2015年4月12日日曜日

三角関係という責め苦【3】

サイコパス人間は、自分の周囲を「与える人(givers)」...つまり、人の世話をすることに自らの存在価値を見出すような、自信のない人...でガッチリと固める、という得意技も持っている。
だから、交際中のあなたが相手にどれほど尽くそうと、大してありがたがられないばかりか、「代わりなんて、他にもいるよ」といった態度が返ってくるのだ。


彼らは、あなたと異なるタイプの人々を賞賛するようになる。
あなたとは似ても似つかぬ、全く逆の性質を持つ人をほめ称えることだってあるだろう。

いずれの場合も、そうした言動から伝わってくるのは、

【あなたは、もう特別な存在でなくなってしまった】
【あなたは、所詮置き換え可能な存在に過ぎない】

という、実に露骨なメッセージに他ならない。


彼らが当然受けてしかるべき賞賛を、あなたが十分に与えなかった、としよう。
心配要らない。サイコパス人間は、常に他の供給ルートを確保しているから。


また、あなたからポジティブなエネルギーをもらえなかった場合でも、全く問題は無いはずだ。
いずれ、あなたに飽きが来る日は必ずやって来る。
そう。
彼らは、あなたのことなど、必要としていない。
今だって、彼らの周りに群がる取り巻き連中にもてはやされて、散々甘やかされているし、これからもずっとその状態に変わりは無いだろう。


そんな彼らの姿を見せつけられると、あなたも「この人、やっぱり素晴らしい人に違いない。」とつい、信じてしまいそうな誘惑に駆られるかもしれない。
だが、よく周りを見回してみるがいい。
サイコパス本人、そしてその取り巻き連中。
何とも言い難い、みじめったらしい雰囲気を漂わせていることに気が付くはずだ。


さて、三角関係も最終局面を迎えた。
サイコパス人間は、とうとうあなたを切り捨てる決断を下した。
この時点から、彼らは堰を切ったようにあなたに向かって不平不満をぶつけてくる。
「もうこんな関係にはうんざりだ」
「付き合っていても楽しくない」
「君の行動にはもうついて行けない」といった具合に。


そこで新たな人物が話の中に登場してくる。
大抵の場合、それは「親しい友人」。
サイコパス人間は、あなたとの間に起こっている問題を、あること無いこと事細かにぶちまけておいて、「その彼女/彼氏との関係、あまり健全じゃないと思う。」と、例の「友人」からも同意を取り付けた、という結論部分だけあなたに伝える。


相手が陰でそのような工作活動をしているなどと夢にも思わないあなたは、相手宛へのメッセージを必死に送り続けるものの、平然と無視され続ける。
「問題があるのなら、どうして直接私に話さないのだろう...だって、これは、私たち二人の問題じゃないの?」
返答を待ちながら、わけがわからず、途方に暮れるあなた。


©123RF


「どうして?」への答え、僕が教えよう。
要するに、あなたの交際相手は、あなたのことを切り捨てる決断を既に下してしまった、ということだ。
...今となっては、あなたを苦しめることしか考えていない。

【参考資料】 
「(...)モラル・ハラスメント的なコミュニケーションにおいては、加害者は言葉を奪うことによって、被害者が考え、理解し、行動することができないようにする。会話を拒否することによって、加害者は目に見えない対立を深刻化させ、それどころか、現実に起こったことの責任を全て相手に押しつけることすらできるのである。


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(中略)


対話を拒否するというのは、言葉にはよらない形で、『あなたには興味がない』と伝えているということだ。あるいは、『あなたなどは存在しない』と...。」(pp.168-169)




そもそも、サイコパス人間が助言を求めに行くのは、彼らの言うことに逆らわないイエスマンのところだけ、と決まっている。
彼らの話に登場した「友人」も、おそらくはあなたの次のターゲットと目された人物である可能性が高い。


あなたとの関係が壊れた後、新しいパートナーを得て幸せいっぱいの姿を恥ずかしげもなく公の場で披露する、サイコパス人間。
恋愛・結婚関係が壊れた後、あまり日を置かずに次の関係へと移って行くような時、普通の人ならばどこかばつの悪い思いを感じずにはいられないものだし、大っぴらに宣伝する気にもなれないものだ。
どうも彼らにはそうした感情が欠落しているらしい。


だが、驚くのはまだ早い。
何と、彼らは、あなたから「良かったね」「おめでとう」と言ってもらって当たり前、と思っているのだ。
もし、あなたがそう言いたくないのであれば、あなたは「恨みがましい、妬み屋」で決定、となる。


この期間に、サイコパス人間は「廃棄処分後の人物査定(post-dump assessment)」を行う。
もし、あなたが彼らの前にひれ伏し、這いつくばって許しを乞うことになれば、「まだ利用価値あり」との認定を受ける。あなたが懇願するさまを見て、嫌悪感と歓喜との入り混じった感情を同時に味わうのである。


逆に、あなたが反撃に転じ、彼らがこれまでについてきた嘘八百を暴露する、という動きに出たらどうなるだろう。
おそらく、力の限りを尽くしてあなたを苦しめ、自らの命を絶つところまで追い詰めてくるに違いない。
仮に、あなたが後から謝罪したとしても、サイコパス人間は一度自分に歯向かったターゲットは永遠に憎悪し続ける。
あなたは、見てはいけないものを見過ぎてしまった。...仮面の下に隠された、略奪者の素顔を。

©123RF


だから彼らは、写真投稿や、「今、幸せだー!」といった声をネット上に載せることで、新パートナーの姿を嫌というほど、あなたの視界内にねじ込んでくる。
もちろん、わざとやっているに決まっているさ。
どれほど今の自分が幸せで、完全無欠な毎日を送っているかを、これでもか、これでもか、とあなたに見せつけてやりたいだけなんだ。



三角関係を使ってあなたを狂わせていくという、この作戦。
「新ターゲットの、あの女(男)のせいだ!」と、あなたに思い込ませることが、あいつらの目的だ。
最後の一撃が、今あなたに襲いかかろうとしている。


真の加虐者は、新ターゲットの陰にその身を隠しているというのに。



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