけ?   私という存在がありながら。


上のケースの彼女の場合、嫉妬心絡みの問題を抱えていることは明らかだ。これはこれで何らかの対策が必要である。
もし、今までに彼氏から一度も虐待を受けたことが無いのであれば、この女性には過剰反応の傾向が確かに有る、と言っても差し支えないだろう。


ケース2: 
彼氏2:昔、付き合ってた女がこの近くに来るんだ。ほら、あの暴言吐きまくりのひどい奴だよ。 そのくせ、あいつ、未だに俺に未練たらたらと来てるんだけどな。
彼女2:あら...それは大変!
彼氏2:ま、週の後半のどこかで一杯飲みにでも行くか?ってことになるだろうけど。あいつさー、酒が入ると、いつも俺のこと叩いてくるんだよ。 
彼女2:え、何それ...ちょっと、その人のこと、もう少し教えて?
彼氏2:何か引っ掛かる?
彼女2:ううん!何でもない。ちょっと混乱しちゃっただけ。だって、今、彼女が暴言吐きまくりだって言ったから...。  でも、特に何も起こらなければいいよね!別れた後も友人関係でいられるのって、素敵だと思うな。
彼氏2:おいおい、頼むよ〜。君って、時々とんでもなく嫉妬深くなるねー。 
彼女2:あっ、ごめん。別に嫉妬したわけじゃないんだ。ちょっと、話が飲み込めなかっただけで。
彼氏2:そういう風に嫉妬されるとさー、うんざりなんだよな。起こさなくてもいいような無駄ないざこざを生み出してるんだよ。君の方から。
彼女2:ご、ごめんなさい!口に出して言うべきじゃなかったよね。本当にそんなつもりは無かったのに。 
彼氏2:まぁいいさ。許してやるよ。それにしても、君の嫉妬心には困ったもんだ。何とかしないとな。

©123RF

ケース2で、サイコパスな彼氏は3つのことを成し遂げた。


  • まともな人間ならば、どうしたって嫉妬せずにはいられないような状況へとあなたを追い詰めた。
    それも、元・彼女がどれだけサイコパス人間に執心しているかを説明した直後に。
  • あなたのことを「嫉妬深い」と、一方的に悪者扱い。
    落ち着いて、筋の通った返答をしただけなのに。
  • 自分でいさかいの種を蒔いて置きながら、あなたには「許してやろう」と、上から目線の物言い。「立派な警官」の役へとちゃっかりと収まる一方で、【教師ー生徒】というお気に入りの図式へとあなたを嵌(は)めた。

加虐・被虐を軸とした二人の関係。
長引けば長引くほど、あなた自身の判断力も鈍っていく。
【もしかしたら、私、本当にヤバい程に嫉妬心の強い人間なのかも...?】
そう自問自答する回数が増えていく。


0 件のコメント:

コメントを投稿