2018年12月21日金曜日

自爆モード~共感力豊かな人々の最終兵器~

自爆モード~共感力豊かな人々の最終兵器~

【自爆モード】。
これ、人の気持ちに寄り添うのが上手な人、つまり「共感力豊かな人」のほとんどには生まれながらにして標準装備されているんじゃないかと思う。


悪化する一方の人間関係を修復したくて、全力を尽くした。
だが、結局どうすることもできなかった...。
そんな時にスイッチON!となるのが、この【自爆モード】。
(まぁ、あれ以上努力したとしても、遅かれ早かれ行き詰まっただろうね。今ならわかるけど。)


では【自爆モード】の4段階、順番に説明していこう。


1.尽くし過ぎ

あなたは周りで起きる物事や身近な人々のことが気になって仕方がない。そこで、持ち前の共感力を発揮し、なんとかして彼らの気持ちに寄り添ってあげようと、精一杯頑張る。


新しく出会った人には、できるだけのことをしてあげよう、と出血大サービス。
できれば愛情と感謝というリターンが得られればうれしいんだけどな...と、ひそかな期待を抱きながら。


だが、いざ蓋を開けてみると、集まったのは少々訳あり物件といった感じの人ばかり。
彼らの尻拭いに忙殺されたため、予想以上に多くの時間とエネルギーとを奪われてしまう。


「別にそこまで気が合う人ではないけれど...」
それはわかっている。
とはいえ、今更縁を切るわけにもいかない。
「あんな人たちなんかのために、どうして...」と後々ひどく悔やむことになっても、時既に遅し、なのだ。


「この人/この状況に私が寄り添ってあげれば、きっと良い方向へと向かうはず。」
どうやら、あなたは妙な使命感のようなものに取り憑かれてしまったようだ。


2.怒り

気が付いたら周囲には「満ち足りる」という言葉の意味さえ理解できないような人々ばかりが群がっていた。
その痛々しい事実、まだあなたは直視できずにいるかもしれないね。
どいつもこいつも恩知らずばかり。
あなたがどれほど尽くしてやったところで、それ相応の見返りなんてあるわけもない。
これまで自分がしてきたことが全くもって無意味だった、と気付いたあなた。目の粗いザルで必死に水をすくおうとしていたようなものだ。
ようやくここで目が覚めた。


「あれほど一所懸命に助けてやったのに...」
今までの努力は一体何だったのだろう。
ついに怒りが爆発する。
そして、過去の自分、世間に見せてきた「表向きの顔」に対しても宣戦布告を突き付ける。
もう「いい人」を演じるのは懲り懲りだ。
これ以上いいようにこき使われてたまるもんか。


だが、その怒りも少々度が過ぎてしまったようだ。
殺気立った言動ばかり繰り返すあなたにうんざりした友人が、一人、また一人...と、遠ざかっていった。


3.孤独

夢と希望を大切にする人なら誰でも、一人静かに過ごす時期を人生のどこかで必ず持つことになる。
それも、かなりの長い間。


はじめは心地悪いなんてものじゃないだろう。
誰かに認めてもらえないと「自分は価値ある人間だ」との実感が持てない。だから、物心ついてから今までずっと、他人からの評価にすがりつくようにして生き永らえてきた。
そのような承認欲求の強い人にとって、人生初の一人ぼっちで過ごす時間はただただ辛く、しんどいものでしかないだろう。


やがて、この「一人の時間」は徐々に「楽しみの時間」へとその性質を変えていく。


人間って、他人からの反応を意識している間は、自分の内側に目を向けたり、悩み事や心の葛藤にがっちりと正面から向き合ったり、といったことにはなかなか気が回らないものなんだ。


唯一頼れるのは自分自身の判断だけ。
それが大いに推奨されるこの時期は、人生有数の、またとないチャンスだ。
やり方さえ間違わなければ、あなた自身の本当の姿が発見できると思うよ。


というのも、僕らにはどうしても「孤独な、一人きりの時間」が必要なんだ。
孤独な時間が無ければ、自分自身の立て直し作業などできやしない。
闇世界の使者のようなあいつとの出会いによって全消去されてしまった自分を、これから一つ一つ作り直していかなければならないのだ。
この際、もう一度ゼロからスタートするつもりで気合い入れていこうじゃないか。


4・バランス

1、2、3、と順を追って読んでもらえば、キーワードのようなものがおぼろげながらも浮かんで来ると思う。
あなたも既に気付いているんじゃないかな。


そう。
大切なのは「健全なバランス感覚」なんだよ。




いくら身近な人々だからといって、その意見にいちいち同調しなくたっていいし、気持ちの上で寄り添ってやる必要だって特に無いんだ。
共感力は誰彼構わず発揮すればいい、ってもんじゃない。
あなたの信頼と親切心を受けるにふさわしい人たち...つまり、受けた恩にはきちんと報いる、という作法を心得た人たち...のためだけに大事に取っておけばいいよ。
で、ここぞ!という時だけに使えばいいのさ。


そして、「いいようにこき使われたくない」からといって、何も強面(こわもて)をして横柄に振舞う必要など無いからね。
私にだって自尊心(self-respect)はあるのだ、と他人にはっきりと伝えたければ、生き方にそれを語らせればいいだけのことだ。
「自分自身を大切にする(respect)」という生き方でもってメッセージを発信すればいいんだ。


最後にもう一つ。
「これ以上傷つくのは嫌だ」との理由で、世間から引きこもり続ける必要も全く無いからね。
世の中に善良な人は大勢いる。
しかるべきやり方に則って古い自分をとことん破壊し、過去をすっきりさっぱり清算できたら、その時はあなたも不思議なことで満ち満ちたこの世界へ戻ってこれるよ。
再び世界の一員となって、活動できるようになる。


とにかく、健全なバランス感覚を見失わないことだよね。
それさえ注意すれば、本来あなたに備わっていた数々の資質は新たなる「才能」へとさらに高められ、華麗なる再デビューを果たしてくれるはずだ。
頼もしい助っ人となってあなたのことを終生支えてくれることだろう。


読者の中には、この【自爆モード】のスイッチに触れるのが恐ろしくて、何年間も、何十年間もひたすら逃げ続けてきた、問題を避けて来た...という人もいるかもしれない。


確かに逃げたくなるのもわかる。
だって、スイッチひとつで「ドッカーン!」と自分が破壊されるんだよ。
大地震並みの激しい揺れと、大混乱といった極度の精神的ストレスに嫌でもさらされることになるんだよ。
気乗りしなくて当たり前だよね。


だけど、あなたのように豊かな共感力を持つ人が本気で救われたいと願うのであれば、最終的にこの【自爆】というルート以外の選択肢は他に無いんだ。
辛い旅路になるだろう。
でも、自分の足で一歩一歩前に進むことによって僕らの中に「バウンダリー(境界線)」というものが少しずつ出来上がっていくのだから、どうしてもここを避けて通るわけにはいかない。


道は険しく、長い。
それでも黙って歩き続けていれば、やがて目の前の世界は再びその輝きを取り戻してくる。
以前とはまた違う角度から世界を眺められるようになる。
世界の素晴らしさにあっと驚かされ、そして感動にうち震える日だっていつか必ずやって来る。
せめてそれくらいのご褒美は許されていいよね。
さんざんな目に遭いながらも、多少は賢くなって無事に生還できたのだから。


2018年12月14日金曜日

感情は後から遅れてやって来る~猛烈な怒り・抑うつ状態~

感情は後から遅れてやって来る

症状:猛烈な怒り。抑うつ状態。極度の嫉妬心。考えが次から次へと湧き起こる。憎悪。加虐者に接触したいとの気持ちが抑えられない。


さて、 サイコパスの化けの皮は剥がれた。
覚悟はいいかな。
これから先、不愉快な感情が次々と波のように押し寄せてくるはずだ。
余計な力を抜いて、気楽に構えればいいよ。
どうせすぐには終わらないから。


この段階では、あいつと付き合っていた間に抑圧されていたいろいろな感情がどっと噴き出してくる。
覚えているだろうか。
当時だって、本当は心の奥でさまざまな感情がうごめいていたんだ。
にも関わらず、それら全てが脇へと押しやられてしまった。
二人の間に波風を立てたくないから、というだけの理由で。


だが、そうした負の感情全てが消え失せたわけじゃない。
自分自身への疑い、不安感といった別の姿をとってあなたの中にしつこく居座り、事あるごとにあなたの心をかき乱していたんだよ。



サイコパス・ゲームの種明かしをされてからのあなたは、それこそはらわたが煮えくり返るような気持ちでいるんじゃないだろうか。
だって騙されたのだから。
操られたのだから。
貶められたのだから。


猛烈な怒り  


自分へと向けていた疑いの念は、今や怒りへと置き換えられた。
とうとう真実が白日の下にさらされたからだ。


要するに、あなたはあいつに利用され、手懐けられ、洗脳されたわけだ。 
腹立たしい、などといった生ぬるい言葉ではとてもこの怒りを言い表すことはできない。
できるものなら息の根を止めてやりたいとさえ思う。 
奴の知り合いを片っ端からつかまえて「あの人、こんなひどいことしたんですよ!」と直接ぶちまけたくてたまらない。 
 「地獄へ落ちて黒焦げになれ!」
そんな手紙の一つや二つも書いて、送り付けたくなる。  



友人・家族に会えば、どうしてもあいつとの一件について話をせずにはいられない。
封印しろと言われたって、もう無理というものだ。
もはや心はバースト寸前なのだから。


わかるよ。 
あれほど長い間しゃべるのを禁じられ、ぞんざいに扱われ、踏んだり蹴ったりの毎日を強いられたんだ。
今ようやく自由に声を上げられるようになったというのに、ただ黙っていろだなんて。
あまりにも悔しいよね。 


ただね、不貞行為や嘘といった事実を並べてあいつの非を暴こうとしたところで、その話、間違いなくひっくり返されるよ。 
涼しい顔で「違う。悪いのはそっちの方だ」とあなたの方へ非難の矛先を向けてくるに決まっている。
そうなると、あなたは怒るのも忘れて「やっぱり私が悪かったのかも」と後ろめたい気持ちにさせられるかもしれない。
これではあちらの思うつぼだよ。



以前のあなただったら、認知的不協和にぶつかるたびに必死に怒りを圧し殺していたんじゃないかな。
そうやって自分自身を無理矢理納得させていたのだろうね。


 

だが、今回だけはそうしなかった。 
怒りは怒りと認めて、きちんと表に出した。
あなたもようやくそこまでできるようになったのだ。 


もう一つの遅れて来た感情・嫉妬心についても同じようなことが言える。 


あいつ、どれだけ長い間二股かけていたんだろうね? 
嫉妬心に駆られ、普段のあなたからは考えられないような醜態をさらしたこともあったよね。
あいつ、それさえも自分の都合のいいように利用しただろう? 
「ご愁傷様だね」「気の毒に」など、いかにもいい人といった感じのセリフを連発しながら、新しい相手にすり寄って行ったんじゃないかな。


だからといって、あちらが仕掛けた中傷合戦という罠にはまっては、今までの努力も水の泡となってしまう。

「私、間違っていません!」と、あなたが大声張り上げて必死の訴えをすればする程、ズルズルと深みへとはまり込んで逃れられなくなるよ。


※参考過去記事:【気が付けば、被告席に】https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/blog-post.html


「遅発性」、すなわち後から遅れて生じてきた猛烈な怒り。
サイコパス的な人間関係が終焉を迎えると、必ずと言っていいほど噴き出してくるものだ。 
もっとも、そうした自分の中の怒りに気付き、身体でもって感じられるようになるまでにはある程度の時間が必要だろう。
数か月でその域に達した、という人もいれば、怒りを自覚できるまで数年はかかった、と語る人もいる。人それぞれである、としか言えない。


だけど、その怒りを相手にぶつけるのだけはなんとか思いとどまって欲しい。 
そんなことしたって、何一つ良いことなんて無いのだから。 


とにかく、今は落ち着きを保つこと。 
ちょっとやそっとで動揺しないこと。 
この二つが何よりも大切だ。 


というのも、サイコパス側としては、あなたがカッとなってくれた方がかえって好都合なんだよ。 
「みなさん!この人、頭おかしいですよー!」と大声上げて周囲の人々に拡散する絶好のチャンスだからね。 
...しかも「この人、別れてからもまだ未練たらたらなんですよー!」と、「自分、モテてます」アピールまでできるとあって、まさに一石二鳥。奴にとっては願ったりかなったり、だ。 


あいつはね、あなたとの仲がとっくの昔に終わっているにもかかわらず、再び三角関係に引きずり込んでしまおう、と目論んでいるんだ。 
「ノー・コンタクト(絶縁)」ルールを守るあなたが奴の前から完全に姿を消していようがいまいが、奴にとってはどうでもいいらしい。


まぁ、所詮怒りは怒りでしかないんだよ。やれることには限界がある。


本気で自分を癒したいのなら、怒りという感情は決して切り捨てちゃいけない。回復への重要なカギを握るのが、この怒りの扱い方だと思う。


相手に向かって怒りを爆発させたところで、一体何になるというんだ。
その瞬間だけはスカッとするかもしれないが、長い目で見てそれが永続的な心の平和をもたらしてくれるだろうか。
その可能性はきわめて低そうだ。


だったら、「自分自身を大切にする心/自尊心」をより大きく、より健やかに育て直していくための起爆剤として、怒りという感情を活用すべきじゃないかな。 
怒りのエネルギーを上手く使いこなせるようになってはじめて、僕らは本当の意味で癒されたと言えるのではないだろうか。



そう。 あなたはもっともっと良いもの・良い人間関係に恵まれてしかるべき人なんだ。
ここを理解できたら、あなたの「自尊心」はすくすくと育っていくだろう。 



抑うつ状態 

気持ちが大きく沈み込む。 
かと思えば、今度は腹が立って腹が立って仕方がない。 


二つの状態を振り子のように行ったり来たりする時期はしばらく続くだろう。 
良い日もあるし、悪い日もある。
なんとか気分を安定させようと努めてはみるが、どうもうまくいかない。 


夜、寝る時には「もう大丈夫!次、行くぞ!」と前向きになれたはずなのに、翌朝目を覚ましたら気分は最悪。枕に顔を埋めてわんわんと声を出して大泣きする...。
当分、そのようなパターンが繰り返されるだろう。 


悲しい気分になるのはごめんだ。 
かと言って、怒り狂うというのもどんなものかと思う。 
私、人を好きになったってだけだよね? 
なのに、どうして人を好きになったことでひどい目に遭わなきゃいけないわけ? 


一度こじらせてしまうと、頭の中から加虐者・サイコパスを追い払うのは極めて難しくなる。


街を歩けばカップルの姿が否応なしに目に入る。
あの、失われた恋の日々をどうしても思い出さずにはいられない。 


ラジオのスイッチを入れれば、昔好きだったラブソングばかり流れて来る。それも、次から次へと。


ワイングラスが目の前に来た。どっと涙があふれてしまいそうだ。
泣いたら周りの人からは白い目で見られるだろう。頭ではわかっている。でも...。


やがてあなたは身近な社交の場から身を引き、一人ぼっちになることを覚える。 
唯一の「付き合い」は、ネット掲示板やSNSでのやり取り程度。みんな経験者だけあって、悩みも苦しみも全てわかり合える。その気楽さがうれしい。
一方、現実世界の友人・知人とはますます接点が減っていく。
どうせ彼らに話したところで理解されないに決まっている。話すだけ無駄だ...。


脳内は強迫的な、せわしなく飛び交う思考でもって埋め尽くされる。 
ほんの些細なことにも敏感に反応。
頭の中はカオス状態で、まるで収拾がつかない。 


だが、ここで再び浮上してくるのが「他人との境界線」である。
(もっとも、あなたの場合は「再び」ではなく「生まれて初めて」とするのが正しいのかもしれない。) 



※過去記事:【境界線(バウンダリー)】の発見 https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2018/11/blog-post.html


あの頃の自分は、なぜあそこまで卑屈になれたのだろう。 
どれだけ多くのものを失ってしまったことだろう。
おぼろげではあるが、その答えが徐々に見えてくる。 
今頃になってようやく、ではあるけれど。 


...あの邪悪な奴をうっかりと人生に招き入れたことで、どれだけ多くの犠牲を払わされたことか。 
失くしたのは友達だけじゃない。
何もかも失ってしまったじゃないか。 
金も、人生経験も、ささやかな幸福感も、全部。 
たった一人のろくでなしと関わってしまったがために。 


かつてのあなたは、いつも愛ある眼差しをあたたかく世界へと向けているような人だった。 
今や、その眼(まなこ)はかたく閉ざされてしまったかのようにすら見える。 


「相手の言動はとりあえず良い方向に解釈してあげるべき」
性善説に基づく人付き合いを心掛けてきたあなただったが、例の悪夢を境に、他人というものを一切信用しなくなってしまった。 


気が付けばいつもびくびくしている。胸のあたりが締め付けらるようだ。
そんな不快感にあなたも毎日悩まされているんじゃないかな。
...悪魔の長く鋭いかぎ爪でもって心臓をわしづかみにされてしまったかのように、胸が苦しい。
僕らがどれだけしんどい思いをしていたか、ここまで書けば少しは伝わるだろうか。 


いっそ、全てを忘れられればどんなに楽なことか。
だけど悪魔はちょっとやそっとじゃ退散しなさそうだ。
あなたの心の至るところに出没しては、わざわざ辛い過去の記憶を引きずり出す。
そんな嫌がらせを、朝から晩までやっている。


「そう易々とお前を逃してたまるか」とでも言わんばかりに。


2018年12月7日金曜日

知り過ぎたがゆえの闇

知り過ぎたがゆえの闇

サイコパス被害を乗り越えた「サバイバー」の中には
「どんな人にも、少しは良いところがあるはず」
との「性善説」をひたすら信じてきた、と語る人が少なくない。


「無知という名の至福」にやさしく包まれ、まどろみのような心地良い日々を送っていた、かつてのサバイバーたち。
だが、彼らはある日突然、暗くて冷たい奈落の底へと突き落とされた。
サイコパスの登場により、平和な世界は消え去った。


その後あなたは「サイコパス」、そして人間全体の性質について一から学び直すことを余儀なくされる。


とはいえ、この手の話題って、一つ知ったらまた一つ、といった具合にどんどん追究したくなるよね。
あなたも知らず知らずのうちに以前とは比べ物にならないほどに深く、幅広く、人間というものを理解できるようになっていたんじゃないかな。


では、サイコパスはどんな理由で、どんなトリックを用いてあなたをターゲットと定め、そしてまんまと釣り上げることに成功したのだろうか。
もう今ならわかるよね。
・・・弱点をいち早く嗅ぎつけて、そこを狙い撃ち。
「愛情爆弾」で攻めて、一挙に陥落させる。
化学物質依存症にさせて、骨抜き状態にする。
汚い手口の背後に隠した奴の真意だって、今のあなたならば瞬時のうちに見透かせると思うよ。




(Twitterで本ブログを紹介してくださっている「夕下(ゆうした)」さん。いつもありがとうございます。
まだご存知でない読者の方がいらっしゃいましたら、夕下さんのスタイリッシュでキレの良いツイート、ぜひお読みになってみてください。現在進行形で辛い時期を潜り抜けている方、過去を振り返って気持ちの整理をしたい方...とにかくみなさまにお勧めです。力付けられると思いますよ。)

ところが、ここで困った事態が発生する。
奴と関わることではからずも真の邪悪さに触れてしまったあなたが、あたかも闇世界へと入り込み、そこの住人となってしまったかのように思い込んだのだ。
悪に近付き過ぎたがゆえの、一種の副作用なのだろう。


「所詮人間なんてちょろいもの。ちょっとおだてていい気分にさせればいいんだ。それだけで面白いように動くから。」


まさか自分の口からこんなせりふが飛び出すなんて。
これほどにまで自分の心はどす黒く、悪に染められてしまったのだろうか。
そう気付き、あなたはしばし言葉を失う。


心の闇はどこまでも続いていく。終わりは見えない。
どんな物言いをすれば人の心にグサリととどめを刺せるのか。
自らの命を絶つ域にまで追い詰めることができるのか。
そんな物騒なことまで考えるようになってしまったとは。
なんてことだろう。
こんな話題、知らずに済ませられるものならば永遠に知りたくなかった。
一体自分はこの先どこまで堕ちていくのだろう...。


だけど、ここは焦らずに行こう。極論に走らずにね。
大体、あなたはそうした邪悪なたくらみを本気で実行へと移せるだろうか?
もちろん、できっこないさ。
あなたには無理なんだ。


あなたの中には【良心】がしっかりと生きている。
たとえ道を踏み外しかけたとしても、良心が黙っちゃいないだろうね。
あなたをしっかと捕まえて、人の道から外れないようにと全力でブレーキをかけてくれるはずだよ。
サイコパスとあなたとの一番の違いは、まさにそこなんだ。


「でも、ここまで邪悪な知識を豊富に取り込めるのだから、やはり私もあいつ同様サイコパスだった、と考えた方がよいのでは…。」
まだ納得が行かないようだね。


あのね、そもそもあいつの中には良心のかけらすら無いんだよ。
あなたとは明らかに違う。
出発点からしてまるでかけ離れているのだから、外側に表れる行動にしたって同じものに行き着くはずがない。
第一、あなたとサイコパスとを同類扱いする人なんて、誰一人としていやしないよ。


要するに、僕が言いたいのはこういうことさ。

「世間や人間について今まで知らなかったことを知り、裏の裏まで見てしまったからといって、必ずしもその人が邪悪の側に転ぶとは限らない。」


J.K.ローリング【訳注:「ハリー・ポッター」シリーズで有名なイギリスの女性作家】もこう書いている。

「誰だって自分の中に光と闇とを併せ持っている。 
大事なのはどちらの側から行動を起こすかをしっかりと選ぶこと。 
そこに、その人の真の姿が現れる。」

https://www.azquotes.com/quote/512291

 (こちらの本↓からの引用だそうです。)
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上に挙げた言葉は、あなたが以前のような元気を取り戻し「もう大丈夫!」と言える日が来るまで、心の片隅にでも置いておいて欲しい。


人間ならば誰だって、心の奥底に魔物の一匹や二匹、棲まわせていて当たり前だよ。
むしろそうした魔物が全くいない方がおかしい。
...ただ、その魔物をどのように手懐けるかは、われわれ一人一人の選択に委ねられている。
誰かの性質を知りたいと思うなら、その人が「内なる魔物」をどう扱うかを観察すればいい。
そうすれば、その人本来の姿がくっきりと浮かび上がってくるんじゃないかな。


「サイコパシー(精神病質)」など見たことも聞いたこともない。
かつてはあなたにもそんな穏やかな時期があったはず。
何もかもが順風満帆。平和そのものだった。
あの頃の自分を思い出してごらんよ。
人からほめ言葉をもらった途端に、意地悪な気持ちがふつふつと湧いて来て...などといったこと、果たしてあっただろうか?
誰かに親切にしてあげた直後、「こいつ、ひとつ操ってやるかな」という腹黒い考えが頭をよぎったこと、あっただろうか?
何か善いことをしても「見返り目当てでやっただけ。でなけりゃ、バカバカしくてやってられないよ。」と内心思っていたこと、あっただろうか?


僕の読みが正しければ、答えは全てNO!だろう。


あの、邪悪さの権化との接近遭遇さえ避けられていれば、あなた本来の素直さが損なわれることもなかった。
ひょっとしたら今でも当時と変わらぬ無傷の状態を保てていたかもしれない。
だが、そうはならなかった。奴と出会ったからね。
その後あなたが疑心暗鬼へと変貌してしまったのは、結局あいつのせいなんだ。


しつこくなるからそろそろ止めよう。
とにかく、あなたはサイコパスではない。
しかも、サイコパス化したことなど、ただの一度だって無かったのだ。


深く傷ついたあなたの魂も、いつかは完全に癒される日が来るだろう。それが自然の流れだからね。
しばらくの間はバランスを失い、起き上がれない状態が続くかもしれない。
でも、共感能力、そして感情が以前のような活発な動きを見せるようになった暁には、自分の力で自分を立派に立て直せるようになるはずだ。


あいつと一緒にいることで、知らず知らずのうちに
「ほめ言葉や注目は、相手を潰すための武器として使える」
との歪んだ考え方に毒されてしまったのかもしれないね。


ただ、あなたのような人に関して言えば、他人からの賞賛を浴びたり、注目を集めたりすれば多少舞い上がりはしても、それが引き金となってサイコパスへと豹変する、といった展開は全く想像できない。
ごく普通の健全な人々からほめられたり、注目されたりするチャンスはこれからもちょくちょく巡ってくるだろう。
そうなったら今以上に「ほめられ上手」・「受け取り上手」になりたいものだよね。
すぐにはできないだろうけど、少しずつ変えていくといいよ。


まぁ、あんな奴に操り人形同然にされ、さんざんひどい仕打ちを受けたんだ。
もし誰かに好意を寄せられたとしても、今はとても受け止める余裕が無いかもしれない。
優しい言葉をかけられたとしても「何か裏があるんじゃないだろうか、この人。」と、ついつい相手の意図を勘ぐりたくなるだろう。
それはよくわかる。


でも、本来のあなたに似つかわしい好意、賞賛、注目といったポジティブな類のエネルギーが寄せられた時に、不幸せな過去を盾にしていつまでも拒み続けるのって、あまり得策じゃないと思うよ。
いつかはけりを付けるべきなんだ。
でなけりゃ、前には進めない。


そう。
あなたはサイコパスじゃない。
サイコパスどころか、むしろその対極に位置する人だ。
そもそも「私、サイコパスなんだろうか?」と自分を疑うこと自体、あなたが「サイコパスではない」ことを何よりも雄弁に物語っているんだけどね。
ここまで説得力ある証拠、そうそう無いよ。


なぜかって?
本物のサイコパスだったら、自分自身の性質に疑いの目を向け、悶々とする...なんてことはまず、無いからさ。
絶対にあり得ない。


2018年11月29日木曜日

瀕死の共感能力

瀕死の共感能力

からっぽになった心。
麻痺したかのように何の反応も示さない。
周りで何が起ころうと、誰が何をしようと、どうでもいい。自分には関係無いから...。
しばらくはそうした虚無感に苛まれるだろう。
だが、この段階は避けて通れないのだ。
サイコパス被害を本気で克服したいのならば。


誤解の無いように言っておくよ。
心が麻痺し、外界からの刺激に無反応になったとしても、あなた自身が「サイコパス」と即、決まるわけじゃない。
二つは似て非なるものだ。


確かに、今のあなたがピクリとも動かぬ「無反応」な状態にあるのは事実だ。
でもね、これは100%あいつのせいだよ。
あれだけぞんざいな扱いを受け、操り人形のように利用されたのだから、感情が麻痺しない方がおかしいよ。
元のような自然な感覚を取り戻すまでには、相当長くかかるかもしれない。


何を見ても、何を聞いても「反応無し」。
普通、これはサイコパスの特徴とみなされる。
だけど、本物のサイコパスだったら「ああ、いつまでも純真無垢なままではいられないんだなぁ…」と、無邪気だった頃の自分を懐かしみ、何ヶ月もどっぷり感傷に浸る、なんてことはまず、やらない。
また、ほろ苦い失恋体験を頭の中でロングラン上映し続ける、などといったこともあり得ないだろう。


今はただ冬眠しているだけなんだよ。
あなたの心も、あなたの共感能力も。
でも、冬が終われば必ず春が来る。
熟睡中の熊さんだって、季節が変われば穴の外へと出て来て、元気な姿を見せてくれる。それが自然というものだ。


現在のあなたもそのように考えればいいさ。
今はただ、目の前にある片付けなきゃいけないことだけ片付けていけばいい。
そうこうしているうちに月日が流れ、気が付いたら以前にも増して感受性豊かで、より思いやりあふれる素敵な人へと成長できているんじゃないかな。


だから心配する必要なんて無いんだ。
心が麻痺して無反応状態だからといって、何もそれが永遠に続くわけじゃない。
一過性の症状だよ。いつかは消えてなくなるさ。
そのうち心から無反応という迷惑な客を追っ払える日も来るだろう。そうなったら、入れ替わりで楽しいことやうれしいことが舞い込んでくるはずだ。
さすがにそこまで来れば否が応でも動かなきゃ!って気分になると思うよ。


以前僕がお勧めしたこと、覚えているかな。
「新しい友人関係・交際関係を開拓したいのはやまやまだろう。
でも、少なくとも数か月は猶予期間を設けるべきだ。」
この本の初めの方に書いたよね。



【参考過去記事】「ハゲタカに気を付けろ」https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/01/blog-post_31.html


いいかい。くれぐれも早まらないで欲しいんだ。
焦って誰かをつかまえてみたところで、どうにもならないからね。
そのうち欲求不満という分厚い壁にぶち当たるのは火を見るよりも明らかだ。
止めた方がいい。開いた傷口にわざわざ自分で塩を塗り込むようなものだから。


こういった時期はどんな相手を選ぼうが、行き着く先は皆同じだよ。
サイコパスとの関係で体験したあの熱烈な恋心。
高揚感。
別の人を相手に、あのハイな気分よもう一度、なんて期待するだけ無駄さ。どうせ裏切られ、ガッカリするだけだ。
「あーあ。今度の彼/彼女、ハズレだったかも。あまりマメじゃないし、気も利かない。それに身体の相性もイマイチなんだよね...。」
気が付けば相手への不満ばかり口にしているあなた。
そんな醜い自分にふと気付いてしまい、またしても気が滅入る。
まったくだ。いいことなんて一つもありゃしない。


これ、「ポスト・サイコパス(サイコパス後)」期の人間関係でついやりがちな失敗パターンだ。
ずるずると引き延ばしたところで、その努力は徒労に終わるだけ。
しかも、そこで傷つくのはあなた一人だけじゃない。
巻き込まれた相手はもちろん、周囲の人だってあなたと同じように傷を負うんだ。


そもそもあなたの場合、共感能力という基礎部分がひどく損なわれている上に、後ろめたさという重荷まで背負って新しい相手と付き合おうとしているんだよね。
うまく行ったらむしろ奇跡だと思うよ。


そう。
できないことは、できないんだ。ここいらで腹をくくろう。
だから、「ちゃんとできていない、ダメダメな自分」を過度に責めて、悪者扱いするのはもうやめようよ。


今は自分の内側をじっと見つめるべき時期なんだよ。
他人に頼ることはない。
あなた自身があなたにとっての最良の友になってやればいいじゃないか。


「あなたは自分にとっての最高の友達にもなれるし、
また、最悪の敵にもなれる。
さて、どちらがいいかな?賢く選んでね。」

とはいえ、いつまでも内側にばかりこもってばかりはいられないのが現実世界の辛いところだ。
だから、ある程度内省に時間を費やしたら、どこかでエイヤッと区切りを付けねばならない。
エンドレスな思考の流れにストップをかけて、外の世界に目を向けよう。
そしてリアルな人生への復帰を果たすのだ。


人によってはそこへたどり着くだけでも数年はかかるかもしれないね。
でも、外に出ていく時期が来れば、必ずわかるよ。
あなたの心の奥深い場所から「準備はOK。前進だ!」って合図が聞こえてくるはずだから。


内省するのは大切だ。
でも、それも度を越せばかえって毒になることもある。


「程良い分量の内省」という長いトンネルを抜けたあなたは、以前とは一味も二味も違う人になっていることだろう。
自分の内側を見つめてきたから、いろいろな分野についての知識も得られた。
同時に、人生をゼロから作り上げていく能力にもさらに磨きをかけることもできた。


内省は多過ぎてもいけないし、少な過ぎてもいけない。
匙加減が難しいけれど、自分にとっての適量をうまく見極められたらいいね。




2018年11月14日水曜日

サイコパス直伝「人間関係ぶち壊しの術」

4.サイコパス直伝「人間関係ぶち壊しの術」


サイコパスな奴らには、他人と親密な関係になった時、必ずある一定のパターン通りに動くという習性がある。

持ち上げる・理想化する(idealize)
価値を切り下げる (devalue)
捨てる (discard)

この3つの動作を繰り返すんだ。
よくもまぁ毎回毎回飽きずに、と呆れてしまう。


残念なことに、そうしたパターン通りに動くのはあいつらに限ったことではないんだ。
あなた自身も、上のような3つのプロセスは一通り潜り抜けてきたはずだよ。
ただし、あなたのような被害者の場合、3番目の「捨てる」が、2番目の「価値を切り下げる」の前に来るけどね。


出会って間もない頃、あなたの方もやはり相手をさかんに「持ち上げ」た。
そして、それまでに出会った誰とも比較にならないほど
熱烈にこの相手を「理想化」した。
なのにあなたは突然「捨て」られた。
一人残されたあなたは、砕け散った自分のかけらを1ピース、1ピースと拾い集めていくしかなかった。


やがてあなたは「サイコパス」という連中の生態について多くのことを知る。
その結果、奴という人間に抱いていた好感情は完全に覆された。
真実が明らかになった今、あなたは一気に奴の「価値を切り下げる」
そこにはもはやいささかのためらいもない。


「仕込み段階」にさんざん見せられたあいつの姿は、全て嘘だった。
ならば、一つ残らずぶっ壊してしまおうじゃないか。
やられたのだからやり返せ、さ。
「自分らしさがじわじわとむしばまれていった」あの時期にどれほどの仕打ちを受けたか、忘れたわけじゃないだろう?

【参考過去記事①:「むしばまれていく、自分らしさ」【1】
https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/03/1.html 】

とかく人と人との別れにゴタゴタはつきもの。
とはいえ、ここまで醜悪な結末に行き着く人間関係はやはり尋常じゃない。おかしいよ。


確かに、別れた後も相手のことが大嫌い、憎たらしくってたまらない、としつこく言い続ける人々は大勢いるさ。
でも、それにしたって、ジェットコースターのように激しくアップダウンするようなサイコパスとの関係は決して「ノーマル」じゃないよね。
熱烈に理想化されて、さんざん持ち上げられたと思ったのも束の間、今度は人格否定というメッタ刺しを食らう。
こんなこと、まともな人と付き合っている限りはまずあり得ないことなんだ。


あいつとの毒々しい関係に巻き込まれ、深く傷ついたあなたにとって、回復への道はたった一つしかない。
それは、「全過程を自分で体験すること」だ。毒の部分も含めて、ね。


相手から盛られた毒に激しく当てられると、身悶えするほどの苦しみを味わわなければいけない。
それは確かに気の毒だと思うよ。
でも、そこまでやってみて初めて見えてくるものもある。
「ああ、何もかもが嘘だったのか」とわかるんだ。


そう。幻だった。
あいつは、ひどく歪んだ鏡に映った、幻でしかなかったんだよ。

【参考過去記事②:番外編・本書前半のまとめ。(あるFacebook投稿より)〜前編〜
http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/06/facebook.html 】

【参考過去記事③:コラム・捨てられて
https://sayonara-psychopath.blogspot.com/2018/02/blog-post_11.html 】


嘘・偽りを見破れるようになりたいかい?
だったら、やるべきことはただ一つだけ。
かつて愛した「あの人」に関係したことを、片っ端から一つ残らずひっくり返していくんだ。
何もかも。全部だ。
だって、あいつに関しては何一つとして「本当のこと」など無かったのだからね。
この「価値の切り下げ(devalue)」という作業は徹底的にやり抜いて欲しいな。
そうすることで、自分を大切にする気持ちや、忘れかけていた夢や目標があなたの中に戻ってくるだろうから。





「価値の切り下げ」を強いられるような状況は、この先もいろいろな形を取って現れると思う。


サイコパス被害を経験したサバイバーの人達に話を聞くと
「実は、しばらくの間サイバーストーキング(※ネット上でのストーカー行為)を止められなかった...」と打ち明ける人が少なくない。


これには理由がある。
サバイバーは突如として「一体何が起こったのか、まるで理解できない」という状況に放り出されてしまったのだ。
そのような状況で唯一できることと言ったら、ネット上で執拗に相手の動向を探ることぐらいだからね。
サイバーストーキングに走りたくなる気持ちもわかるさ。


確かに、SNSだって使い方さえ間違えなければ真相解明への手掛かりを与えてくれるのだから、一概に悪と決めつけるのはどうかと思う。


だけど、いつまでも別れた相手のSNSを未練がましく覗いてみたところで一体何になるんだい?
もはやどうすることもできやしないんだ。
回復が遅れるだけで、何のプラスにもならないよ。


いいかい。
今からすごく大事なことを言うからね。


サイバーストーキングと呼ぼうが、「SNSのチェック」と呼ぼうが、そんなことはどうでもいい。
【相手と接触する/コンタクトする】という点では同じなのだから。
それだけに、今のあなたにとって相手の動きを探るのは「百害あって一利なし」でしかない。
だから極力避けてもらいたいんだ。


僕が推測するに、あなたのサイバーストーキング癖は、あいつからの「理想化」シャワーを一身に浴びていた時期から続いているんじゃないかな。
ネットさえあれば、いつでもどこでも大好きなあの人の動きを追える。
リアルタイムでつながれる。
あの快感を一度味わってしまうと、急に止めるわけにもいかないんだよね。
もはや中毒の域にまで達してしまったとあっては、なおさら難しい。


人目につかないよう、PC画面に貼りついてはSNSにアクセス。
相手の一挙一動を伝える最新情報が来るのを今か今かと待ち続け、そわそわと落ち着かない...。
サイコパスはそうしたあなたの行動など全てお見通しだったんだよ。
そして、あなたを意のままに振り回す力を手に入れた自分自身にうぬぼれていたはずだ。


だけど、奴があなたに知られたくなかった事も、実はあった。
サイコパスだけあって、隠蔽テクニックに関しては侮れないものがあるよね。悔しいけれど。


奴が秘密にしておきたかったこと、それは

【あなたがサイバーストーカー化し始めたのとちょうど同じ時期、奴の方もあなたのことをしつこくサイバーストーキングしていた。
そして『あいつ、次はどういう動きに出るんだ?』と必死に探っていた】


という事実なんだ。


実例を挙げよう。

「君のFacebook?あー、最近はほとんど見てないんだよなー。」

あいつ、よくこんな調子で話していなかっただろうか。
なのに、ふとした時にこんなセリフが奴の口を突いて出て来るのは一体どういうわけだろう。


「2、3日前に君が投稿してたあの事だけど...」


まだあるよ。

「驚いた。まさか君の方から電話くれるとはね。予想外だよ。」

で、その言葉の裏に隠された真意は、

「何でこんなに長々と待たせやがるんだ。電話かけるなら早くかけろよ、この間抜けが!」


一事が万事、こんな調子さ。何もかもが嘘だった。


あんな奴との不毛な駆け引きに引き込まれた自分をバカだった、見る目が無かった、と責めるのは簡単さ。
でもそれはやらないで欲しい。
今はただ、
「こんな不健康な状態でいても、いいことなんて一つもない。」
ということだけわかってくれればいいんだよ。


とにかく今は自制心をフルに発動させて、奴とのつながりをバッサリと断ち切るんだ。
腐った縁は元から断たなきゃダメだよ。


サイコパスと付き合っていた頃、そして捨てられてからの自分を振り返ると、恥ずかしさで顔から火がでる思いだ。「穴があったら入りたい」気分になる。
...そういう人は、あなたの他にも大勢いるんじゃないかな。


嘘をついた。
相手の気を引こうと必死にアピールした。
怒りに駆られたメールを送り付けた。
...といった具合に。


確かに、そうしたあなたの「黒歴史」は決して褒められたものとは言えない。
だからといって、あなたがその黒歴史ゆえにサイコパス化した、なんてことはまずあり得ない。


いずれはあなたも自分の過去と折り合いを付けられるはずだ。
「いいんだよ、もう。」と自分を許してやれるだろう。
次からはもっと賢明な選択をしたいよね。そのためにも、志を高く持って努力し続けよう。
そう自分に約束しようじゃないか。


粘着ストーカーだって?あなたが?
まさか。そんなことあるもんか。
できる芸といったらオウム返しや猿真似程度が関の山。
いつまでもねちっこく相手への報復を狙っているようなゲスな奴と自分とを同類扱いするのは、もうやめようよ。


今回はサイコパスから直々に「人間関係ぶち壊しの術」を伝授されてしまい、危うく自分自身までぶち壊すところだったね。
あれはまさに毒を盛られたような、強烈な体験だった。
当然、身も心もおかしくなるよ。
100%完全デトックスを達成するには、まだまだ多くの時間を必要とすることだろう。


でも、いつか必ずその日はやって来る。
そうなったら思い切って外に出ていこう。
今度こそごく普通の、愛情あふれた素敵な誰かとの縁が見つけられるといいね。


2018年11月7日水曜日

【境界線(バウンダリー)】の発見

3.【境界線(バウンダリー)】の発見


悪びれもせず、浮気。
嘘を吐いては、罵詈雑言を連発。
人を操り、さんざん混乱させておきながら、後は知らぬ存ぜぬの一点張り。
いずれも「加虐者(abuser)」にはありがちな行動だ。


我慢に我慢を重ねてきた被害者も、これ以上は無理、というところにまでとうとう追い詰められた。
勇気を振り絞り、いざ反撃に出ようと身構えたのも束の間、どういうわけだか妙に後ろめたい気持ちになってしまい、思うように言葉が出て来ない...。
よくある話だ。思い返すと今でも胸の奥がざわざわとかき乱されるよね。
もういい加減に手放そうよ、こんな不愉快なモヤモヤは。
そして少しでも心を軽くしようじゃないか。


【境界線(バウンダリー/boundaries)】。

これは、他人と自分との間に引くべき「ある一線」のことだ。
健やかな毎日を送りたいのであれば、他人と自分との間に「ここから先は一歩も入らせないぞ」という【境界線】を設けることが必要不可欠なのだそうだ。



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※以下太字部分、上のリンク先・特定非営利活動法人アスクhttps://www.ask.or.jp/ のHPより【境界(線)/バウンダリー】についての解説文を一部引用。 
「境界には大きく分けて、体の境界と、心の境界があります。私たちは他人があまりに自分の体に近づくと、不安・不快になります。満員電車でストレスを感じるのは、体の境界を侵されているからです。
境界は、人によって違います。
あなたが『ここまでならOK』と感じるところ、それがあなたの境界です。(…以下略…)」
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たとえば、一人の人物が近寄ってきて、ずかずかと他者の境界線内に足を踏み入れてくる、といった場面を思い描いてみよう。
この人物、わざわざ意図して相手の嫌がることをしているように見える。おまけに、罪の意識などこれっぽっちも無さそうだ。
今度このような人物に出会ったら、「あ、この人は加虐者だな」と判断してもいいだろう。


多分、これまであなたは

【他人と自分との間に境界線を引く】

といったこととはほとんど無縁の人生を送ってきたのだろうね。
実際、サイコパス被害のサバイバーに話を聞くと、
「自他の【境界線】なんて話、初めて聞いた」
「他人と自分との間に【境界線】があるなんて。今まで全然意識したことなかった」
などと語る人が少なくないんだ。


確かに、例のサイコパスと関わったことで、あなたは「大はずれくじ」を引いてしまった。
でも、見方を変えれば、奴との接近遭遇があったからこそ、今、こうして【境界線】の考え方を発見できた、とも言える。
奴とのことがきっかけで新しい学びの機会がもたらされた、と解釈することもできそうだ。
あれはあれで、一種の「当たりくじ」だったのかもしれないね。
まぁ、ここまで有難みの無い「当たりくじ」は相当珍しいけれども。



人によってはこの「境界線を設ける」という作業を「健全な自己愛(ナルシシズム)」という言葉で表現しているようだが、僕としては

【自尊心(self-respect)】

と結びつける方がよりふさわしいのでは、と思う。

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「あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないし、わたしも他者の期待を満たすために生きているのではない。他者の期待など、満たす必要はないのです。」

※以上太字部分は、ダイヤモンドオンライン「嫌われる勇気──自己啓発の源流『アドラー』の教え」より引用。
(アルフレッド・アドラーの心理学を対談形式で解説した大ベストセラー「嫌われる勇気」に登場する「課題の分離」=あなたはあなた、私は私、線引きをきちんとしないといけないよ...という部分。【境界線(バウンダリー)】とほぼ同じことを表現しているように思えませんか?ーーー訳者。)
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ここで僕らはひとつ問題にぶち当たる。


今、【境界線】【自尊心】という単語を聞かされて、あなたはどんな印象を持つだろう。
自分とは全く関係の無い言葉にしか聞こえないんじゃないかな。
まるで遠く離れた異国の言葉のように、よそよそしい感じがするんじゃないかな。


だとすると、こうして学んだ内容をいざ実践に移そうと意気込んでみたところで、
「...うーん。境界線、ねぇ。ピンと来ないな~。大体私、ここまで自己中で無神経なこと言えるような人間じゃないと思うんだけどな~。」
と、かえって途方に暮れてしまうのではなかろうか。


勘違いしないで欲しい。
あなたは嫌な奴になってはいないよ。だから、心配しないで。
今までずっと「ドアマット」(注)の役ばかり演じていた自分に、はた、と気付いてしまったんだよね。
「こんな役、やめたい」とあなたが本気で思うのならば、自主的にアクションを起こす、つまり自分から役を降りる以外に道は無い。
自分らしさを押し殺してつまらない役ばかり演じるのは、もう懲り懲りだろう?
【訳注:ドアマットdoormat=他人からいいようにあしらわれてひどい目に遭わされる人のこと。】

あなたの心がよりたくましく、強くなっていくにつれて、腐れ縁的な友人関係や、マイナス面ばかりの人間関係は次々と行き詰まり、遅かれ早かれ崩壊する。用済みとなった人は去るだろう。
こうなったら、流れは明らかに良い方向へ向かっていると見ていいよね。
ただ、あなたにはそれがまだはっきりとわからない。
だから、時には「回復するのはいいんだけど、何かこう、最近、ついてないんだよなぁ...誰かから罰せられているような気がする。」と愚痴の一つや二つもこぼしたくなるかもしれないね。


違う、違う。
罰なんかじゃないって。


あなたはようやく

健全なものだけを自分の人生に招き入れる

ことを自分自身に許せる段階にまで上がって来れたんだよ。


取り込むのは健全な物や人だけ。それ以外は拒否してOK。
そこまでの自由を、やっと自分に許せるようになったんだ。
あなたの心がそれだけ強く、たくましくなったんだね。


ともかく、自分と他人の間には【境界線】をしっかりと引いておくに越したことはない。
それであなたがサイコパス化したり、自己愛過剰になったりすることはまず無いよ。心配ご無用。


それから、誰かのために何かをしてあげた場合に、与えた分と釣り合うだけのお返しを相手からももらいたい、と要求するのはごく当たり前のことさ。
これは別にサイコパス的でもなければ、自己愛過剰でもない。


だって、あなた自身はごく普通の、生きた感情を持つ一人の人間じゃないか。神様なんかじゃなく、ね。
なのに、これまであなたの周りにいた人達ときたら、あなたに「ごく普通の人間」以上のことをやってみせろよ、と、無茶苦茶な期待ばかり押し付けてきただろう?
...「先回りして気を配り、何から何まで面倒見てくれるような世話係」の役柄を、いつまでもあなたに演じていて欲しかったんだろうね。
その方が彼らにとっては好都合だから。


いつも他人に振りまわされる人のための366個の言葉
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(「共依存 co-dependency」を扱った本の著者ではおそらく最も有名なアメリカ人心理療法家、メロディ・ビーティ/Melodie Beattie。
境界線の問題で苦しんだことのある人ならば、共感できるようなメッセージがきっと見つかるはずです。英語も平易なので、こちらもおススメ。)



かつてあなたの周りにいた人々のこと、思い出してみよう。
彼らは、あなたがより健全な、新しいやり方を取り入れようとする度にいちいち邪魔しては来なかっただろうか?
彼らと話した後はいつも、心の重みが増してはいなかっただろうか?
そうした経験が度重なると、
「やっぱり、私もサイコパスなのかな?血も涙も無い、冷血漢なのかな?」
(まさか!)
といった具合に、あなた自身も自分のことを疑うようになっていくんだよね。


全ては「条件付け」の成せる業なんだよ。
あなたは彼らが仕掛けた「条件付け」の罠にはまり、「悪いのは私」と思わされていただけさ。
「私はサイコパスかもしれない、私には思いやりが無い」と、自分を責めるようなな物の見方をするように、彼らによってそれとなく導かれていたに過ぎないんだ。


違うよ。
あなたはサイコパスじゃない。
冷酷非情な奴でもない。


いいかい。
奴らはね、とにかく自分の思い通りに好き放題やりたいだけなんだ。
そんな奴らにとって一番大事なのは「現状を維持すること」。
なぜかって?
既に出来上がっている上下関係を崩さずにそのままキープしておくのが、連中にとっては何よりも都合が良いからだよ。
だからこそ、その現状を揺さぶりかねないあなたを危険だと思い、罪悪感を植え付けたのさ。
現状を脅かす者は、それが誰であろうと容赦はしない。
闘う。倒す。
それがあいつらの流儀なのだ。


もちろん、こんな人間関係はあなたにとっては不快なだけだ。
だからこそ、自分と他人との間に【境界線】をしっかりと設定することがとても重要となってくるんだよ。これ以上カスのような人間関係に引き込まれないためにもね。


他人との間に適切な【境界線】をきちんと引けるようになれば、自分に合う人・合わない人を見極めるのもだんだん上手になっていくはずだよ。


大丈夫、大丈夫。
少々きつめの口調で相手を責め立てたとしても、あるいは「もう少し私のことを大切にして!」と主張したとしても、そんなささいな理由であなたがサイコパス化するなんてこと、まずあり得ないよ。


むしろ、そうした自己主張のスキルをもっと向上させることで、あなたはさらに強くなる。
今以上にたくましい人へと成長できる。


毅然とした態度が板につくまで、何度も何度も繰り返し練習していけばいい。
そうこうしているうちに、あなたの心の奥深くで長い眠りに落ちていた勇気も、いずれは目を覚ますだろう。
そうなったら、本格的な活動再開へと向けてぼちぼち動き出すんじゃないかな。



2018年10月19日金曜日

信じやすい心

2.信じやすい心

「考えるのはいい。 
だが、何もかも鵜呑みにしてはまずいのだ。」 
https://zooll.com/

これ、昔からあちこちで見かけるフレーズだよね。
グランド・フィナーレを既に迎えてしまった人にはぜひともじっくりと噛みしめてもらいたい。
常に頭の片隅に置いておくといいよ。


サイコパス被害から無事立ち直ったサバイバーに数多く接してみてわかったのだが、彼らが共通して持つ、ある種の性格的な特徴といったものは確実にあると思う。
中でも特に目立つのが、

・柔軟性に富む(オープンマインド)
・他人の言葉に影響されやすい

という二つの傾向だ。
もちろん、そうした性格が素晴らしい美点としてプラスに働く場合もあるよね。
これについては僕も異論は無い。


だが、扱いには少々のコツを要する、というのも、また事実である。
まずは自分自身の内側をじっくりと見つめることから始めよう。
自分にもいい部分があった、と満足するだけではだめだ。
そのいい部分を上手に使いこなせるようになり、より適した場所や使い道へと向けてやるところまでやって欲しいんだ。
その手間暇を惜しむようでは、遅かれ早かれ厄介事に巻き込まれるのは避けられない。


あなたは何度も「もしかして、私もサイコパス?」と自分に問いかけたのだったよね。
そもそも、そんな疑問が湧いてくること自体、あなたが石頭人間ではなく、ちゃんと心が開いていることを物語っていると思うんだけどな。
あなたの場合、自分がサイコパスだという明白な根拠があったから自分を疑い始めた、というわけではなかった。
発想が柔軟で、新しい見解を受け入れるだけの開かれた心を持つ人だからこそ、つい、自分自身を容疑者の一人にしてしまった。
ということで、この件についてはひとまず一件落着、としよう。



脳が何か新しい話を持ちかけて来たら、まずはその話に耳を傾けてみる。
来るものは拒まず、だ。
おおらかなあなたは、昔からそうした傾向が強かったんじゃないかな。
だとしたら、時にはお馴染みのパターンをわざと崩してみてはどうだろう。


「何これ。ちょっと、おかしくない???」
大いに笑い飛ばして、あっさりダメ出し。
終了。


といった具合に。
これからは、軽くいなしてやり過ごす、という技も使えるようになるといいよね。
何でもかんでも真に受けるだけが能じゃない。


僕が接触したサバイバーには


「私はひどい人間だ」


との思い込みを簡単に自分の中に取り入れ、そのまま手放さずにいたような人も少なくなかった。
僕としては、これが実に残念でならない。
そのような思い込みをする人に
「ひどいのはあなたじゃなくって、他の誰かかもしれないよ」
といった助言をしてみたところで、当の本人が聞く耳を持たないのだからね。どうすることもできないよ。


とはいえ、そのような人々だって、本来の自分らしさが徐々によみがえり、狂気の渦と距離を置くことができるようになれば、自虐的・自罰的な性格傾向にもやがては歯止めがかかってくるんじゃないかな。
狭くなっていた視野もより広く、そしてよりクリアーになっていくのが少しずつ実感できるようになるだろう。


ここまで来れば、
「私はOK、あなたもOK (I'm okay, you're okay)」【訳注①】

の境地へと到達したも同然、と言っていい。


一方、あいつと付き合っていた頃のあなたはそれとは程遠いところにいたはずだ。
ごくわずかな期間を除いて、


「私はOKじゃない、あなたはOK
(I'm not okay, you're okay)」【訳注②】

との思い込みにガッチガチに囚われていたあの時の自分。
忘れようにも忘れられないよね。



思えばよくぞここまで回復したものだ。
よく頑張ったね、と、自分を大いにほめてあげようではないか。

****************************************************


※レファレンス協同データベース「『I'm OK. You're OK.』は誰の言葉か。http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000029241」へリンクします。

【訳注①・②】1950年代のアメリカで「交流分析 Transactional Analysis」という精神療法を創始したカナダ人精神科医のエリック・バーン Eric Berneが最初に使用したフレーズだと一般には言われています。

【参考画像:4つのライフ・ポジション https://www.pinterest.com/pin/496381190164112329/ 】


※「東洋医学の穴 http://o-medicine.net/」へリンクします。
なお、バーンと長年にわたり公私ともに親しい関係にあった精神科医・トーマス・A・ハリスによるこちらの一般向け解説書も、英語圏では未だに版を重ねて売れ続けています。(かつては部分訳の日本語版も出ていたのですが、絶版となってしまいました。)

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最近の日本語による交流分析(TA)解説書では、こちらがお手頃価格と読みやすさで好評のようです。人と人との間で知らず知らずのうちに作用する力学(ダイナミクス)に興味があるならば、交流分析、きっと気に入っていただけるのではないかな、と思います。面白いですよ!

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「良く言えば柔軟性に富む、悪く言えば流されやすい」。

そうした傾向が自分の中にある、という事実は覚えておこう。


実は、あなたのような人達は、他の性格タイプと比べても催眠による暗示や、他者からの意見といったものからの影響を相当受けやすいんだ。
一つ間違えば命取りとなるからね。気を付けて欲しい。


面白いのは、そうした性格も長所としてとらえることができれば、あなたならではの持ち味として活用できる、ということ。
そう。要は使い方次第さ。
だったらなおさら、上手な使い方をマスターしたいものだ。


性格の話が出たついでに触れておこう。


抑うつ状態(depression)が物の見方や考え方に暗い影を落とす、というのは珍しくない話だ。
一旦うつに陥ってしまうと、肯定的なことを考えるのは難しくなる。
頭の中には否定的な考えの方がより蔓延しやすいし、また、存在感も肥大化しがちだ。
「こっちの方が重要度高いぜ!」とばかりに自己主張して、肯定的な内容を押しのけるものだから、さすがの脳味噌だって否定的思考の厚かましさにころりと騙され、場所を空けてやらざるを得なくなる。


これはウィルス感染時に体内で起こることとよく似ている。
うつ病患者の体内では、できるだけ病状を長引かせようとする「うつ病独特の生き残りメカニズム」といったものが自然と出来上がるのだそうだ。【訳注③】

訳注③: 訳者は門外漢なので詳しいことはわからないのですが、ジャクソンさんの言う「うつ病独特の生き残りメカニズム」については、こちらのNIKKEI STYLE(2016年2月28日付)の記事内容が参考になるかもしれません。 
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO96149410V10C16A1000000?channel=DF130120166091 



 (以下、上のリンク先記事の引用です) 
【うつ病になると、脳内の特定の部位にも変化が生じるという。「MRI(磁気共鳴画像法)で脳を調べると、情動を抑える帯状回(たいじょうかい)や記憶などに関わる海馬が、健康な人に比べて小さくなっている」と功刀部長は話す。 
 なぜこんなことが起こるのか。功刀部長は「じわじわ続く慢性的なストレスがよくない」という。ストレスにさらされると、体内ではそれに対抗しようとコルチゾールというホルモンが増える。「この状態が長期間続くと、過剰なコルチゾールが脳を傷害し、海馬などの萎縮を招く」(功刀部長)。】


「ポジティブ思考なんて、ただの妄想。まともに取り合うなんて、頭悪過ぎじゃないの?」
すっかり否定的思考に毒されてしまったあなたは、その否定的な囁きの中身が正しいのか、正しくないのか、などともはや深くは考えない。
頭に浮かんできたことは全て鵜呑みにし、それを自分の奥深くにどんどん溜め込んでいってしまう。


否定的思考の言う内容、丸ごと信じ込んではだめだよ。
頭の中では派手に暴れ回るだろうし、ぎゃんぎゃん大声でわめき立てもするだろうが、言い分が真実かどうかはきわめて疑わしいのだから。
結局、今となっては全てが自分の脳が仕掛けた罠だったとわかった。
あなたはその罠にまんまとはまり、脱け出せなくなってしまったんだね。



もうわかるだろう。
あなたは、サイコパスじゃない。


Psychopath Free (Expanded Edition): Recovering from Emotionally Abusive Relationships With Narcissists, Sociopaths, and Other Toxic People

2018年10月9日火曜日

「私、サイコパスかも?」

「私、サイコパスかも?」


サイコパス被害のサバイバーは、

「もしかして、私もサイコパス?」

との不愉快極まりない結論へとたどり着くことがある。
しかもこれ、かなりの頻度で起こるから厄介だ。


あなたは、何ヶ月もかけてこの問題について学んできた。
奴との間に起こったことも、何度も何度も頭の中で反芻(はんすう)してきた。
ここまでやれば、さすがのあなたでも自分の人格、自分の内にある善良さが果たして本物なのか、それとも偽物なのか、と勘繰りたくもなるよね。
そうなるのも致し方ないことだ。


確かに、お世辞にも気持ちの良い話題とは言えないからね。
なのに、一度はまると中毒性は相当高いと来ている。
いざ止めようと思っても、関心ゼロの状態へと一気に持っていくのは難しい。


考えごとをしていても、ふと気が緩んだ途端、たちまちサイコパスにまつわるあの話この話で頭の中がいっぱいになってしまう。一旦そうなると、流れはなかなか変えられない...。
こんな調子では、周囲の人間関係全てに仕入れたばかりのサイコパス知識を当てはめたくなるのもまぁ、当然だよね。


だが、疑いの目は否応なしにあなた自身に対しても向けられることとなる。


僕もいろいろ考えてみた。
そして、
【あなたはたぶんサイコパスじゃない】と納得してもらえるだけの理由をいくつか導き出すことができたように思う。


回復への道を歩む人にとって、最も有害で、避けるに越したことがないもの。
それは、


【私は邪悪な人間かもしれない】 
という、自分自身へ向ける執拗な疑い、そして蔑み


──ではなかろうか。



いいかい。
あなたの場合、自分が邪悪な人間か否か?なんてことで気に病む (worry) 必要など、少しも無いんだからね。
ちなみに、この「気に病む (worry) 」という単語、サイコパス理解の上で重要なキーワードだから覚えておくといいよ。


だって、本当のサイコパスだったら、自分が善か悪かといった問題で「気に病む」ことなど無いのだから。 
絶対に。


気に病まない、だけじゃない。
そもそも「気に留める (care) 」ってこと自体しないからね。連中は。



今、あなたが恐怖に震えている理由。
それは、あなたにとって、「サイコパシー」という精神の病があたかも諸悪の根源であるかのように感じられているから、だよね?


奴らのサイコパシー観は、一般人が抱くそれとは全く異なる。
自分が生じさせた問題に関して、「とんでもない病気」(実際、とんでもないんだけど)が原因だ、と奴らが認めることなど、まずあり得ない。
むしろ「病んでいる」こと自体が自分の強みだ、と本気で思っていたりする。
自分には良心が欠落している、それゆえ、自分は他よりも傑出した存在なのだ...。
サイコパスならば、そう考える。



さて、あなたはこのような奴らの発想パターンについていけるかな?
「まさか!」
「無理!」
...だよね。
当たり前だ。


だったら、どうしてあなたは「もしかして、自分もサイコパスなんじゃないか?」と、自分に対しても疑いの目を向けてしまうのだろうか。
考えられる理由は6つほどある。
順番に紹介していくとしよう。



1.サイコパスがあなたにそう思わせたから



サイコパスと付き合っていた時のことを思い出して欲しい。


奴は、最初から最後までずっと、自分自身の欠陥をあなたへの悪口という形に変換し、それをあなためがけて投げつけて来る...といったパターンを繰り返していなかっただろうか。



「意地汚い」
「嫉妬深い」
「重たい」
「口うるさい」
「性悪」
「頭おかしい」


...といった類の悪口を。


奴らの攻撃をまともに食らったあなたは,


「ああ、私ってそういう(意地汚い、嫉妬深い、重たい...)人間なんだろうな」


と、じわじわと思い込まされていったのだろうね。

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【訳者注:この、「少しずつ(相手の意向に沿うように)思い込まされる」というプロセスが、いわゆる「マインド・コントロール」ですね。詳しくはこちら⇓の本が参考になります。 
カルト宗教や怪しい自己啓発セミナー以外にも、マインド・コントロールによって人生狂わされるような場面はたくさんありますからね。もちろん、職場や家族関係などの身近な人間関係の中にもたくさん潜んでいます。ピン!と来た方、ご一読をお勧めします。】 
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「自己愛が他人を攻撃するセリフは自己愛本人が一番気にしてることそのままの『自己紹介乙』ってのが定番。」


(「モラハラ資料」内、「自己投影・投影同一視による攻撃」のページより引用。http://mora110.blog.fc2.com/blog-entry-22.html )

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では、ここで僕からあなたに質問だ。


「今まで、交際相手や友達と一緒にいて、対サイコパスの時みたいに『自分はダメ人間だ』『悪いのは自分だ』と思ったことはあったかい?」


【いつもさん(Constant)】と共に時間を過ごして、『自分はどうしようもない奴だ』と感じさせられたこと、あったかい?」



もちろん、答えはいずれも「NO!」だよね。
これら二つの問いに共通する要素、一体何だろう。
そこに着目するといいんじゃないかな。



上に挙げたような罵り言葉(意地汚い、嫉妬深い、重たい...等々)は全て、いわゆる「サイコパシー(精神病質)」に侵された人物の内側にある病んだ部分が表面に出たもの、として読まれるべきなのだ。
病んでいるのは、口汚く罵っている当の本人。


過去を振り返れば、あなただってそのような傾向(意地汚い、嫉妬深い、重たい...等々)を多少は表に出したことがあったかもしれない。
でも、それはある特定の人物と一緒にいた時に限っての話、だよね?
他の人々との間では全く問題にもならなかっただろう?



単なる偶然と片付けていいものだろうか。
「意地汚い、嫉妬深い、重たい...」
あいつと距離を置くにつれて、そうした負の性質は徐々に「姿を消していった」んじゃなかろうか?
だとしたら、それは単なる偶然などではない。



サイコパスの被害に遭った人々には、何か問題が起こると「私が悪かった」と一方的に思い込み、下手をすると相手の尻拭いまでやりかねないような、自責傾向の強い人が多い。


「私が全てを許し、あの人のことを理解してあげさえすればいいんだ。
そうすれば、以前のような夢の理想化段階が再び戻って来るに違いない。」


このような思い込みをしがちな人たちが、サイコパスの被害者の中には少なからず見られる。



しかも、被害者はその自責傾向の強さがあだとなって、後々さらに深刻な問題を引き寄せることとなる。
被害者は、サイコパスが犯した悪事や、その人格的な欠陥まで全部ひっくるめて自分の内側に取り込んでしまいがちだ。
だが、自分ではそのことに気付いていない。
気付いていないからこそ、「やっぱりあの人の言う通り。私ってつくづくダメな奴だな。」と、誤った結論を下し、自分を窮地に追いやってしまうのだ。



だから、自分らしさがむしばまれていきグランドフィナーレを迎えた頃のあなたは、自己嫌悪の巨大な塊と化していたはず。自分にほとほと愛想が尽きていたんじゃないかな。
そうなるのも無理はないよね。


かと言って、当時のあなたを一方的に責めるのはあまりにも気の毒というもの。
だって、あの頃のあなたはサイコパスから盛られた毒を受け止めるただの入れ物でしかなかったのだから。
あなたらしい部分などほとんど残っていなかった。


これから先は、時間の経過が何よりの薬となるだろう。
「ノーコンタクト(絶縁)」ルールを厳守し、サイコパスから距離を置いていれば、本来のあなたらしさも徐々に戻ってくることだろう。
そう。
奴から受けた罵り言葉は、どれもこれも根も葉もない中傷だった。
あなたとは何ら関係の無い、めちゃくちゃな言葉の羅列でしかなかったんだよ。



奴の魔の手から無事逃れられれば、しめたものだ。
「違う! 私はそんな醜態をさらすような人間じゃない!」
いつか必ず、確信を持ってそう言えるようになるよ。





実際、あなたは前にも増してより優しくなり、
共感力が高まり、
他人への心遣いにあふれているように見えるよ。



また一段と本来のあなたらしさにぐっと近付いてきたようだね。
本当のあなたと再び巡り会える日も、もうすぐだ。



2018年9月5日水曜日

喪失の段階---Part 2 ②意図と加虐嗜愛(サディズム)

意図と加虐嗜愛(サディズム)

サイコパスにまつわる「神話」のうち、「いくらなんでもそれは…」とつい言いたくなるものの筆頭に挙げられるのは

「サイコパスも、実は誰かの犠牲者となった人々なのだ」

ではなかろうか。
そう、いわゆるハリウッド流の、偽心理学かぶれがいかにも好みそうな、「あの俗説」だ。


虐待を受けた過去。
父親不在の環境。
もしくはそうした断片のつぎはぎから成る話。
原因は何であれ、【サイコパスはどうしても自力ではその行動を抑制できない】との結論に至る諸々の話、ということでとりあえずまとめておこう。


僕は、この説に真っ向から反対だ。


サイコパスは、自分の行動が他人にどんなインパクトを与えるかをはっきりと自覚した上で行動に出ている。
他の精神障害を抱えた人とサイコパスとを分けるのはこの点だ。
他人がもがき苦しむ様子が、楽しみのように感じられる人種。
それがサイコパスである。


サイコパスは、他人の中に自信の無さや弱さがあれば、あっという間に嗅ぎ分け、そこに意識のフォーカスを絞る。そして、自分の都合のいいように利用する。
善と悪との境界線は奴らにも見えていないわけではない。
が、たとえ気付いたとしても、あいつらはそれを平然と踏みにじる。
獲物を決めたら、後はひたすら襲い掛かるのみ。
善悪の区別なんて知るか、そんなものクソ食らえ...とつぶやきながら。


サイコパスの人間関係についても、巷では多くの誤解が見られる。
確かに、無神経さや感情面での「鈍感さ」は奴ら独特のものだ。
だが、それらを単なる偶然からひょっこりと生まれた「副産物」のようなもの...
などと軽く考えていては、後々大変なことになる。
あいつらの場合、何もかもが綿密な計算に基づいているんだよ。
きちんと系統立てられたプロセスを、個々の被害者に合わせて使い分ける。
そうやって被害者をじわりじわりと傷めつけていくのだ。


ちょっと想像してみてごらん。
ある人が語る夢や希望の内容をそっくりそのまま模倣できるようになるのに、一体どれほどの時間と計画が必要だろうか。
一朝一夕にはできないよね。
だから、サイコパスは、何ヶ月も・・・時には何年も・・・の長い時間を費やして、相手に貼り付く。
そして本来の自分とは全く異なる、別の人格へと成り代わるんだ。
目的は何かって?
...あなたをぶっ壊す。
ただそれだけだ。


あなたへの愛なんて、これっぽっちも感じていなかったんだ。
「こんな気持ちにさせてくれたのは、君だけだよ。生まれて初めてさ。」
なんてくさいセリフを吐いた時ですら、ね。


そう。
あいつは、最初から最後まで、あなたを至近距離からじーっと観察していただけに過ぎない。
本当のお楽しみが始まるあの瞬間を、今か今かと待ち続けていたのさ。辛抱強くね。
気付いていただろう?
あなたが奴との恋に落ち、付き合いが密になり、関係が安定期に入ったかな、と思った途端、精神面での虐待行為が始まりはしなかっただろうか?
そこからは地獄のような日々が続いたはず。
あいつが成りすましていた「ソウルメイト」の面影を求め、「もう一度あの頃に戻って!」との虚しい夢を半狂乱になって追い求めていたあなた。
気が付いた時には捨てられていた。
そうだったよね?


ここで問題にしたいのが、サイコパスからの虐待を生き延びたサバイバー達の多くに共通して見られる、考え方の歪みだ。
どういうわけだか、サバイバー達にとってのサイコパスは、「心の奥深いところには子供のような自信の無さが根強くあって」、それゆえに「人からの関心を追い求める方向へとどうしても駆り立てられてしまう」といった人物像に仕立て上げられる傾向にあるようだ。


とはいえ、サイコパスは別に自信欠乏で苦しんでなどいない。
むしろ自分のことが大好きでたまらない程だ。
自分の外見も好きだし、コロリと人を騙す話術だってなかなかなものだ、と自負している。
「お願い、許して」と被害者をひざまずかせる自分って本当にすごいよな、とうぬぼれてさえいる。


あなたは確かにサイコパスと付き合っていた。
だけど、その交際期間中、あなたが奴の「壊れた魂」の内側にある空洞を埋める、なんてことは一度たりとも起こらなかったはずだよ。



だって、サイコパスには魂が無いのだから。


奴の望みはひたすら他人から崇められ、持ち上げられること。
それに尽きる。


だから、間違っても「強面(こわもて)の奥には、所在無さげに震えている小さな男の子/女の子がいる」などといったイメージを、サイコパスに重ね合わせちゃいけない。
「多少の誤作動もやむを得ない。どうしても治せない、性格面での脆さを補うためにこの人が発達させた防衛機制なのだから。」
とのこじつけも、いい加減に止めるんだ。


「でも、あの人にも優しいところはあるのに。」
まだそんな戯言言ってるの?
奴らの心をいくら覗いたところで、見えるのはどこまでも続く暗闇だけだよ。


「ノーコンタクト(絶縁)、やってみようかな。
気にかける人が一人減れば、さすがのあの人も何かが変わったな、と気付くだろうし。」
そうした甘々な考え方も、いずれは全て手放していく必要がある。
今はまだ、時期尚早かもしれないけれども。





かつて、あなたは奴の個人的な欲求を満たせる存在であった 。
(もしくは、今もなお、そうした存在であり続けている)...。


そんな思い込みをいつまでも引きずっているからこそ、上のような甘ったるい発想となかなか縁を切れないんじゃないかな。
捨てちまえよ、そんな思い込み。


はっきり言うよ。
あなたは奴の欲求など何ひとつ満たしては来なかった。
そして今後も絶対にそのようなことは起こり得ない。


奴のようなサイコパスには、外からの注目はもう必要じゃないんだ。
外から注目されようが、されまいが、あいつのエゴは既に充分過ぎるほど、パンパンに膨れ上がっている。
この先も、しぼむことなどまずあり得ない。それは僕が全力で保証するよ。


もし、ああいう連中が他人の関心を求めるとしたら、目的はたった一つだけさ。
相手に食らいつき、骨までしゃぶり尽くし、最後にぶっ壊すこと。
これだけだよ。



そもそも、奴はあなたのことだって、ゴミ同然にしか見ていなかった。使ったらポイ捨てすればいい、と思っていた。
ひょっとしたら再利用される機会が巡って来るかもしれないけどね。
でも、勘違いしてはいけない。
「あなたのことが必要だから」再利用されるのでは、ない。
断じて。


ここ肝心なんだけれども、誰かがあなたに関心を寄せたり、その関心をまた引っ込めたり、といったゴタゴタに巻き込まれる恐れがあるようでは、せっかく治りかけている病も悪い方へと逆戻りしかねない。
ノーコンタクトを貫き通さねばならない理由、それはあくまでもあなた自身が


「私にはもっといい相手がいるはず」


本気でそう信じられるようになったから、でなければならないのだ。


あいつがどんな奴だったか思い出してごらん。
あなたを陰から操り、嘘ばかりつき、虐待を重ね、深い傷跡を残した。
そういう奴だったよね?



自尊心が芽生え、大きく育っていくににつれて、あなたも少しずつ理解できるようになると思うよ。
あれだけのひどい仕打ちをされたという事実だけでも、人ひとりを人生から追い出す理由としては充分過ぎるくらいさ。


...奴には永久追放処分が妥当なところだろうね。



2018年8月19日日曜日

【コラム】ロボット

「自分らしさ」というものを一切持たない。
だからこそ、サイコパスはいとも簡単に自分のキャラを変えられるし、ターゲットが心にずっとあたためていた「夢のお相手」にすっかりなり切る、という離れ業まで軽々とやってのけるんだ。





奴等が本格的に行動を起こす前には、しばらく「観察」するための時間を取る。
これ、お気付きかな。
「僕たち、似た者同士だね。」
「私たち、すごくよく似てると思わない?」
熱に浮かされたような口調で語り掛けては来なかっただろうか。



サイコパスはこの「観察」期間の間中、あなたが語る内容にじっと耳を傾ける。
希望、そして将来の夢について思う存分あなたに語らせ、自分はひたすら聞き役に徹する。
で、あなたの話をたんまりと聞いたところで、内容を丸ごと頭の中にコピー。
さらに誇張した形へと仕立て直したものを、今度はあなたを前に堂々披露する。


でっち上げられた、フェイクな「絆」ではある。
だけど、いざ目の前にバーン!と提示されると、さすがのあなたも相手の言う事を信用しないわけにはいかなくなる。
そこまで来ると、「とうとう見つけた。この人こそ、完璧なソウルメイトに違いない!」との確信へと至るのなんて、あっという間だ。



奴は、あなたのやることなすこと全てにべた惚れしているように見せかけている。
数分おきに直接メッセージを送ってくるだけでなく、あなたのFacebookページにちょくちょく顔を出しては投稿を残す、と、芸が細かい。
そうすればあなたの友人達にも見てもらえるだろうから、と、奴は言う。



ふと気が付くと、あなたの生活の大部分がこの一人の人物に侵食されていた。
「あの人のいない人生なんて、もう想像すらできない。もしあの人を失ってしまったら、私は決して幸せになんかなれない!」



そこで新たに登場するのが、三角関係。
捕食者(プレデター)には「自分らしさというものが無い」と上で書いたけど、その事実が最もくっきりと浮かび上がるのはこの三角関係の時期なんだ。



あれほどボロクソにけなしていた昔の交際相手。
はたまた、今後釣れそうな見込みのある候補者たち。
手あたり次第に声を掛けまくっては、曖昧なほのめかしや内輪ウケのジョークを連発し、自分の側に手繰り寄せようとしている。
しかも、そうしたやり取り全てがあなたの目に触れるようにと、巧妙な計算までしてるんだよね。憎たらしいったらありゃしない。



「...何だか探偵みたいな事ばかりやってるな、私」
そう思えたとしても仕方が無いよね。
これが普通の探偵業と大きく異なるのは、サイコパスが絡む三角関係の場合、あなたの意思や希望など一切お構い無しに余計な情報やヒントが向こうから勝手にやって来る、ということだろう。


あれやこれやと色々ほのめかされ、あなたの中ではだんだんと嫉妬の炎が燃え上がる。今にも気がおかしくなりそうだ。
一体何の因果で、あの人が大っぴらに他のターゲットを褒めちぎる様子まで見せつけられなきゃいけないんだろう?
あの人は、まがりなりにも、私のソウルメイトなのに...。



だが、ここであなたは世にも奇怪な現象を目にすることとなる。


【サイコパスのペルソナ(表向きの顔)が、 
釣ろうとしている個々のターゲットのキャラに合わせて、 
別人になったかのように激変している...!!!】


前はけなしまくってたはずのアレを、今度は手放しで賞賛、って...
そんなジョーク、おかしくも何ともない。どうしてそこまで爆笑するの...
そもそも、こんな人だったっけ?あまりにも性格が変わり過ぎていて、もはや完全に別人としか思えない...



「あなた、変わったわね」
相手にこんな指摘でもしようものなら、たちまちあなたは「キチガイ」「神経質過ぎる」と、異常者の烙印を押されるに違いない。


だが、あなたにとって何よりも腹立たしいのは


【奴は、あなたという人物からいろいろな要素を盗み取ってきて、 
次のターゲットを仕込む際の役作りに利用するつもりでいた


という事実だろう。



ああいう連中はね、そこそこ出来の良いロボットみたいなものさ。
ターゲット経験値が上がればそれなりに進化もするし、バージョンアップだってする。
だけど、ロボットは所詮ロボットでしかない。
うまく機能する部分があったとしても、それは他からの借り物。
とことん使い倒してしまった部分については、ポイ捨てするより他にどうすることもできないのだ。