2018年6月14日木曜日

喪失の段階――パートⅠ ⑤飲酒

飲酒

どうかアルコールとはきっぱりと縁を切ってもらいたい。


回復し始めた最初の数か月間は、つい、酒の力を借りたくなることもあるだろう。苦しみから逃れたいのであれば、とりあえず一杯ひっかける、というのが一番簡単だからね。
で、いつしか一晩でワイン一本を空にする、なんてことが「ごく当たり前」となり、感覚がどんどん麻痺していく。


...酒量が増えているのを見て心配してくれる人もいる。
だが、あなたはそうした人々にもまともな返答を避ける。言い訳ばかり並べたり、軽い冗談でごまかしたりする。


あのさ、その手の冗談って、悪いけど全然おかしくないんだよね。




いいかい。あなたは自分で自分をメチャクチャにしようとしているんだ。精神も、身体も。
本気で健康を取り戻したいのであれば、徹底的に断酒しなきゃいけない。
素面(しらふ)な、歪みの無い本来の自分を保ち続ける必要があるんだよ。


アルコールの力を借りて愚痴ろうが、酔っ払ってのダラダラ独白大会をしようが、意味の無いどんちゃん騒ぎに混じろうが、いくら気を紛らわしたところで虚しさは無くならないよ。
そんなことをしたって、心の穏やかさが戻るわけなどない。
逆に、それだけ治癒のプロセスが滞って回復が遅れるだけだよ。
百害あって一利無し、だ。


酒宴から一夜明け、目覚めたあなたの前に立ちはだかるのは、前日、酒を飲む前に放り出した時から何一つ変わっていない、山のような仕事だ。
前夜と比べて仕事の総量が減ったなどということはまず無いし、内容が前よりもやさしくなった、なんてことも、やはりあるわけが無いのだ。


...どのみち自分の力で片付けなきゃいけない仕事なんだろう?
だったら、わざわざ二日酔いで重くなった身体を引きずり、酒の勢いでさらした恥を思い出し、顔を赤らめつつ渋々やることはないよ。
すっきりと軽やかな身体で、まっさらな気持ちで取り組んだ方が、苦痛がより少なくて済むんじゃないかな。


僕としては、時々一杯やるのさえ金輪際一切禁止、とまで言うつもりは無い。
ただ、今あなたが潜り抜けている状況は、ちょっと特別だからね。
その辺にいるような普通の人々の飲酒問題と一緒くたにして語るわけにはいかないんだよ。


数か月の間、酒とは完全に縁を切るんだ。
酒に手を出さずに過ごせた日はカレンダーにチェックマークを入れる、といった方法でやる気がアップする人もいるかもしれないね。
とにかく、酒を断つことだ。
これだけで、治癒のプロセスが前よりもぐっと加速度的に進むはずだから。
自分でもびっくりすると思うよ。


あなたにとっての心とは、回復への旅を続けていく上では何よりも価値ある道具なんだ。
くれぐれも大切に扱わなきゃね。
自分自身に対しても、優しく、親切な態度でもって接するようにしてもらえれば、と思う。



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