前項で僕が書いたような心の動き。
http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2018/06/part-1.html
これ、一般には「認知的不協和」という名称で知られている現象なんだ。
【※こちらの過去記事「臨時ターゲット【1】」もご参照ください。以下、引用。】
「サイコパス人間のターゲットとなった人が陥りやすい精神状態がある。それが、
【認知的不協和(cognitive dissonance)】
だ。
参考記事 「認知的不協和の意味と例」より
「人は自分の信念や、それまでの行動内容とは矛盾する、"新しい事実"を突きつけられると、"不快な感情"を引き起こします。
その結果、自分の信念や行動と、"新しい事実"のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。これを認知的不協和と呼びます。
そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は"新しい事実"の方を否定しようとします。」
論理的思考力と論理的な討論 議論 ディベート ディスカッション のHP(http://ronri2.web.fc2.com/index.html)より引用させていただきました。
自分の中ではちゃんと筋が通っていると思われるような、理屈。
僕たちはそうした理屈を目の前にいる特定の相手へと投影するわけだが、ところがおおよそまともな理屈など通じない、理不尽だらけの奴が相手だと、後に残るのは『何かがおかしい』といったモヤモヤ感だけだ。」
頭の中で、互いに矛盾したことを言う心の声と声とがぶつかり合う。
そうした時の心の状態が「認知的不協和」と呼ばれている。
サイコパス的人物と関わりを持った人が、このような心理状態に陥ってしまうのは至極当然のことだ。
あいつにさんざん調教されたせいで、あなたはすっかり「指示待ち人間」と化してしまった。
両目をしっかりと見開いて物を見、自分の心でもって何かを感じる、といった、ごく当たり前のことができないようになってしまった。
「愛」だの「献身」だのといった調子良い言葉ばかり乱発し、あなたとの関係についてべらべらしゃべりまくっていたサイコパス。
だけど、奴のしゃべりをずっと聞かされていたあなたは、相手から愛され、尽くされていると実感できたことなんて、ただの一度も無かったはずだ。
胸の奥でずっと大切にあたためていた将来の夢や計画を、あいつに打ち明けた日のこと。まるで昨日のことのようにくっきりと思い出せる。
そのどれもが「夢物語」の域を一歩も出ずに終わってしまったことは、もはや言うまでもないよね。
さて、あなたは今、何を信じたらよいのだろうか。
あいつの行動か?
それとも、あいつの言葉か?
あいつと付き合っていた頃のあなたは、奴の言葉にさんざん振り回されていたよね。それもかなりの長期にわたって。
最初の頃は、あいつから放たれた言葉の一つ一つを愛おしみ、うやうやしく押しいただいていた。
やがて、放たれた単語一つ一つの背後に、何らかの隠された意味が無いだろうか、と、やたらと深読みする癖がついた。
しまいには「あの人の言うことなんて、もう何も信じられない」。
こんな結末を迎えることになるなんて、一体誰が予想できただろうか。
「何かがおかしい」
あなただって、途中からはうすうす勘付いていただろう?
にもかかわらず、心のどこかで「この人こそ、私の『ソウルメイト』に違いない」(結局、口から出まかせの、偽ソウルメイトでしかなかったのだが。)との信念をどうしても捨てられず、せっかく生じた直感を殺してしまった。
そして今。
ようやくあなたは、奴という人物にまつわるありとあらゆる幻像を、自分の中から一掃していくぞ、との段階にまで到達した。
あいつの頭の中がどうなっているのか、今はまだしっかりとは把握できない。
でも、とにかくあいつに関しては「何かがおかしかった」。
そのことだけは確かだ。
そうなると、あなたの内面にも激しいせめぎ合いが生じてくる。
愛と情熱の日々を夢見たあの頃のあなたには、この辺りでどうしても冷や水を浴びせてやらねばならない。目を覚まし、事の成り行きを冷静な眼でもって見るべき時が訪れたのだ。いつまでも夢ばかり見てはいられない。
とかく極端から極端へと走りがちなのが、この時期のあなたである。
「あんなヤツ、付き合い始めてすぐの頃から浮気してたし、口を開けばどこまで行っても嘘ばかり。人間じゃないね。怪物、怪物!」
そう言ったかと思うと、今度は逆方向に大きく振れる。
「...でも、あの人、実はそこまでひどくはないのかもしれない。無神経は無神経なんだけど、意図して人を傷つけるつもりは無かったんじゃないかな?
もし私から『もういいよ、水に流すから』って一言言えば、無事仲直りできるかもしれない。」
「いや、ちょっと待てよ。
あの人、私に向かってとんでもない暴言を吐いたことあったよね。あれ言われた時、自分がゴミ屑以下の人間になったように感じたんだっけ。しかも、あんた一体何様なのよって感じの高飛車な態度で私を見下し、無能な子供扱いしたことだってあったじゃないの。」
そして、またもや話は逆方向へと揺り戻される。
「でもさ、誰だって間違えることはあるよね...。
もう一度だけチャンスをあげてもいいかも。いつまでも恨みを持ち続けるのはよろしくない、って昔からずっと言われてることだし。少なくとも『友達』としての関係ぐらいはつないでおいた方が、後味は良くなると思うな。
だって...
あの人が私の手を握って『愛してるよ』ってささやいた時の、あの美しい思い出。
あれを忘れるなんて、私には絶対無理...。」
これこそが認知的不協和によって引き起こされる最大の危険なんだよ。
認知的不協和に囚われた人は、甘美な思い出ばかりを何度も何度もリピート再生しがちだ。しかも、そこからなかなか脱け出せなくなってしまう。酒や薬物への中毒と似てるよね。
壊された夢。
何の根拠も無く吐かれた、嘘。
そんなものでも別に構わない、もう一度あの人とやり直しできるのならば何だって欲しい...と焦るあまり、ここで再び道を誤る恐れがあるんだ。
厄介な感情から逃げることなく真正面から向き合い、しっかりと対処できるようになれば、極端過ぎる思考の揺れは少しずつおさまっていく。より中庸に近い考え方ができるようになっていくはずだ。
ただ、そこへ至るまでの間が危ない。まだまだ心が相当ぐらついているとあって、新たに仕掛けられた虐待の罠にいとも簡単に捕まりかねないんだよ。
いいかい。
あなたが「認知的不協和」の状態を無事脱出するまでは、決して気を抜いてはいけない。
さもないと、あいつの騙しの手口に再度引っ掛かって、全ての努力が水の泡となる恐れがあるからね。
甘い言葉をそっと耳元で囁かれただけで、たちまち【理想化】の段階へと舞い戻りかねない。
今のあなたには、そのような危なっかしさが多分に感じられてならないんだ。
ならば、一体どうやって自分の身を守ればいいのだろうか?
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