2017年10月23日月曜日

退屈



イヤな出来事の後、一人になって充電したり、考え事をしたりする。
誰だってそういう時間が必要だ。人間とはそういうものだ。
ものづくり。文章執筆。料理。
空想の世界に遊ぶ。瞑想する。絵を描く。将来の見通しを立てる...。
さもなければ、ちょっと昼寝をする、とか。
これだって、疲れた自分への立派なごほうびだ。


何を言いたいのかって?
つまり、こういうこと。

「内向型人間だろうと、外向型人間だろうと、時々は立ち止まって静かなひとときを持たねばならない。
これは全人類に当てはまる真理だと思う。」


...これ、残念ながらサイコパス人間には当てはまらない。
あの連中にとって、「一人で過ごす時間」ほど心がざわつくものってほとんど無いんだ。
他の誰かと一緒にいさえすれば、クールで落ち着いた顔を保っていられるのだけどね。
何せ、こいつらは良心というものを持ち合わせていない。
ひとりぼっちになると、ろくなことしか考えないんだよ。
賞賛と注目というエサの供給がストップすると、奴らの頭の中はたちまち「退屈だ~」の不満でいっぱいになる。


常に退屈している、サイコパス人間。
身につきまとう「退屈」をどうにかこうにか振り払いたくって、何かしら外に刺激を求めずにはいられないのだ。
長時間一人になるのは耐えられない。


健全な人間は、年を取るにつれて静けさと内省の素晴らしさがわかるようになる。
一人静かに過ごすひとときを持ってはじめて、人は自分についての大切な真実を見出せるものだ。


ところが、ここでもサイコパス人間の反応は異なる。


何せ、あいつらと来たら、どんなに自分の中を見つめたところで何一つ見つからない...要は中身がスカスカ...という類の人間だからね。
暇さえあれば周りをキョロキョロ。誰かいい人がいれば物真似スタート。
「あ、これ、欲しい」という特性は即座にコピー、自分にペースト。
それが奴らの十八番だ。


「想像力」と「創造力」。
人間に与えられた才能の中でも最も素晴らしい部類に属するこの二つだけれど、いずれも「共感力」というベースがあって初めて花開くもの。
サイコパス人間にはその共感力すら存在しない。
だから、何をやってもせいぜい猿真似レベル。そうなるのも当たり前だよね。


僕は以前、ソシオパスを自認する人々が集う掲示板やオンライングループを覗いたことがある。

【参考記事:「ソシオパスとつきあっているかもしれない11の兆候」
http://www.huffingtonpost.jp/entry/11_signs_dating_a_sociopath_n_3841308.html 】


どこの場所でも決まって大いに盛り上がっていた話題があった。


「毎日が死ぬほど退屈なんだけど、どうしたらいい?」



いかにもあの手の連中らしい悩みだな、と思ったよ。



おススメされていた「退屈への処方箋」の内容は、まぁ、僕が予想した通りだった。
セックス、アルコール、ドラッグ。
そして...他人を操ること。


他人と自分との間に結ぶ、人間関係。


Copyright:endomedion / 123RF Stock Photo

人間関係ほど頼りになり、効果抜群の退屈撃退法を見つけるのは至難の業だ。
一度誰かを引っ掛け、後はその人をいじるだけ。
これほど楽な退屈解決法はそうそうあるまい。
しかも、いつでもオンデマンドでほめ言葉を引き出し、注目を集め、賞賛の眼差しを浴びることまで可能、という特典付きだ。


ターゲットを固定し、スタンバイOK!の状態で常駐させられればもうしめたもの。
後は誰にも邪魔されず、サイコパス人間の気が済むところまでとことんターゲットをおとしめ、傷めつけていくだけだ。
「恋している人」の役を演技するよりも、はるかに面白い展開となることだけは間違いない。


迷路にはまった哀れな小ネズミのように、あたふたと右に左に駆けずり回るあなた。
死ぬほど退屈だった毎日にうんざりしていた奴らにとって、こうした光景は最高に愉快な見世物だ。
少し前にあなたがくぐり抜けた【理想化】の段階も、結局、奴らの退屈が産み出した副産物に過ぎなかったわけだ。


【参考過去記事: 作りものだった「ソウルメイト」: 理想化【1】
http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/02/1.html 】

...できるだけ長い間あなたを傷め続けて楽しい思いをするためには、じっくりとあなたを磨き上げて、調教する手間暇がどうしても必要だったんだね。



あいつらと付き合っていた頃、「疲れたな...」と感じたことが多くなかっただろうか。
いわゆる「ハネムーン期」の濃密さが一段落するやいなや、あなたと彼/彼女が二人っきりでいる機会は激減したはずだ。


なぜかいつも周りに誰かいる。
相手の都合や、相手の友達の都合に合わせて、誰かを交えて一緒に動く。
で、さんざん振り回された後にも、また別の予定が待ち構えている。


一見すると、サイコパス人間の行動パターンは無邪気に遊ぶ子供のそれに似ていなくもない。子供にふさわしく、取り巻きの中にはママタイプ、パパタイプを数名は常備。
取り巻きの熱烈なサポーターぶりだって相当なものだ。
「お呼びとあらばいつでも参上」とすら言いかねないような忠実な人が彼らの周りを固めている。


奴らはどうしてもそうした取り巻き連中の力を借りずにはいられないんだね。
極力、退屈な時間は過ごしたくないから。
退屈したくない、となれば、いじりの対象となるターゲットが多ければ多いほど愉快、ってことになる。
「彼氏・彼女」の関係へと昇格する前には、取り巻き連中に対してあなたの陰口も言っていたかもしれないよ。


ところが、一旦あなたをロックオンして「彼氏・彼女」としてしまうと、話がちょっと複雑化してくるんだ。
あなたとの付き合いを優先するか。
それとも他の人々(スタンバイ状態に置く必要がある)との付き合いを優先するか。
サイコパス人間は、この二つの問題の狭間を行き来せねばならない。


その日その日で選ぶコースがどちらにしても、これだけは確実に言える。
「サイコパス人間が一人ぼっちでいるなんてことは、めったに無い」。


あなたの神経を逆なでし、心を傷つけた時、一体どういう反応に出るか。
それをLIVEで見ている方が、黙って一人自室にこもって一時間過ごすよりははるかに楽しい。
あいつらはそういう連中さ。


「退屈」は、あなたと相手の関係が破たんする時、最悪の形を取って現れる。
どうやら、サイコパス人間はあなたへの興味を突如として失ってしまったらしい。
あなたが何をしようと何を言おうと、相手は無反応。全く興味無し、といった様子だ。


どうにかしてもう一度振り向いて、私のことを見て、と必死に追いすがるあなた。
だが、相手がかつて絶賛していた自分の性質が、今となっては「最高に鼻もちならない」欠点として映るらしい、と知る。
あんなに私のことを熱烈に見ていてくれたあの人が、今は振り向いてもくれない。...「つまらない人生から僕を救ってくれるのは、君だけさ」ってささやいてくれた、あの人が。



相手からの冷酷極まりない仕打ちを受けながらもなお、あなたはけなげに信じ続ける。
「ひょっとしたら、今ならまだ【退屈解消役(Boredom Relief)1号】の座に返り咲けるかもしれない...」と。
それはごく当たり前の反応だと思うよ。
あの、バラ色の【理想化】段階はもう戻らないと気付いてしまったけれど、せめて「慰みものコレクション」の一つとしてでもいいから傍に置いてもらいたい。
必死ですがりつきたくなる気持ちもわかるよ。


そう。


われわれが求めるスタンダードは、そこまで情けないレベルにまで歪められ、堕ちてしまったのだ。


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