2015年4月10日金曜日

三角関係という責め苦【2】

ここで困った事が生じてくる。
あなたは相手から高度の興味・関心を注がれることに、すっかり慣れきってしまった。
最初にサイコパス人間からの誘いに乗り、釣られたあなたは、彼らが別の誰かに目移りしたことを知り、人格攻撃を受けたかのように感じ、錯乱状態へと陥る。
サイコパス人間はそれを承知の上でやっている。


あなたと二人で立てた計画を「ど忘れした」と言い、しょっちゅう悪口を言っていたはずの友人達と何日も一緒に過ごしたりするなどは、序の口に過ぎない。
あなたになど目もくれず、さっさと自分の家族の元へ帰っては、そこで過ごす時間がだんだん長くなっていく。
確か、前には「全く、どいつもこいつもひどい奴らばかりでね」と嫌っていたはずの家族なのに。


また、身内に不幸が起こると、真っ先に連絡を取るのは元・交際相手。
「わかってもらえないだろうけど、彼女/彼との友情は『特別』なんだよ」と、あなたに言い訳する彼ら。
たいていの場合...全部が全部、とは言わないが...、その「元カノ」「元カレ」は、以前彼らが「口汚く罵ってくる、ひどい奴」「情緒不安定な危ない女(男)」との烙印を押した相手と同一人物である。



注目が欲しい。共感されたい。慰めてもらいたい。
そんな時に、あなた以外の別の人間を頼っていく、というのはサイコパス人間が非常によく用いる手口である。
人の気持ちに寄り添うことができる上、彼らのパートナーを自認するあなたとしては、「どうしてこの私に頼ってくれないの?私が慰めてあげるのに...」と、当然ながら思うだろう。
以前、彼らを癒やす役目は常にあなたのものだった。
一体、何が変わってしまったのか。

©123RF


「あの頃の僕/私、ボロボロ状態で、壊れちゃってたんだよね。」
それを治し、再び幸せにしてあげたのは他でもない、あなただったはず。
なのに今、彼らはあなたには「理解できない」であろう、「秘密の友人」や、元カノ・元カレの方ばかり向いてしまっている。
しかも、その様子を逐一、あなたの目の前で見せつけずにはいられないと来ている。


そこで話は次の話題へとつながっていく。
ソーシャルメディアを取り上げてみたい。

【参考記事➀: コトバンク 知恵蔵2015の解説 ソーシャルメディア の項より引用。】

ソーシャルメディアオンライン上で、ユーザー同士が情報を交換(送受信)することによって成り立っているメディア。「1対多」「多対多」の双方向で、画像・動画を含む視覚ツールを使ったコミュニケーションが可能なことも特徴とする。一般には、ブログをはじめ、2ちゃんねる、YouTubeなど閲覧者を制限しないオープンなサービスと、mixi(ミクシィ)、GREE(グリー)、モバゲーに代表される会員制・招待制のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に分けられる。最近は、上限140字の「つぶやき」をチャット感覚で投稿し、フォロワーとのゆるやかなコミュニケーションをはかるTwitter(ツイッター)が人気を集めている。


【訳者注:上の説明には含まれていませんが、本文中で触れられているソーシャルメディアのほとんどが文中の表現から推測してFacebookのことを指していると考えてよいかと思います。例外はありますが、実名公開が原則となっている点が、他のソーシャルメディアとの最大の違いです。】

参考記事➁:nanapi / 2014年最新版・Facebook(フェイスブック)とは?Facebookの基礎知識 】

テクノロジーの進歩により、サイコパス人間は実にたやすく三角関係を利用して他人を操れるようになった。
昔の交際相手からのコメントに「いいね!」ボタンを押しておきながら、あなたからのコメントは黙殺。
こんな簡単なことでも、人心操作への第一歩となる。


「つい、うっかりと」写真アルバムをアップロードしてみたり、といったことも起こる。その中に、「大っ嫌い」と明言していたはずの元・交際相手との抱擁写真が含まれているというのに。
とにかく、何もかもが「たまたま」「他意は無かった」ということで片付けられる。
...あなたとしては、無神経の極みとしか思えないようなことばかりなのだが...。


いいかい。ここで騙されちゃだめだ。
あいつらのやる事は、何もかもが、計算し尽くされた行動なのだ。



彼らは、わざと「交際ステータス」をあいまいな表現のままにしておく。
あなたが徐々に「過去の人」となりつつある、と匂わせるような歌や動画を投稿していく。
新しいターゲット・昔のターゲットの両方が釣れそうなネタを狙ってシェアし、公開する。
次の被害者として選ばれた人物と、サイコパス本人にしか通じないような、内輪受けのジョーク。
もしくは、昔、元カノ/元カレと一緒に楽しんだ、思い出のラブソングのビデオクリップ。
そのような類のものばかり、意図的に投入してくるのだ。

©123RF

こうした彼らの行動には二つ目的がある。
まず、あなたを混乱と、不安と、嫉妬の渦へと落としこむこと。
これが一つ。
もう一つは、サイコパス人間を巡ってあなたとライバル関係にある人々の方に自信を与え、愛情と特別待遇を得ているかのように感じさせること。
そう、彼らは「パートナー」であるあなたの心身をむしばむと同時に、ライバル調教のプロセスにも取り掛かっている。
まったく、「一石二鳥」とはうまく言ったものだ。



サイコパス人間は、この件に関してあなたの方から直接問い正してくれることを待ち望んでいる。
一見、どれもこれも、実に些細で取るに足らない問題ばかり。
些細なだけに、非難するあなたの異常さや嫉妬深さが一層際立ってくるのだ。
何を言われようが、言い訳はよどみなく、沈着冷静な様子を崩さない。
最後には「悪いのはそっちだ」と、あなたのことを逆に責めてくる。
これで、彼らの狙った通りの展開となった。



隠れ虐待行為の立証が不可能とされるのは、「全てを曖昧に」という、虐待者側の意図が巧妙にはたらいているせいである。
例えば、あなたの交際相手がある曲の動画をソーシャルメディア上に投稿したとする。
だからといって、その動画が元カノ/元カレを釣るための餌である、と証明することはできない。
あなたには、直観的にそうだと分かったとしても。



この狂おしいプロセスも、そろそろ終盤戦を迎えようとしている。
ぶっちゃけた話、Facebookの交際ステータス欄やコメントの「いいね!」にいちいち目くじら立てるなんて、幼稚な人間のやることに決まっている。
そう思われるのも、仕方ないだろう?


そう。
幼稚な人間。


これこそが、彼らがあなたに信じこませようとしている【自己像】である。




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